契約者たちへの鎮魂歌   作:渚のグレイズ

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告げられるT -御社の目的-

「御社の連中は、ある一つの事を心情として働いているそうだ」

「ある事・・・?」

「"全ては人類の存続の為に"」

 

人類の・・・存続・・・・?

 

「それを成し得る為ならば、どんな穢い手をも使う。そうして犠牲にされた人々だって・・・・いるそうだ」

「・・・・・・・・・・・結女さん」

 

夏凜ちゃんが誰かの名前を呟くのが聞こえた。大切な人・・・・なのかな?

 

「それを踏まえて、聞いて欲しい。二年前のあの日───アタシらの身に何が起きたのかを・・・」

 

―――――――――――†――――――――――

 

「仲間の一人がいなくなってからしばらくして、勇者システムがアップデートされた。今、おたくらが使ってる奴さ」

「つまり、精霊と満開・・・・そして、散華の実装・・・・」

 

東郷さんの言葉に三ノ輪さんが頷く。

 

「アタシらの時も、やっぱり満開の後遺症については知らされなくてさ・・・・二回程満開して、園子が気付いた」

「満開の代償の事を黙っていたのは、大赦なりの優しさだとは思うんよ~。でも、私は教えて欲しかったから・・・・」

 

乃木さんの言う事は良く分かる。きっと、私たちは満開の代償の事を知っていても戦っていたと、私はそう思う。

 

「まあ、今は後遺症の話はいい。問題はその後だ」

 

その後・・・?

 

「みんなは、黒いクラゲみたいなヤツを見たことあるか?」

「黒い・・・クラゲ?」

 

もしかして、この前見たアレのこと?

 

「この前の、ジェミニと一緒に居たアイツ?」

「知ってるみたいだな。なら話が早いや」

 

風先輩の質問に三ノ輪さんは察して話を続ける。

 

「一度目の満開が終わった後で、そいつらがバーテックスと一緒に出てきた。で、もう一度満開しようとした時に、"何かをされた"」

「何か・・・?」

「何かって・・・・・・何よ?」

「分からない。何かされたのは明らかなんだ。でも何をされたのか、まったく分からなかった。でも、そのせいで、アタシはこんな体になっちまった」

 

三ノ輪さんの身に、いったい何が起きたんだろう・・・

 

「アタシは気絶してたらしいから知らないけど、園子ともう一人の仲間も、同じように何かされたそうだ」

「という訳で、ここからはわたしが話すね~」

 

三ノ輪さんから乃木さんに、バトンタッチして話は続く。

 

「わたしが気付いた時には、ミノさんとわっ・・・・もう一人のお友達はお面を着けた誰かさんに気絶させられていたんよ。真鍮製の義眼とサークレットを着けさせられて」

 

真鍮製?

 

「ちょっと待って・・・・真鍮製って、確か・・・・」

 

風先輩と夏凜ちゃんが何かに気付いて声を上げる。

 

「・・・・て事は、まさか・・・・強制契約!?」

「それも知ってるんだ~。すごいね~!」

「・・・・まぁ、ね。でもそっか、そっちのあんたが幽霊状態なのは・・・・」

「あはは、ご明察。契約失敗でこうなった」

 

え?契約?それってどういう・・・?

 

「簡単に説明すると、ミノさんたちはそのお面の誰かさんに、悪魔との強制契約をさせられたんよ。わたしはその前になんとかしてくれたけど・・・・・」

「アタシはご覧の通り失敗。もう一人は・・・・・」

 

言葉を区切って、乃木さんと三ノ輪さんは、東郷さんを見る。

 

 

 

 

 

「──────記憶を無くしてしまった・・・・のね」

 

 

 

 

 

「・・・・・・ああ」

 

東郷さんの言葉に、三ノ輪さんが頷いた。

 

「・・・・私には、二年前の記憶が無い。それは、私がされた強制契約のせい・・・・」

「正確には、強制契約を解こうとして無理矢理満開したせいだね・・・・そのせいで、散華システムにバグが出て、本来なら選ばれないはずの記憶が、選ばれちゃったみたいなんよ~」

「そんな・・・・・」

 

東郷さんの過去に、そんな事が・・・・

 

「・・・・・それじゃあ、私の記憶は─────」

「ま、戻す方法は、無い訳じゃないけどな」

「ほんと!?」

 

三ノ輪さんの一言に、私は思わず嬉しくなった。だって、東郷さんの記憶も取り戻せるんだもん!

 

「おお~、すごい食い付きなんよ~♪」

「あ、ごめんなさい・・・///」

「はは、良いよ。それだけ想ってるって事だし・・・・良い友達を持ったんだな」

「───────ええ、私には勿体無いくらいよ」

 

―――――――――――†――――――――――

 

「・・・・・で、結局私たちを呼んだのは、その謎のお面野郎に注意しろって話?」

「うん、そんな感じ~」

 

謎のお面か・・・・・・

 

「どんなお面なんですか?」

「ああ、それを言ってなかったんよ~。えっと・・・・あ、紙とペン無い~?」

「此所に」

「あ~、ありがと~」

 

お面の神官さんが懐からメモ帳とペンを取り出して乃木さんに渡した。そういえば、さっきから居たっけ・・・

 

「さらさらさら~・・・・っと、う~ん、右手が動かしにくいからちょっとへたっぴになっちゃった~」

 

乃木さんが書いた絵を見る。確かにちょっぴり歪んでいるけど、太陽っぽいマークが書かれたお面という事はちゃんと分かる。

 

「なんか、太陽っぽいわね」

「これがその謎のお面野郎のお面ね・・・・」

「・・・・・・・・こいつが」

「───────(ゴクリ)」

 

なんだろう・・・・・どこかで見覚えが────

 

「勇者様方。そろそろお時間です」

 

神官さんに言われて気付く。もうこんな時間────

 

「あれあれ~?もうなの~?おしゃべりしてると、時間が流れるのって早いや~」

「とりあえず、伝えるべき事は伝えられたし・・・今はとにかく待っていて欲しい」

 

御社と謎のお面さんか・・・・・・そういえば・・・・・

 

「あの、どうしてこのお面の人と御社が関係してるって分かったんですか?」

「ん?あ~、それはね、そのお面の誰かさんが言ってたんよ。『我々"御社"の崇高なる使命の為、貴女達に人柱となって貰う』って」

 

人柱・・・・どうして、そんな事を・・・・

 

「ともかく、今はどうにも出来ない。アタシや錬獄の人たちを信じて待って欲しい」

「・・・・・・分かった。錬獄とかいう組織は信じられないけど、あなたたちがそう言うなら───」

 

風先輩はそれだけ言って、病室を出ていく。その後に私たちも続く。

 

―――――――――――†――――――――――

 

今日はたくさんの事があった。

かぐやちゃんが知ったら、どんな顔をするかな・・・・・・?

 

「ただいまー!かぐやちゃん、聞いて!あのね────」

 

いつもの調子でかぐやちゃん家にお邪魔して、そのままかぐやちゃんの部屋に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋には誰も居なくて、開いた窓から吹き込む風が、カーテンを揺らしているだけだった………




-この作品における精霊の作り方-

チャージされた勇者の力と、散華により抜き取られた身体機能を神樹の力で混ぜ合わせて神樹内に蓄積されている"精霊"の伝承を使用して創造される。
よって、姿形、能力は勇者毎にまちまち。
逆を言えば、精霊から身体機能を取り戻すことができれば、散華によって奪われた供物は取り返す事ができる。
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