契約者たちへの鎮魂歌   作:渚のグレイズ

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Vの再襲来 -睡蓮の君-

東郷の心臓目掛けて突き出された小太刀は、東郷と輝夜の間に割って入った何者かによって弾かれた。

 

「『よっ、大丈夫か?』。ケガは無さそうで良かったんよ~」

「あなた・・・・・は・・・・・?」

 

AIの攻撃を妨害したのは、薄紫の衣に身を包んだ、金糸の髪の少女。

右手には槍、左手にはバスタードソードを持っている。

 

「・・・・勇者、なの?」

「─────────『やっぱ、覚えてない・・・・・か』。仕方ないんよ~・・・・・」

「え?」

「『んにゃ、なんでもない』。ううん、こっちの話~」

 

東郷に顔を向けて少女が微笑む。その左目は──────

 

「義、眼・・・・?」

「『はは・・・・・・カッコいいだろ?()()()()()』」

 

少女が右目を閉じて左目を誇示するように東郷に見せつける。すると、東郷が突然、頭を押さえて呻きだした。

 

「────────っ」

「わわ・・・・大丈夫~?。『頭痛だな?ちょっとそこで待ってな』」

 

少女は東郷の頭を優しく撫でると、手を振って────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『またね』。またね~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ────────」

 

その光景に、何故か、既視感を感じた東郷。少女に向かって手を伸ばし、()()()()()()()()()()()()

 

「っ!待って!!!そのっち!!」

「──────────」

 

少女は何も言わずに、輝夜の身体に組み付いて、遠くへと跳び去って行った。

後に残された東郷は、一人ごこちる。

 

「わ・・・・私・・・・あの子の事・・・・知っている・・・・・?」

 

―――――――――――†――――――――――

 

「『 対象増加 優先度は此方の方が高いと判断します 』」

「『へえ!アタシ等の方が強いって判るのか!』。どうやって判別してるのかな~?」

 

軽口を叩きつつも、AIの小太刀を槍と剣で捌いていく少女。

どちらも小回りが利きにくい武器である筈だが、それを感じさせない動きで、少女はAIと渡り合う。

 

「『でやぁぁぁぁ!!!』。え~~~~~い!!!」

 

一瞬の隙をついて、小太刀を蹴り飛ばす。

得物を弾き飛ばされたAIは、大筒を構えて少女から距離を取る。

 

「逃がさないよ~!」

 

少女は剣を背中に背負い、槍を地面に突き立てる。

瞬間、槍が伸びてAIへと急接近する!

接近しながら少女は、背中に剣を背負ったままその柄を捻る。

すると、バスタードソードの刀身が振動し、白熱し出した!

 

「『うおりゃあああああああ!!!!!!』」

 

気合いと共に、刃が白熱化したバスタードソードを叩き込む。

防御が間に合わなかったAIは、剣の峰をモロに食らい、地面に倒れ伏す。

 

「『どうだぁ!!!』。うーん・・・ちょっとやり過ぎ~?」

「・・・・・・・・・ぅ『 ダメージ 規定値を越えました これ以上の戦闘行動は不可能です 』」

「──────『もしかしてこいつ、()()()()()()()()()()?』。かもね~、何にしても~・・・・」

 

と、次の瞬間───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女の背後から、ナマリが襲い掛かってきた!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『おっと!?』」

「───────チ」

「いきなりはひどいんよ~。『不意討ちなんて卑怯だぞ!』」

「───────どういうつもりだ?お前が直接、干渉してくるなんて・・・・」

「『お前らこそ、なんであいつを引き剥がそうとした?』。彼が勇者たちと一緒にいる事を、大赦はちゃんと認めているんよ・・・・・勝手な真似しないでよ」

「五月蝿い!!」

 

ナマリが少女に突撃する。

少女はため息を一つついて─────

 

「仕方ないなぁ~───────お願い、ミノさん!。『あいよ!!』」

 

瞬間、少女の髪色が灰色気味なブラウンに変色した。

体格や顔立ちも、先程とは別人のそれになっている。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

そして、バスタードソードを片手に少女は突撃してきたナマリを迎撃する。

 

「うぐ・・・・がぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」

「おりゃあああああああ!!!!!!」

 

ガンブレードとバスタードソードの激しいぶつかり合い。

 

「『そこっ!なんよ~!!』」

 

猛攻の隙をついて、先程からずっと動かしてなかった右手の槍の柄尻を、ナマリ目掛けて突き出した。

槍は見事ナマリの額に命中。仮面が割れ、地面に落ちるのと同時に、ナマリは倒れるのであった。

 

「ふぅー・・・・。『お疲れさま~』。あぁ、園子もな」

 

と、そこに友奈たちが走ってくる。

 

「かぐやちゃん!!」

「平気、気絶してるだけっぽいから」

「─────な!?」

 

友奈たちが現場に到着して、真っ先に驚いたのは、輝夜とナマリが地に寝そべっている事でも、少女の身体が別人のものになっている(髪の長さは変わらないようだが)事でもなく────

 

 

 

 

 

「─────えっと、双子?」

 

 

 

 

 

露になったナマリの素顔と、少女の顔が、全く同じである、という事だった。

 

 

 

 

 

「あー・・・・別にアタシら、双子ってワケじゃないぞ。『うーん・・・敢えて言うなら・・・・・・・プラナリア?』。まぁーたワケわかんない喩えを────」

「・・・・さっきからあいつ、何を一人で会話しているのよ?」

『さぁ・・・なんでしょう?』

 

何処からどう見ても一人で会話している少女に対して、夏凛と樹は少し引き気味だ。

 

「あんたは・・・いったい?」

「おっと、残念だけど時間切れだ。樹海化が解ける」

 

少女の言葉通り、樹海が崩壊し始める。

 

「あ・・・・待って!」

「『ゴメンね~?でも、そのうちまた会えるから~』ネコのおにーさんにも宜しく言っといて!」

 

それだけ言って、少女の姿は樹海と共にかき消えた。

周囲はいつも通りの学校の屋上。気絶したままの輝夜も含めた六人全員、どうにか無事だ。

ナマリの姿は消えていた。友奈たちは気づかなかったようだが、樹海化が解ける時に乗じて幼女が回収していたのだ。

 

「────────はぁ。まったく・・・・もう・・・・・!!」

 

風がため息をつく。そして────

 

 

 

 

 

「いったいぜんたい、何だってのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・」

 

 

 

 

 

万感の思いを込めた風の叫びが、夕暮れの校舎に鳴り響いたのだった。

 




友奈ちゃんと東郷さんもちゃんと一緒です。
八話後半のアレは、次回以降に・・・
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