ギアッチョの声のマッチング具合と言い、ヴェネチア駅前の決闘と言い・・・・他にも、"輪切りのソルベ"配達シーンまでの暗チのアニメオリジナルとか、小説"恥知らず"でしか語られなかったフーゴの過去とか・・・・・もうね、全てにおいてベリッシモ!!
アニジョジョ製作陣に、僕は敬意を評するっ!!
「ン、よし!完全復活!!」
修理された右足の調子を確かめて呟く。
相変わらず良い仕事っぷりだぜ。
「・・・・それにしても、相手はどんな怪力の持ち主なんだい?あんな壊れ方、見たことないよ?」
「超越者だったよ。悪魔はアンドレアルフス」
「・・・・・・なるほどね」
「それと、もう一つ共有しておきたい情報がある」
「何かな?」
「その超越者、五歳くらいの幼女だったんスけど、なんとなく春さんに似てた」
「っ!?・・・・それは、本当かい?」
「俺の見間違いじゃ無ければ・・・・なんスけどね」
「─────────まさか」
春さんの顔は青ざめていた。
「なあ春さん・・・・・・春さんには、子供がいたんだよね・・・?」
「──────まっとうに、産まれていれば・・・ね」
「もし、産まれていれば、今年で五歳になる・・・・・よね」
「─────────────何が言いたい?」
じろり、と春さんに睨まれる。
最悪、ぶん殴られるのを覚悟しつつも、俺は意を決して意見を言う。
「あの幼女・・・・もしかして、春さんの────」
「───────────────────」
春さんは答えない。否、答えられない。
多分、春さん自身も戸惑っているんだ。
そりゃそうだろう。事実確認はできてないものの、死んだと思っていた子供が、実は生きていたかもしれないなんて・・・・・ショックが大き過ぎる。
「───────今日はもう帰るよ春さん。色々と、整理したいッスよね?」
「──────────────すまない」
「気にしないで。春さんにはいつも世話になりっぱなしッスから」
それだけ告げて、俺は"嵐ヶ丘"を後にした。
―――――――――――†――――――――――
その帰り道。
「夏凛?何してんの、こんな所で」
「────────────輝夜」
砂浜に倒れている夏凛を見つけた。
「ははーん?さては自分一人活躍出来なくて、不貞腐れてたなァ?」
「───────違う、わよ」
「言い淀んでんじゃねえかよ。違うってンなら言うてみ?何があったか」
「・・・・・・・・・あんたには、関係「無くは無いだろう?仲間なんだから」なった覚えなんか無いっ!!」
夏凛が叫んで起き上がる。
「そうよ・・・・元々、部活なんて行きたくなかったんだし・・・・そもそも残りのバーテックスは私一人で全部倒して────」
「─────────」
夏凛がぶつぶつと独り言をしゃべり始める。やれやれ・・・
「夏凛」
「──────────なによ」
「自分の心を偽っちゃあ・・・・駄目だぜ?」
「っ!?わ・・・・私は別に・・・・」
「東郷あたりから"後遺症"のこと、聞かされでもしたんだろ」
「──────────────」
押し黙った夏凛が無言で端末を見せてくる。
思った通り、東郷からのメッセージで後遺症の事について触れている。
「私は、バーテックスを倒す為に、今まで訓練してきた─────なのに、私だけ傷付いてない・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「これじゃあ・・・・何の為に来たのか、わからないじゃない・・・・・」
項垂れる夏凛。
そんな彼女の様子を見て、俺は────
「夏凛」
「・・・・・え?」
思わず、彼女の頭を抱き締めていた。
「この前会った俺の古い友達も、お前みたいな悩みを抱えていたよ。最も、こんな事はしてないけどな」
「─────────」
「まあ、それはともかくとして・・・・・・人間、誰でも自分の役割を明確に出来てるヤツなんていないさ」
「─────────だから、なによ」
「別に?ただ、傷を誇るような真似は止めとけよ。只でさえ夏凛はかわいいんだからさ」
「かわっ!?」
胸に頭を
「それに、お前がどう思おうが、アイツらはお前を仲間だと思ってるみたいだぞ?」
「?それってどういう・・・・?」
と、その時、ドン、と背中に衝撃が走る。
チラリと後ろを振り返れば、友奈が俺に抱き付いていた。
「よお、友奈。夏凛探しに来たのかい?」
「・・・・・むぅ!かぐやちゃんが夏凛ちゃんと仲良ししてるぅぅぅぅ!!!」
「羨ましいならお前、夏凛側にまわれよ」
「うん!!」
「ふぇ!?ちょ!」
友奈は素早く対面に回り込むと夏凛をぎゅうううううう、と抱き締める。
「ふわぁぁぁぁぁ・・・・・・」
「むぎゅう~~~~♪」
「はっはっはっは~~、夏凛サンドだぁ~♪」
俺と友奈に挟み込まれた夏凛は、更に顔を赤くして、目を回してしまうのであった。
―――――――――――†――――――――――
結局、夏凛は友奈の『大好き攻撃』によって撃沈。勇者部に戻ってきたのだった。
その日の夜、東郷から『明日には退院できる』と連絡があり、全員で迎えに行く事になった。
そして翌日───
「良い眺め~・・・」
夕暮れ時の学校の屋上。
東郷と合流した後、俺たちはここから町並みを眺めている。
「私たちが、守ったんだよね」
「普通に暮らしている連中は知らないけどな」
「それでも、誇れることだと思うわ」
全員で笑いあう。俺は、かけがえの無いこの日常が護れたのだろうか?
多分、答えはイエスだ。
友奈や東郷、風さんに樹、そして夏凛。
みんなが心から笑っている。だから、大丈夫。
ふと、夏凛と風さんが端末を見る。
その後の反応は対照的で、夏凛は笑い、風さんは暗い顔をしていた。
「なにか良いことでもあった?夏凛ちゃん」
「ふぇ!?べべ・・・別に何も!」
友奈の問に照れ隠しする夏凛を尻目に、風さんに声をかける。
「風さん」
「え?何?」
「・・・・・大丈夫だよ。何があっても、なるようになるさ。無責任な発言なのは、わかってるけどな」
「────────煌月」
『どうかしたの?お姉ちゃん』
「─────ううん。なんでもない。ありがと煌月」
「Your welcome」
そう言ってウインクしてやると、ようやく風さんも笑った。
そうして話題は、夏休みにやりたいことにシフトする。
やりたいことを語り合う中、俺は一人、何があっても大丈夫なように、準備だけはしておこうと、心に決めるのであった。