契約者たちへの鎮魂歌   作:渚のグレイズ

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お誕生日おめでとう!東郷さん!!

そんな訳で、今回は東郷さんと輝夜の馴れ初め話。


どうぞ、御堪能ください。


EXTRA.2 『好敵手』と書いて"親友"と読む間柄

―――――――――――†――――――――――

 

~それは、勇者部が発足してから半年ほどが経過した頃のお話~

 

―――――――――――†――――――――――

 

「東郷と煌月は、ホント仲良いわよねー」

 

ある日の事、風と東郷が部室にて作業していると、唐突に風がそんな事を言い出した。

ちなみに輝夜と友奈はここにはいない。依頼で別の場所に行っているのだ。

 

「そう見えますか?」

「見える見える。なんか~、熟年の夫婦って感じよね~」

「うーん・・・・・・そうなんですか・・・・・」

「あら?それほど嬉しくない?」

「そうですね・・・・別にそこまで私たち、仲が良い訳ではないですから」

「え!?そうなの?」

 

風の驚きは最もである。

東郷と輝夜のコンビネーションは、まさに阿吽の呼吸と言うべきもので、風が言ったように『長年連れ添った夫婦』のような以心伝心っぷりを見せる時がある。

だが東郷は、『あまり仲は良くない』等と宣うのだった。

 

「──────そうですね・・・・・せっかくですから、私と輝夜くんの馴れ初めのお話でもしましょうか?」

「良いけど・・・・それ、話して良いの?」

「友奈ちゃんがいないから大丈夫です」

「あ、そう」

 

東郷の発言に、なんとなく察した風は、とりあえず何も言わずに東郷の話を聞くことにするのだった。

 

―――――――――――†――――――――――

 

東郷の、輝夜に対する第一印象は『人形みたいな人』だった。

当時の輝夜は、話しかければ受け答えはするものの、会話をしようとはしない、機械じみた人物だった。

他の人々に対してもそうであったのなら、東郷もそこまで気に止めなかった。

が、どういう訳か、そのような態度を取るのが東郷に対してのみであった。それを知った東郷は、輝夜に問い詰めてみるも、そっぽを向いて「別に・・・・」と宣うだけであった。

これには、流石の東郷も憤慨した。

自分が何かしたのか、悪い所があるのなら治す、そう言ってみるも、「気にするな」だの「なんでもない」だのと、とりつく島も無い。

この輝夜の様子に、当時は友奈も困惑しており、心配して二人の仲を取り持つように行動していた。

が、それでも二人の距離は一向に縮まる気配を見せず、数日が経過した。

 

そんなある日。

 

東郷、友奈、輝夜の三人で買い物に出掛けた日のことだ。

忘れ物をしたと言う友奈が、一人店に戻って行った後、少しして輝夜が「ここに居ろ」と言って路地裏へと消えて行った。

直後、路地裏から聞こえてきたのは怒号と殴り合う音。

嫌な予感がした東郷は、輝夜の言い付けを守らず、路地裏を覗いた。

そこでは、高校生くらいの不良たちを相手に、体格の差を上手く利用して無双する輝夜の姿が。

 

「煌月くん・・・・・!」

「!?お前・・・・・なんでっ!?」

 

その一瞬の隙を、不良たちは見逃さなかった。

 

「来い!」

「きゃっ!?」

 

不良の一人が東郷の腕を掴み、引き寄せる。

 

「テメエ!こいつがどうなってもいいのか!!」

「────────────」

「・・・・・・煌月くん」

 

輝夜は何も言わず、両手を挙げ、東郷を見つめていた。

 

「──────────?」

 

その視線はとても暖かで、どうしてか東郷は怖いはずなのに怖くなかった。

 

「やっちまえ!!」

 

東郷を人質にとった不良が仲間に命じたその時

 

 

 

 

 

「ていっ!!」

 

 

 

 

 

「んぎぃ!?」

 

可愛らしい掛け声が、東郷の後ろから聞こえてきたと思った次の瞬間には、不良が潰れたカエルみたいな声を上げて、泡を吹いて倒れた。当然、東郷も一緒に倒れる、が

 

「大丈夫!?東郷さん!!」

「・・・・・友奈ちゃん」

 

東郷を助けたのは友奈だった。

そこから後は一方的だった。不良たちを蹴散らし、輝夜は東郷に駆け寄る。

 

「怪我は無いか?」

「え・・・・・ええ」

「──────────ここに居ろ、そう言ったはずだろう」

「・・・・・・・・・ごめんなさい。でも心配で」

「──────────これに懲りたら、俺に関わるな。また、同じ目にあう」

「───────────────────どうして」

「え?」

 

その、突き放すような物言いに、ついに東郷の我慢が解かれた。

 

「どうしてそうやって私を除け者にするの!?」

「え・・・・・いや、別に・・・・」

「私の事が嫌いなら、はっきりそう言ってよ!!なんなのいったい!?いい加減にしてよ!!!」

「───────────────」

 

ひとしきり声を荒げた東郷は、呼吸を整えて一言。

 

「─────私は、できることなら、煌月くんとも仲良くなりたい」

「・・・・・・そう」

「ねぇ、教えて?どうして私の事、避けてたの?」

「────────────それ、は」

 

ちらり、と友奈の方を見る。

何かを察した友奈は、それを見て言った。

 

「もしかして、私が聞いちゃダメなやつかな?だったら私、先に帰るよ。かぐやちゃん、東郷さんと仲直りしたら、ちゃんと送ってあげてよ?」

 

それだけ言って、友奈は先に帰宅した。

後に残った二人は、近くの公園に向かい、そこで話し合う事にするのであった。

 

―――――――――――†――――――――――

 

公園について早々、輝夜は自販機で緑茶を購入し、それを東郷に手渡した。

 

「───────ほれ」

「あ・・・・・緑茶」

「ペットボトルだが、そこは我慢してくれ。ここの自販機、紙パックのは置いてないんだ」

「────────ありがとう」

 

一口飲んで、再び口を開く。

 

「煌月くんはこうやって、誰かをちゃんと労れる。私、煌月くんのそういう所、嫌いじゃないわ」

「────────そう」

「さっきのだってそう。あの不良さん、猫をいじめていた」

「・・・・・・・・気付いてたのか」

「髪に猫の毛、付いてるわよ?」

 

言われて輝夜は、自分の髪を探る。

確かに、茶色の毛が付着していた。

 

「良い観察眼だな」

「ありがとう。それで?どうして私を避けてたの?」

「───────────自分でも、よくわからない」

「え?」

 

輝夜は至って真剣な顔で語る。

 

「お前が友奈と会話していると、何故か胸の奥がチリチリする。なんと言うか・・・・・友奈が、遠くに行ってしまったみたいで・・・・・・」

「─────────────それって」

「?」

「煌月くん、もしかして・・・・・・嫉妬してたの?私に」

「嫉妬?これが?」

「そうだと思う」

「─────────────ああ、成る程、これが・・・・・嫉妬」

 

そう呟いた輝夜の顔は、東郷がこれまで見たどんな表情よりも晴れやかで、可憐であった。

 

「─────────────」

「ありがとう、お前のおかげでこの感情の正体がわかった」

「─────────────」

「ついては、これまでの礼をしたいんだが・・・・・・・どうした?」

「ふぇ!?」

「俺の顔に何か付いてるのか?」

「い・・・・いいえ!何も!!そ・・・・・それより!お礼ですって?」

 

まさか、輝夜に見惚れていたとは言い出せず、東郷は話を合わせようとする。

 

「ん?ああ、何が良い?俺にできることなら、何でもしてみせよう」

「な・・・・なんでも?」

「うむ、男に二言は無い」

 

一瞬、輝夜に女装を頼もうと思った東郷だったが、それをぐっと堪えて、ある事を提案するのだった。

 

「それなら、私のこと、名前で呼んでほしいな」

「名前?────────東郷」

「・・・・・・・・・・・・・下の名前じゃないの?」

「・・・・・・・・・・・・・いきなりは流石に」

「もう、仕方ないわね・・・・・・・じゃ、それで帳消しにしてあげる」

「ありが「その代わり!」?」

 

輝夜の感謝の言葉をふさいで、東郷が続ける。

 

「これからあなたの事は、"輝夜くん"って呼ばせてもらうわ」

「────────────えぇ」

「あら、駄目?私、今まであなたに避けられてて、すっごい傷付いたのだけれど・・・・・」

「───────────わかったよ・・・・・・・ったく」

「うふふ♪よろしい!」

 

ため息をつく輝夜。微笑む東郷。

 

「それにしても、まさか、輝夜くんもだったなんて」

「"も"?」

「だって輝夜くん、友奈ちゃんと一緒にいた時間は、私よりも長いでしょ?それは、私には決して埋められない差。だから・・・・・・」

「─────成る程。似た者同士ってワケね」

「そういうこと」

 

今度は二人して笑いあう。

 

「───────なら、今後は好敵手(ライバル)としても」

「ええ、仲良くやっていきましょ」

 

こうして、二人は友達になった。

最も、それだけでは収まらない関係と言えなくも無いが・・・・

 

―――――――――――†――――――――――

 

「────こんなところですね」

「・・・・・・・・・なんと言うか・・・・・青春ねえ」

「うふふ、そうですね」

 

部室に、二人の笑い声が響く。

そこへ更に、二人の声が追加される。

 

 

 

 

 

今日も勇者部は、平和である。

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