極星寮に入ることになり、田所や他の寮生たちと歓迎パーティーで盛り上がると同時にこの学園での頂点にいる「十傑」の存在。そして歓迎パーティーを開いてくれた一色先輩がその七席だという事を知った。
『その学園で生き残れないようじゃあ、俺を越えるなんて笑い話だな』
―――親父を越えるためにもこの学園でてっぺんを取る。というわけで
「勝負だ!一色先輩!!」
と勝負を吹っ掛けてみたものの、見事に断られた。なんでも十傑に挑む場合の賭けの内容としては「俺の退学」を賭けても「食戟」が成立しないらしい。十傑ってそんなにすげーもんなのか…。
ふみ緒さん曰くこの極星寮は毎年のように何人もの十傑を輩出してきた黄金時代があったらしい。
「それに比べてあんた達の情けない事!」
「あぁもう聞き飽きたっての!」
「一人はいるんだから我慢しろよふみ緒さん」
「それに僕だけではありませんよ、僕の前にもいたじゃないですか」
「…ああ、あの子かい。」
一色先輩の言葉にふみ緒さんが反応する。
「あの子?」
「?なんだ、田所たちも知らねーのか?」
「う、うん。私たちが寮に入った時には一色先輩しか寮生はいなかったから…」
「『あの子』って誰ですか?卒業生?」
「ふふ、そのうち分かるよ」
「教えてくれてもいいじゃんっ、一色先輩とふみ緒さんのケチー!!」
結局その時はいくら聞いても答えてもらえなかった。
「っくしゅ!」
「おいどーした司、風邪かー?」
「わかんない…」
「…噂されてたりして」
「司だからなー」
「こ、怖いこといわないでよ」
風邪も噂も困るがリンドウともものせいで後者の方が怖くなってしまった。まだ書類整理の途中で結構な量があるのに夕方とか夜までかかったらちゃんと自分のマンションにたどり着けるんだろうか。また宿直室のお世話になるわけにいかないだろうし。えりなには敷地内にある薙切邸に出入りしてもいいって言われてるけど、まさか帰り道が怖いからなんて理由を言うわけにもいかない。
「…そういえばそろそろ一年は合宿か」
「あ、話逸らした」
「逸らしたな」
「もういいでしょ!!…この合宿での成績は秋の選抜出場者選考の要素のひとつなんだから他人事じゃないしね。もしぱっとしないような生徒を出したら審査員の人たちからブーイングが来るのは最終的に絞った
「え、なに?今年の審査員そんなきびしー人になんの?」
「なるかどうかはわからないけど…叡山君が声かけた人のリストの中にあの千俵姉妹がいたから」
「あーなるほど…」
察したのかリンドウと声には出さないがもももめんどくさそうにしている。
「…でもお題が「カレー」にでもならなきゃ来ないと思う」
「ももーそれはフラグっていうんだぜ」
「リンドウも不吉なこと言うのはやめて」
「しっかし選抜かーまた月天の間でやんのかー」
「変更が無ければそうなる」
「やったなーもも、また気合の入った司の肖像画見れるぞー」
「!?わ、私だって知らなかったんだよ、あんなでかでかと載せられるなんて!」
久我と食戟する前に先輩たちに勝って一席になったからバタバタしてて月天の間の話を聞いてなかった。一年の選抜の時は緊張してて周り見てるどころじゃなかったし、十傑の先輩たちと食戟したときも食戟のことしか頭になかったからなあ…
『あのー司一席、月天の間の件なんですが…』
『すみません、今手が離せなくて』
『分かりました。では写真で代用しておきますね―――絵の方は一年生との食戟後に伺います』
『はい』←聞いてない
一週間後
『約束の通り伺わせていただきました~♪』
『え、は、はぁ(約束ってなんだっけ?)』
そして状況が飲み込めないまま椅子に座らされ巨大なキャンバスに描かれていくのだった…
「やっぱりやだ!会場の仕事じゃなくて裏方になる!!」
「おいおい司、もし千俵姉妹が来た時だれが相手すんだよ。来てくれたとしても姉の方なんて確実におまえ目当てだろーが」
「そ、そこはきっと叡山君と一色がなんとかしてくれるよ!それにほら、妹のおりえさんは一色を付けておけば、ね!」
「…そんなうまくいくかな」
「……それは聞かないで、もも」
そして、夏が来る――――――