地獄の姉弟《ヘルツインズ》~赤と白を宿した双子 作:デンドロビウム
解かれる封印
「イッセー、大丈夫?」
登校途中ヘロヘロになりながら歩いているイッセーに声を掛ける。
「あ、ああ。俺が言い出したことだから大丈夫。」
「あ、あの、回復かけましょうか?」
「いや、大丈夫。さっきかけてもらって傷は治ってるから。サンキューなアーシア。」
そういいながらアーシアの頭を撫でている。良いお兄ちゃんしてるわね。
「もう少し修行軽くしたら?」
「いつもそのつもりなんだけど段々熱くなっていつもと同じに・・・。」
「ティアも戦うの好きだしね~。とはいえこのままじゃ日常生活に支障きたすわよ?」
「そうだな~。毎日じゃなく一日おきにするかな。」
ティア(ティアマットの愛称)を使い魔にしてから毎朝早朝からイッセーは修行をしている。私もたまに参加してるんだけどあの二人が組み手していると毎回ヒートアップして実戦さながらになる。ティアは戦闘狂だし、イッセーも結構ああいう展開好きだからね~。
「程々にしないとリアスに捨てられるわよ?」
「それは困る!!」
「ならちゃんと相手してあげなさい。最近部活でも疲れたままだから心配してるわよ?更に・・・校門で待っててくれるくらいにね。」
そういい校門の前を見るとリアスが手を振っている。
「あちゃ~、やっちまったか。ちょっと色々考えてみるよ、サンキュー姉ちゃん。」
そう言ってイッセーはリアスの所に走って行ってしまった。
「二人の心配は必要ないんじゃないですか?」
聞いてくるアーシアに答える。
「そうなんだけどね。リアスも理解してるからそれでいいかもなんだけどちょっとイッセーらしくなくてね~。」
「らしくないですか?」
「最近色々あって余裕無いみたいだったからね。あいつは周囲の調和を大事にしてるのよ。結構細々みんなのフォローしたりとかしてるんだけど、今回もそうね、あいつ一つの事に夢中になるとそれが一気に無くなるのよ。それじゃあリアスが可愛そうでしょ?だからちょっとしたお節介をね。」
「姉様も充分フォローしてますよね?」
ちょっと楽しそうにアーシアが言ってくる。
「イッセーにはこういう所で助けられてるからね~。私こんなんだし。」
「そんなことは無いです!姉様は充分優しいです!勝手にしてるようでちゃんと周りみて行動してると思いますよ?じゃないと妹になりたいなんて思ってないです。」
アーシアは素直ね~・・・私が照れるくらいには。
「まったく~。ほらほら私達も行くわよ!遅刻しちゃうわ。」
「はい!姉様!」
ニコニコしながらアーシアが着いてくる。
アーシアの言う通りならそれはイッセーのおかげよね~。
そして私とアーシアはイッセーとリアスの所に走って行った。
放課後私達リアスの眷属は部室に集まっていた。
「里奈もトレードが無事に済んで、眷属としては残り
リアスが部長席からみんなに言ってくる。
私も合宿の次の日にトレードしてリアスの眷族になった。
あれ?
「
「そうね。ところで里奈にイッセー、開かずの間知ってるわよね?」
「ええ、強力な封印かかっているわね。・・・あ。」
「そうよ、あそこにもう一人の
なるほど、あの封印術式ならよほどが無い限り破られないでしょうね。
「で、その話をするということは封印を解除するのかしら?」
「そうね。この間の合宿でお兄様が開放しても大丈夫だろうと判断なさったわ。」
「どんな子なの?」
「ハーフヴァンパイアで
なかなかハイスペックね~。
「そんな凄いのによく眷属に出来たわね~。」
「イッセーにも使ったけど
なるほど。
「面白そうな奴じゃない。」
「ふふ、里奈ならそう言うと思ったわ。それじゃあみんな行きましょうか。」
リアスの言葉に従って全員で開かずの間に移動することにした。
「前も思ったけど厳重よね~、封印。」
「それでも夜中には解除されて旧校舎なら自由に動けるようにはしてるのよ?」
リアスが私の言葉に答える。
「まあ、本人はそれでも部屋から出てきませんけど。」
朱乃が補足する。
「引き篭もりなの?」
私の言葉に小猫がコクコク頷いている。
「まずは封印を解きましょう。」
そう言ってリアスと朱乃が呪を唱え封印が解除される。
朱乃が扉を開けて中に入る。
中からドロドロとした魔力を感じる。物凄い魔力なんだけど・・・。
「ギャスパー君、封印は解かれたわお外に出ましょう?」
朱乃が優しく声を掛けるが
「嫌です!ここで魔法の研究してます!」
やっぱりね~。この魔力の感じは引き篭もりの研究者がよく放つ類の魔力ね。陰湿で暗い感じの。
「彼はギャスパー・ヴラディ。魔法の研究が好きでいつも篭って色々実験してるのよ。」
「なるほどね。リアス、ここは私達に任せてくれない?それにリアス達はこの後用事あるでしょ?」
少し考えたリアスが
「気になるけれど仕方ないわね。里奈、それからみんな頼むわね。朱乃に祐斗行くわよ。」
「里奈さん、お願いしますわね。」
「僕も力になりたいけれど・・・よろしく頼むよ。」
そういって三人はこの場から離れていった。
「先輩、どうする気ですか?ギャー君頑固ですよ?」
「まあまあ、手はあるわ。光より生まれし輝く炎よ 我が手に集いて力となれ
そうして私の掌の上に光る魔力の玉が生まれる。
「なんですか!その魔法!」
声と共に中から出て来るギャスパー。
ふっふっふ~。私の魔法は私のオリジナルだからね~、研究者肌にはこういうのが効果的なのよ。
ていうか・・・こいつ男よね?小猫と同じ体格で金髪、さらに女子の制服着てるし・・・似合ってるわね。
「す、すごい!明かりの魔法でここまで安定してるなんて!」
私の魔法を見て興奮している。するとキンッ!と言う音と共に空間が停止した。
「おお、これが時間停止なのね。」
「ああ。凄いなコレ、能力としては反則級じゃね?」
私の言葉にイッセーも同意している。
「ななな、な、なんで動けているんですか!」
「ギャスパーよりも俺達の方が強いからじゃね?」
イッセーがギャスパーに答える。
「そんな・・・朱乃さんやリアス部長でも止まるのに・・・。」
ギャスパーは戸惑っているようね。
「ある程度実力差があるとこの手の能力は効かないわよ?」
「そんな・・・あなた方は最上級クラスはあるんですか?」
そんな話をしていると解除される。
「そうね。それくらいかしら?」
イッセーに聞いてみる。こういうのって気にしてないのよね~。
「通常で最上級の下くらいじゃないかな?」
「いったいあなたたちは・・・?」
「ああ、自己紹介がまだだったわね。私は兵藤里奈。リアスの
「俺は兵藤一誠同じくリアスの
「えと、アーシア・アルジェントです。リアス部長の
それぞれ挨拶する。
「篭ってる間にこんなに増えてたなんて。」
ちょっと驚いているギャスパー。
「ギャスパー、ここから出れば私の魔法教えてあげるわよ?」
「それは!・・・でもでもここから出たら制御出来ない力でみなさんに迷惑かけてしまいます。」
なるほろ、研究好きだけで篭ってるわけじゃないのね。
「じゃあ、制御できるまで力を貸してあげる。どう?」
「無理です!僕も色々研究して試したんですから!」
イッセーが前に出てきて
「研究じゃ制御は無理だろ。
「なんでそんなことわかるんですか!!」
叫ぶギャスパーに私とイッセーは
「それは!?」
「
「それに俺達ならギャスパーの能力は効かないからな、うってつけの練習相手じゃないか?」
イッセーは諭すように言う。
「でも、迷惑になります~。」
「気にしちゃ駄目よ。それに私達も苦労したからね~、それまでやっぱり周りに迷惑かけちゃったし。」
「そうだな~、ただ必要だったと思って開き直って受け入れたかな。後で恩返ししたらいいんだし。そもそも同じ眷属で仲間なんだから気にしなくても良いと思うぜ?」
「そうなんでしょうか?」
まだ言うか!わからんでもないけど。
「じゃあ、二択!制御出来るようになりたいのかなりたくないのか、どっち?」
「そんなの制御出来るようにないたいに決まってるじゃないですか!」
「じゃあ、私達が協力してあげる。そのかわりギャスパーはここからでて学園に通うこと。修行もちゃんと参加すること。いい?」
「いいですけど、学園は・・・。」
そうね~。
「ほれ!」
イッセーがギャスパーに何かを投げる。
「これは?」
ギャスパーが受け取った腕輪を見てイッセーに聞く。
「ああ、それは
イッセー何時の間に。
「・・・分かりました。これからよろしくお願いします!」
こうして新たに眷属が増えた?のだった。
引き篭もりの研究者肌以外は設定は同じです。