食卓の聖騎士(ターフェル・パラディン)   作:紗代

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七皿目 十傑評議会はブラックです。

突然ですが皆さん。私は十傑の三席になりました。リンドウやももたちもちゃんと十傑のメンバーに入っています。自慢かって?うん、私の友達TUEE!!ってはしたいし言いたい。でもね、私自身は違う。だって単純に食戟とかある傾きかけだった店とか放っておけなくなってプロデュースしたりしただけだ。そしたらいつの間にかこの席次になってたんだよ…元々リンドウと一席と二席になる約束をしてたからいいといえばいいのだろう。でもね……仕事多すぎるんだよおおおおお!!生徒に学校の運営任せるってどういうこと!?味見役に視察に会食、講演にコンテストや大会の審査員、スピーチに…切りがない。そのうえ席次が上がれば上がるほどその仕事量が増加していくんだ!だって五席の時より明らかに増えたもん!!事によっては休日出勤も辞さないし、予算を使えるといっても忙しい時期にぶち当たると使う時間がない!!ただでさえストーカーの後遺症でますます弱った胃が!胃痛が既に慢性化してるんだよ!!

…本当に権力と報酬に見合った仕事なのか疑わしいところである。

 

「司~この束も追加だってよ」

「ええ!?」

「何が『屋切先輩と並樹に勝った司三席なら大丈夫』だよ!完全に逆恨みと妬みとサボりじゃねーか!!」

「ああ…一席と四席か」

 

あのいつも明るい猫のようなリンドウが珍しく不機嫌そうに書類の束を持ってきたので受け取ると愚痴り出した。ああ、やっぱりその人たちだったか。

実は私は(ひょっとしたら私たちは)今の三年生の十傑メンバー(一部を除く)に嫌われている。らしい。

というのも私は今のところ料理と自分と親しくしてくれる仲間と興味を引くものしか眼中にない(らしい。洞察力に優れたリンドウのいう事なので本当かもしれない)ので、嫌がらせの犯人とかどうでもよかった。つい最近知って「ど、どうしよう…」とか怯えてしまったけど逆にみんなに「今更?!」と驚かれたのは記憶に新しい。

ちなみに私が三席になったのは前述のことに加えて元三席(現五席)の並樹先輩と食戟して勝利してしまったのも大きい。

私が一年の紅葉狩り会で倒した屋切先輩の勇猛果敢(?)に密かに憧れていたらしい元三席はそれを倒してしまった私を目の敵にしていたらしく、まあ、かいつまんで話すとやっぱり食戟になったわけだ。

そのテーマが「和食」。私の得意分野がフレンチだと分かっていたからか、正反対の自分の得意ジャンルをわざわざ三席の権限を使って設定したらしい。

 

結果、私が勝った。相手は「なぜだあああああ!!」とかジーザス!!ってなりながらオーバーリアクションしてたけど知らない。相手がゴロゴロ転がっている隙に私も相手のスペシャリテだとかいう蕎麦を食べた。―――おいしいといえばおいしいが「寧々の打つ蕎麦の方が美味い」。たぶんこの人、もうこの現状で満足して適当に課題や食戟をこなしていたんだろう。教員や講師たちは十傑に甘いところがあるし授業をサボったところで十傑から降ろされることはない。そもそも十傑に食戟を挑もうとする生徒がいないのだ。寧々の蕎麦を食べさせたら一体どんなリアクションになるのか、見物である。と思っていたら相手は真っ白になって倒れ伏していた。南無。

 

その後、私は一気に三席へと駆け上がった。ちょうど私の五席が空席になったので席次チェンジである。てっきり恨まれているのかと思っていたが杞憂だった。どこで頭を打ったのか、元三席の並樹先輩は超いい人になっていた。いわく「私のおかげで目が覚めた」んだとか。その先輩とはそれ以来うまくやってくるがそれに黙っていなかったのが一席・四席の先輩である。屋切先輩との食戟でへし折られると思っていた私が逆にへし折り切ってしまい飛び入りで五席に、元三席の並樹先輩と食戟することになってやっとかと思ったらそれにも勝利しまた飛んで三席に。そのうえリンドウたちが十傑に入って来た挙句、並樹先輩は私側に寝返ったので勢力とか自分たちの席次死守のために私を厄介者として扱い、嫌がらせをしているらしい。

ちなみに時間がないのも大抵この人たちの仕事を押し付けられているからである。

 

「今頃新一年生は合宿か」

「きっとあの二人なら大丈夫だと思うけど…怪我したりしてないかな…風邪とか…五月っていってもまだ寒いし…」

「大丈夫大丈夫。いーからおまえはこっちに集中しろって、終わんねーぞ?」

「はい…うう」

 

リンドウに急かされて机の上に積まれた書類との格闘を再開する。

 

「今年の紅葉狩り会…荒れないといいけどな」

 

そんなリンドウのつぶやきは、私に届くことなく空気に融けていくのだった。

 

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