あと、更新はゆっくりになると思いますが、食戟のソーマ熱は有り余ってますのでのろのろーっと連載は続けます。
ストーカーが落ち着いて極星寮での日々に癒されながらも、十傑の激務は変わらない。
私の机の上には書類の山が私を取り囲むように鎮座している。
「提出期限、延びないかな…」
「無理だな追加だ」
「そっかー、そうだよねー…」
女木島の一言にあしらわれながら今日も仕事に励む。慧君やみんな(リンドウ以外)は要領よくこなしてるのに私ときたら…
「そういえば叡山君は?」
「見てねえな」
「そっか」
あの評議会会議の後辺りからあまり会ってないし、前より私用で学園外に行ってることが多いみたいだから気になるんだけど…外にパイプを持つにあたって忙しい時期なのかもしれない。来年は三年生になって卒業後のことも考えなきゃならないわけだし。叡山君のことだから引く手数多だと思うけど。
まあ学園生活に支障をきたさないならそれでいいか…なんて思っていたら執務室の扉が勢いよく開いた。入ってきたのは―――久我だった。
「司さん!」
「久我、どうしたの?」
「テレビ見た?!校内放送のテレビ!!」
「見てない、けど」
「なら見て、今すぐ!!」
言われるがままに急いでテレビを付けた。
映し出されたのは――――――
「食、戟?」
叡山君が3-0で食戟に勝利する姿だった。でも
「審査員が、料理に手を付けてない」
更に言えば叡山君の料理は見るからに手抜きだ。これではいくら十傑といえど相手の料理の方が断然美味しそうに見える。どういうことだ?
叡山君は渡されたマイクを持つとカメラに向かって話し始めた。
『今日これより、学園内の組織の仕分けを行う。よってこの甲山鉄次率いる研究会の取り潰し及び本人の退学。異論のあるやつはかかってきてもいいぜ?―――まあ尤も?この映像を見てそんなことができるならだけどなあ?』
テレビを消す。十傑に何の提言も無しにこんな大規模なことを…
「女木島、久我。すぐに他の十傑たちも召集して、緊急の評議会会議を開く」
「「了解」」
――――――
みんなが集まるものの、ただ一人、叡山君だけは来なかった。
「みんな、緊急の評議会会議に集まってくれてありがとう。議題は言うまでもないと思うけど今回テレビで流れた叡山君の独断による仕分けの事。…私は十傑全員に声を掛けてもらったと思ったんだけど。久我、叡山君は?」
「知らない。俺が司さんに頼まれて一色とおさげ呼んで最後に行こうとしたら、クラスの担任が叡山は早退したって」
「そ、ありがとう」
「というか何この無茶苦茶なやり方。独断ってももたちどころか司にも話いってなかったってこと?」
「久我に言われてテレビ見るまで知らなかったよ」
「それにえーざんのやつ、近頃外に出ずっぱりでほとんど学園いなかったしなー。寧々はなんか知らないのかー?」
「いえ、まず十傑以外での関わりなんて時々授業で一緒になるくらいですから。それに最近は授業にも出てなかったようですし…」
となると学園内での手掛かりはなしか…
「にしても随分急ですね、学園内の組織の仕分けなんて。普通は薙切くんのように一団体ごとに食戟を挑んで規模縮小や取り潰しにしていくものだと思いますが…」
「ま、腐っても叡山のやつも十傑の九席だからねー、わざわざこんな騒ぎ立てなくても生徒の一人や二人、研究会を正式に潰すなんてことも出来たんじゃね?アイツに至っては口八丁で丸め込むなんてこともできるだろーしね」
「久我」
「だってホントのことじゃん。だから余計に訳分かんなくなってるんでしょ?」
「学園内部ではないとなると、外部の大物との繋がりか?」
「かもしれないね。…それに今回の食戟はあまりにも腑に落ちない点が多すぎる。叡山君に点数を入れていた審査員たちはどちらの料理にも手を付けていなかった。それどころか明らかに叡山君の料理が手抜きで相手の料理の方が美味しそうに見えるのに叡山君に票を入れた。まるで最初から決まっていたようにね。」
「……審査員を買収しやがったってことか」
「あの…」
すると弱々しくえりなが手を挙げた。
「もしかしたら、叡山先輩の後ろ盾になっているのはお父様……薙切薊かもしれません」
「!ああそっか、新総帥就任の書類とか著名とか持ってきたのえーざんのやつだったもんな!」
「ええ。まだ確実とは言えませんが……」
「たしかに、その可能性は否定できないね」
私がそう言うとみんなが一斉に私の方に視線を向ける。
「この間の不意打ちの会食の時、彼は私を新設する機関…「美食機関」に勧誘してきた。彼にはそれ相応のコネがあるみたいだし、外部と多くの関わりを持つ叡山君と何らかの形で接触があったとしても不思議じゃない」
「不意打ちの、会食…?」
「聞いてないぞー司ー」
「ご、ごめん。でもあの時は今より余裕なかったから、言いそびれて……」
みんなにちくちく言われて改めて「ああ、自分って頼りない上に馬鹿なんだな…」って思った。
「とにかく!必ず十傑の誰かと一緒にいろよ、ただでさえあの親父さん前々からおまえにストーカーしてただろーが」
「…そうだね」
あの控室の…いやリンドウいわく去年の月饗祭の時からだもんなあ…なんかまた寒くなってきた。
と思っていたらえりなの顔色も悪かった。
「す、ストーカー?あ、あのお父様が…」
あ、これまずいかも。
「あ、え、えっと!現在の一席としての私の品定めみたいなことしてたのかもね!」
「でも不意打ちの会食で欲しいってスカウトされたんだろ?」
「不意打ち…ほしい…ストーカー…」
私がフォローしようとしてもリンドウが容赦なく話を抉ってきた。えりなはパンク寸前の機械のようにぶつぶつと呟いている。
「…はぁ」
まだまだ続くであろうこの混沌とした会議や私周辺の警戒に私は人知れず溜息を吐くのだった。