契約者たちへの鎮魂歌   作:渚のグレイズ

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アイドルの綴りは、本来は"idol"でlが一つなのですが、dollとのダブルネーミングも兼ねて、lを一つ足してます。
敢えてなので、ミスではないです。(念押し)


Vの再襲来 - SYSTEM J.A.idoll -

「『 シェイプシフター種 及び ケイオスタイドの 存在を確認 これより 全機能を持って 排除します 』」

「─────輝夜くんじゃない。貴女は誰?」

 

輝夜の姿をした何かは、東郷の問いに答えず、バーテックスより溢れ出した汚泥とシェイプシフターの群れに向かって跳躍した。

 

「『 武装 展開します 』」

 

かつて、初めて輝夜が樹海に訪れた時、彼が二度押し何も反応がなかった指輪のマークのボタンを、下にスワイプ。画面外に消えた指輪のボタンの代わりに、五芒星のマークが描かれたボタンが表れた。

躊躇もなくそれをタップした、次の瞬間────

 

 

 

 

 

遥か上空から五色の光が汚泥の中へと落下し、汚泥の一部を吹き飛ばしてみせたのだった。

 

 

 

 

 

「『 "五武具足" 展開を確認 』」

 

輝夜は円形に並んだ光の中心に降り立つと、青い光から長大な木製の武器を取り出した。

 

「・・・・・・棒?」

「棍ってやつかしら?」

 

汚泥の下の地面から生えた木の根に乗ったままの友奈と夏凛が、輝夜の取った武器を見て呟く。

 

「────────あれは」

 

その武器の正体に気付けたのは、東郷只一人だけだった。

彼女の、狙撃手としての眼力と持ち前の知識。それによって、東郷は気付く事ができたのだ。

咄嗟に東郷は端末を操作し、四人に伝える。

 

「みんな!なにかに掴まって!!早く!!」

「え?東郷さん?」

「何?どういう───」

 

 

 

 

 

パンッ!!

 

 

 

 

 

突如、乾いた音が響いて()()()()()()()()()()()()()()

 

「・・・・・あれ、なんだっけ?どっかで見た事あるような」

「えーと・・・・うちわじゃなくて・・・・東郷さんのお部屋に飾ってあったやつ」

「───────扇子?」

「あ!それだぁ!さっすが夏凛ちゃん!」

 

 

 

 

 

「『 羽翔嵐(ばしょうらん) 』」

 

 

 

 

 

友奈たちがおしゃべりしている間に、輝夜は身の丈程の巨大扇を扇ぐ。

瞬間、台風もかくやと言わんばかりの突風が吹き荒れる!

 

『きゃあああああ!?!?』

 

必死になって木の根にしがみつく四人。

輝夜の起こした突風により、溢れ出していた汚泥は全て吹き飛んだのだった。

 

「─────すご」

 

しかし、シェイプシフターだけは突風の影響を受けなかったのか、未だ残っている。

巨大扇を背中にマウントした輝夜は次に、黒い光から薙刀を抜き取る。

振る度に矛先より水が湧くそれを振るい、シェイプシフターの群れを薙ぎ払いつつ直進。

全てのシェイプシフターを切り払った後、輝夜は汚泥の発生源たるジェミニ・バーテックスへと向き直る。

ジェミニは既に何処かへと消え去っており、輝夜の視界には見当たらない。

 

 

 

 

 

「『 磨波氷冥(まなひめ) 』」

 

 

 

 

 

輝夜は薙刀で地面を思い切り突く。その瞬間、薙刀の穿たれた地面から全周囲に向かって津波が発生。

 

「バーテックスが・・・・!」

 

その津波に足を取られ、ジェミニが転んだ。

そこへ尽かさず輝夜は薙刀を背中に納めると、手を着地地点にかざし、赤い光を手元に呼び出して二刀の小太刀を手に取る。

 

 

 

 

 

「『 奏伽榴(そうかりゅう) 』」

 

 

 

 

 

小太刀の刃から炎が迸る。炎は輝夜の周囲にて刀の様な形状をとり、小太刀の軌道に併せて動き回る。

小太刀と炎の猛攻に、ジェミニは即座にバラバラになった。

 

「一瞬で・・・・・!?」

「──────!!」

「え?何、樹?─────そうね、バーテックスは御霊を壊さないと、再生してしまう・・・・・」

 

バラバラになったジェミニだったが、頭部から徐々に再生を始めだした。

 

「『 シェイプシフター種の再生を確認 殲滅方法を検索します 』」

 

じ・・・・と動かない輝夜。

 

「『 検索完了 これよりシェイプシフター種を殲滅します 』」

 

両手をジェミニにかざす。

すると、両手の小太刀、背中の扇と薙刀、そして残る二つの光がジェミニの周囲に集まり、ジェミニの頭部が開かれた。

 

「これは!?」

「封印の儀・・・・!?」

「かぐやちゃん・・・・・」

 

汚泥はもう出て来なかった。代わりに大量の御霊が溢れ出したのだった。

 

「『 "ヴァジュラ・カノン" セット 』」

 

黄色の光から"大筒"と呼ばれる手持ちサイズの大砲を取り出し、御霊たちの中心に向けて発砲。

着弾を確認したところで輝夜は、ヴァジュラ・カノンを腰にマウントし、白い光からナックルガードを取り出して跳躍した。

 

 

 

 

 

「『 神鳴磁刺(かみなりじし) 』」

 

 

 

 

 

放たれた杭の如き弾丸を、電気を帯びた拳で殴った。

瞬間、周囲に激しい雷が解き放たれる!

雷に焼かれ、全ての御霊は破壊された。

 

「『 状況終了 お疲れ様でした 』」

 

バーテックスが消滅した事を確認すると、輝夜は呼び出した武器を仕舞い、そのまま倒れるのだった。

 

「かぐやちゃん!!」

 

すかさず友奈が倒れる輝夜をキャッチ。

しようとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

輝夜を掴まえたのは───────

 

「!!あんたは・・・・!?」

「その面・・・・・・御社の!」

「───────ついに、システムが目覚めたか」

「すみません・・・・・・しょり、間に合いません・・・・・でした」

「良いさ。彼女たちに知らしめる良い機会だ」

 

御社のナマリと幼女だった。

 




五武具足について───

SYSTEM J.A.idoll(ジェイドール)(justice.Artificial.idoll -人工化された正義の偶像-)が所有する、五行の属性に準えた五つの武器。
それぞれ………

・木属性の青い扇"無花果(いちじく)"

・火属性の赤い二振りの小太刀"双炎義(そうえんぎ)"(それぞれ、矛勇(むゆう)鎖羅(さら)という銘がある)

・土属性の黄色の大筒"ヴァジュラ・カノン"(砲身の横に複数のツマミがあり、それを操作して弾丸の収束性と速度を調整できる)

・金属性の白いナックルガード"金剛拳"

・水属性の黒い薙刀"穿ち水月"

という名が与えられている。
劇中で出していた名前は術の名前。
羽翔嵐は風
磨波氷冥は水
奏伽榴は炎
神鳴磁刺は電気
の属性を持つ術である。
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