ムカ着火ファイアーし過ぎじゃない?(どの口が言う)
少女たちが気付いた時には、既に輝夜は地面に叩きつけられた後だった。
「は・・・・・?え・・・・?いったい、何が・・・・・?」
五人の中で唯一、制式な訓練を受けている夏凛すらも捉えられない速さだ。
だと言うのにも関わらず、たった一人、強化バーテックスに反応した少女がいた。
「待って!友奈ちゃ」
東郷の静止の声も聞かず、友奈が飛び出した。
「っく・・・・・友奈を追うわよっ!東郷は煌月の様子を見に行って!」
「り・・・・了解!」
咄嗟に風が指示を出し、残る四人も強化バーテックスへと向かっていったのだった。
―――――――――――†――――――――――
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!」
飛び出した友奈は火車の力を使用。
炎を纏った飛び蹴りを落下していく強化バーテックスへと喰らわせた。
「かぐやちゃん!かぐやちゃんしっかりして!!」
地面に倒れ伏す輝夜に近寄り揺すり起こす。
が、輝夜の額から流れ出る血を見て、友奈の頭から血の気が引く。
そこに、強化バーテックスが迫り来る。
「・・・・・・・かぐやちゃんを」
真っ直ぐに向かってくる強化バーテックス。友奈はそれを回し蹴りで迎撃した。
「かぐやちゃんをいじめるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
叫び、蹴り飛ばしたバーテックスへと突撃。
まるで仇討ちの如く、怒涛の連続キックでバーテックスに猛攻を仕掛ける。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
その蹴りはバーテックスの体を徐々にだが削っていく。自動回復を持ってしても追い付かない怒涛の連撃に、バーテックスが圧されていっているのだ。
そこへ────
「友奈!一旦どいて!!」
「封印の儀、やるわよ!!」
夏凛、風、樹の三人が到着。
強化バーテックスを囲うように並び立ち、友奈に下がるよう叫ぶ。
「─────────はい!」
仲間たちの声に、冷静になった友奈も加えて、封印の儀が行われる。
バーテックスの頭が開き、そこから御霊が──────
「えぇ!?なにこれ!?」
「泥!?御霊は!?」
「────!?!?」
「御霊の気配を感じない!?どういう事!?」
御霊が出てくることはなく、代わりに汚泥が溢れ出てきたのだった。
汚泥は樹海の大地を焼き、シェイプシフターを産み出しつつ広がっていく。
「なによ・・・・・これ・・・・どうなって・・・・」
封印のおかげか、少女たちより後ろには汚泥は広がらず、留まっているが、シェイプシフターの数はどんどん増えていく。
「っ!」
そこに、樹は飛び込んだ!
「樹!?あんた、何を・・・!!」
風が驚愕の声を上げる中、樹はワイヤーでシェイプシフターを十把一絡げにし、まとめて仕留める。
「樹ちゃんすごい!」
「よーし!樹に続くわよ!アタシの女子力が轟き唸る!!」
風が汚泥の沼に突入しようとした、正にその時だった。
今回起きた事柄は、少女たちの想像を遥かに越えた事情ばかりだった。
だからこそ、誰もが気付く事が出来なかった。
「え・・・・」
「あれ・・・・・」
「っ!?」
「なっ!?」
封印が解かれると同時に、四人の変身も解ける。
そして、封印が解かれたということは、当然、塞き止められていた汚泥も・・・・
「きゃあああああ!!」
精霊のバリアによって、汚泥に溺れることはなかったものの、氾濫する汚泥の量と圧は凄まじく、あっという間に四人は汚泥に呑み込まれてしまった。
「みんな!?」
それをただひとり。遠く離れた地点から見ていた人物がいる。東郷である。
傷付いた輝夜の手当てを行っていた東郷だったが、戦場の様子が変化したことを察し、その場から目視していた。
このまま下手に動けば、輝夜の身が危険だ。
そう判断した東郷は、せめて輝夜の盾になろうと汚泥との間に立ち塞がる。
汚泥の波に乗ってシェイプシフターが迫る。
そのまま東郷も、汚泥に呑み込まれ──────
るよりも早く、大地より木の根が生え、汚泥を塞き止めるのだった。
「!?─────これは・・・・」
同時に、汚泥の中からも木の根がめきめきと伸び、呑み込まれた四人がそれに救出された。
「みんな・・・・・よかった。それにしても、この木の根はいったい・・・・・」
と、その時だった。
「『 駆体制御権限 サブに移行 承認 』」
「え!?」
驚いて振り返った東郷が見たものは、緩慢な動作で起き上がろうとしている輝夜の姿。だが、様子がおかしい。
「──────か・・・・ぐ・・・・・」
「『 システムオールグリーン 正常稼働率許容範囲内 』」
彼は、こんなにも機械的な動きをしていただろうか・・・?そもそも・・・・
「『 おはようございます 戦闘行動を開始します 』」
輝夜(?)は両目を金色に輝かせ、呟くように宣言した。