中等部から高等部に上がり、宿泊研修に秋の選抜、実地研修が終わりひと段落した頃。
「紅葉狩り会?」
「おー、つーか司、おまえ選抜優勝してんのになんで知らねーんだよ」
「今私のマンションに郵便届かないようにしてあるから」
「あー、そっか…ストーカー対策か」
「うん」
隠すまでもないことだが私はストーカーされやすい。最初は自分だって自意識過剰だと思ってた。でも違ったんだ…始まりは食戟の申し込みの手紙に埋もれてた名前のない手紙。「好きです」の一言のみの手紙だった。物好きなのか間違いなのか…その時は気にしていなかった。でもそれから内容は日に日に過激になっていってついには私の行動を監視しているような旨のものになっていったのだ。手紙の内容も私の名指しだったし。そのうち食べ物とか変なにおいのする小包とかが届いた。やばい。
これはもう勘違いでは済まないと、このまま寮にいたらふみ緒さんにまで迷惑をかけかねないことから止む負えなく退寮することにした。中等部の一年間だけというなんとも短い間だった。ふみ緒さんの作るブリ大根、好きだったんだけどなあ…
両親に連絡し、二人は心配してくれたが実家を補足されては不味いのでセキュリティの万全な物件が見つかるまで周辺のホテルを転々とする生活をしていた。そして入居したはいいがストーカーが増えていた。なぜ増えたと分かったかというとそのストーカーのうち一人が私の部屋に入ろうとして逮捕されたからだ。それでも来る手紙が止むことはなかったのでその手紙をDNA鑑定にかけてほかにも目撃証言などをしていった結果、学園の高等部の先輩(面識なし)だということが発覚し前の食戟と同じ条件で叩き潰した。これで一安心…と思ったがまた別の手紙や差し入れのようなものが届くようになった。念のため探知機で盗聴器を探したらあったし、どうやって入ったんだ。
なので今住んでいるのは更に厳重なマンションの一室であり、郵便物も実家以外から届かないようにしてある。
「現十傑と来年の十傑候補の顔合わせか…なんかあるのかな…も、もし失礼なことして退学なんてなった日には…」
「だいじょーぶだって!本当に顔合わせの茶会みたいなもんらしーし、それに本選出場メンバー皆いるってことはももとか女木島とか斎藤とかもいるってことなんだし。」
「そ、そっか…なら大丈夫かな」
「そーそー」
―――――――――
そして待ちに待った(待ってない)紅葉狩り会―――
なんか十傑の人たちって我が強いというか…個性的な人が多い。あとなんかこの集まりそのものに興味ないけど仕方なくここに来た、みたいな感じがバリバリ伝わってくる。うええー、やっぱり場違いだったのか私!?って思っても、そんなふうに思っているのは私だけのようでリンドウは運ばれてきたお菓子のおかわり貰ってるし、他のみんなもいつも通りだし…
「失礼のないように失礼のないように失礼のないように失礼のないように…」
「ほーら司!先輩たちの前だぜ?しっかりしろって!!」
「あいた!?り、リンドウー…」
隣にいたリンドウから背中に手痛い檄を入れられて我に返る。痛い…でもありがとう。そう思っていると入場してきたときから私のことを睨んでいた五席の男子生徒が怒鳴り出した。
「つかさ…?司っておまえ司瑛璃か!?」
「は、はい」
「なんでこんなやつが紅葉狩り会にきてんだよ?!」
『ええ~っ』
秋の選抜で優勝したからだよ!!とその場にいる全員が心の中で突っ込んだ。
「ああそういえば、屋切の弟はその子に食戟申し込んでこてんぱにされたんだっけ?」
「おまえのせいで弟は!退学になって引きこもりになったんだぞ!!」
「え…?」
凄い剣幕で怒られているのは分かる。分かるのだが…
「(誰だっけ)」
ごめんなさい。まったく思い出せません。リンドウなんかは私の心情を察しているのか呆れ気味にわざとらしくため息をついた。
「ほらアイツだよ、司のことストーキングしてて食戟で負かしたやつ」
「屋切…そういえば茜ケ久保と実習のクラス一緒だったやつじゃないか?」
「…司のことつけ回すようなやつなんて知らない。大体、スタジエに行く時点でクラス、半分もいなかったし…」
「おまえな…」
みんなが話で盛り上がるなか、ついに堪忍袋の緒が切れたのか屋切先輩がキレた(いや、元々怒鳴ってたけど)
「ふっざけんな!!表出ろ一年坊!!」
「いえ、あの…ここ、外です」
「あーらら、言われちゃったね、屋切」
「~っ、こうなったら―――食戟だ!!」
あ、やばい。訂正したら揚げ足取りみたいになってしまった。他の十傑に煽られて先輩は臨戦態勢に入っちゃってるし…
「十傑の方から食戟の申し込み?受けろよ司~♪」
「ええ!?そんな無茶なっ」
「おもしろそーじゃん」
「ああ、別に逃げたいなら逃げてもいいぜ?どうせ俺に負けたら退学になってもらおうと思ってたしな!!」
「…なんだよそれ」
屋切先輩の言葉に悪乗りしていたリンドウの雰囲気が変わる。他のメンバーもだ。
「……あんたなんかに、司、負けないもん」
「なんだとチビ!!こうなったらおまえら全員退学にしてやるぞ!!」
「…わかりました」
「司?」
ももに突っかかっていく屋切先輩の方を向く。視線を合わせると先輩が反応していたけどそんなのどうでもいい。
「その食戟、お受けします。」
こうして、私は屋切先輩を完膚なきまで叩き潰し、第五席の席次に就くことになるのだった。
屋切(元)五席の弟と地の文のストーカーの人たちは別人ですが結局同じことをしていて成敗されたうちの一人です。
茜ケ久保先輩の発言から分かるように十傑たちと主人公仲良しです(友達とか末っ子長女的な具合に)。