瑛璃ちゃんと違って自分で志願してトリップしてきた子なので記憶ありでギフト多数のテンプレートさんです。いわゆる本命ありきの逆ハー最強になりたかった子。
春。
待ちに待った学園生活が今幕を開けようとしている。
私、堺琴音(さかい ことね)は今日から遠月学園高等部一年生にして極星寮生である!
……ここだけの話、私は転生トリッパーである。夢の中で神様的な人に会って願いを叶えてもらったのだ。
ズバリその願いとは『食戟のソーマの世界に転生』である!そして転生特典として料理の才能をもらった私は今のところ敵なーし!いや、あの高飛車なえりな様とかには関わってないけど。だって怖いもん!!
中等部からいるから入学も簡単だったし、本編はここからだ!!
あわよくば推しメンの司先輩とゴールイン……なーんちゃって☆
……………………なーんて思ってた。思って、いた。
高等部の入学式、までは。
『在校生代表―――十傑評議会第一席・司瑛璃』
え?司……えいり?えいしじゃなくて?
そして透明感のある高い美声。あれ?石田ボイスじゃない?
壇上に上がったのは美しい長い銀髪に陶器のような真っ白の肌をした───まるで女神のような容貌の女子生徒だった。
成り代わりかコノヤロー!!
そして私は情報収集することにした。
司瑛璃。遠月学園高等部三年生。一年生の秋に十傑と互いに退学と席次をかけた食戟をして圧勝しそのまま第五席になる。その後二年生に上がると同時に三席になり、当時の一席と四席を打ち負かしたことで一席になる。
講師たちの間ではその苛烈とも取れる料理への姿勢から『講師潰し』と恐れられている。
成績優秀、百戦錬磨、才色兼備……というのが総合的評価。
そんな功績を持ちながらも彼女自身は控えめな性格であり、自ら進んで十傑以外の輪の中に入ろうとはしない。
……こんな完璧超人、メアリースーっていうか僕の考えた最強キャラ以外いねーだろ。うん。
……私も人の事言えないけど、キャラ狙いなのかこの人。夢小説に悪女とか猫かぶりのキャラはほぼ付き物といっても過言じゃないけどさー……
とりあえず高等部に上がりたての今、学園を敵に回すのは神様のギフト付きの私でも不味いのでここは静観を決め込んでおく事にした。
はず、なんだけど。
「幸平創真は君から見てどんな生徒?」
「……はい?」
なぜか私は今、その苦手な先輩に話しかけられている。教室に射し込む夕日に照らされた彼女は同性の私から見ても嫌味なくらい美しい。
「ああごめんね急に。私は」
「三年生で十傑評議会第一席の司瑛璃先輩ですよね。知ってます。それで、そんな先輩が一介の一年生である私になぜ質問を?」
かなり刺々しい対応になっている。あれ、おかしいな。基本的に穏やかな性格で相手に先入観を持たせないって設定が働いてない。
「君のクラスメイトの幸平創真の事を知りたくてね。それでこのクラスに来たんだ」
「へー、なるほど。先輩は幸平君にご執心なんですね」
「執心っていうか……まあそうだね。彼に興味を惹かれているのは確かだよ。えっと、教えてくれるかな?」
「お答えする義務はありませんよね?」
「まあそうなんだけど」
「ならすみませんが私はこれで。今日は行くところがあるので」
「そうだったんだね。ごめんね時間取らせて」
「失礼します」
取り繕う事もなく私は教室を出た。
司瑛璃───彼女は申し訳なさそうな憂いを帯びた苦い笑顔でさえ美しかった。
人はそれを羨望と嫉妬という。