エクストラシナリオ第二回は友奈ちゃんのお誕生日回!
それではどうぞ、御堪能ください
神世紀300年3月21日
この日をもって、結城友奈は13歳になる。
そのお祝いに・・・と、勇者部の仲間たち三人はパーティーの準備に勤しんでいた。勿論、友奈には内緒で、だ。
そして迎えた当日────
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「お誕生日おめでとう!友奈ちゃん」
「おめでとう!友奈!」
「えへへ♪ありがとうございます!風先輩。東郷さん」
輝夜の家にて行われる誕生日パーティー。
笑顔の友奈。
拍手で今日という日を祝う東郷と風。
しかしそこに、輝夜の姿は無い。
「にしても煌月ってば・・・・どこほっつき歩いてんのよ・・・・・」
「どうしたのでしょう?輝夜くん、一番張り切っていたのに・・・・・」
「─────────」
「今朝から見ないと思ってはいたけど・・・・・まさかパーティーに遅刻するなんて・・・・・来たらなんて言ってやろうかしら」
「吊るしましょう。風先輩」
「許可するワ!」
「わー!待って待って!?」
危険な事を言い始めた二人を制止し、友奈は少し申し訳なさそうに言う。
「かぐやちゃんだったら、平気です。いつもこんな感じなんで」
「いつも?」
「どういう事?」
「実は─────」
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輝夜は、こういったイベント事に、時間通りに間に合った試しが無い。
それは彼が、時間にルーズな性格をしているからだとかでは無くて、単に運が無いのだ。
否、
彼のそれは、『
その顕著たる例が、四年程前の296年同日に起きた事故だ。
「その日、かぐやちゃんの帰りが遅くて、わたし、心配になって探したんです。怖かったけど、路地裏とかも見てまわったりして・・・・・」
そうして、友奈が輝夜を見つけた時には、全てが手遅れだった。
「かぐやちゃんは・・・・・重症を負って・・・・・どうにか助かったけど・・・・・」
「そんな事が・・・・・・」
「─────煌月」
「その日から、かぐやちゃんが何かしら頑張ろうとすると、いつも決まって大怪我するようになってしまって─────」
これには、流石に二人も閉口せざるを得なかった。
「だから、良いんです。かぐやちゃんがちゃんと無事、帰ってきてくれるなら、わたし・・・・・それ以上、望んだりは・・・・・しません」
寂しげに笑う友奈。と、その時だった。
「いーや!望んでもらうぜ。なんたって今日のパーティーのメインはお前なんだからさ!!」
その声に、慌てて三人がリビングの入り口の方向を向く。
「─────かぐやちゃん」
「よ。今年は間に合ったな!」
「ドヤ顔で決めている処申し訳ありませんが坊っちゃん、私がたまたま通りがからなかったらあのまま海まで直行でしたよ?」
「─────言わなけりゃ、単に"水も滴る良い男"で済んだのに」
その言葉の通り、輝夜と彼に肩を貸している不同の二人はずぶ濡れだった。
「ならないでしょう。坊っちゃんですし」
「ひどいやひどいや」
「え?なんで不同先生が?てか、煌月はなんでびしょ濡れなの!?」
疑問符を頭に浮かべる風に、不同が答える。
「私は元々、この家の使用人でして・・・・・教師は副業なんです。お給料も良いですしね」
「最後の一言だけは聞きたくなかったワ・・・・・」
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びしょ濡れのままでは風邪を引いてしまうからと、風に着替えるよう言われた輝夜は、自室にて制服から私服へと着替えてきた。ワイシャツとチノパンという、知ってる者たちからすれば『いつも通りの輝夜』のスタイルだ。
「煌月、その服気に入ってるの?」
「Simple is Bestだよ、風さん♪単純なれども侮るなかれ!・・・・ってね」
それより!と前置いて、輝夜は友奈に小さな包みを手渡す。
「Happy Birthday友奈」
「かぐやちゃん・・・・・・」
「ちょっと時間がかかっちまったが・・・・・今回はちゃんと今日中に渡せたから、それで許せ。な?」
「────────開けて良い?」
「スルーか・・・・・・・・ああ、モチロン」
包みの中には、植物を模したチェーンネックレス。
「これ・・・・・アイビー?」
「どっちかと言うとキヅタ」
「・・・・・違いがわからん」
きょとんとしている風に輝夜が違いを教える。が、全く理解できていないようだ。
そんな二人をよそに友奈は、貰ったネックレスを大事そうに握りしめていた。その頬は、ほんのりと朱に染まっている。
「良かったわね、友奈ちゃん♪」
「うんっ!!」
こうして、友奈の誕生日パーティーはどうにか無事終了した。
ちなみに、キヅタの花言葉はアイビーとほぼ同様で『友情』『不滅』『誠実』そして───────
『死んでも離れない』
神世紀296年3月21日の事故について───
世間的には事故と公表されているが、その実態は輝夜が『あるもの』と戦い、それを大赦がもみ消した。
この時に輝夜はニルヴァーナを使用。反動で自壊を起こし、下半身と左腕、内臓のいくつかを失った。
この日以降、輝夜が本気で取り組む場合、何かしらの障害が発生し、輝夜が負傷するようになる。
当初は毎度大怪我を負っていたが、最近ではキツツキに追いかけられ亀につまずいて川に落ちる程度で済んでいる。