地獄の姉弟《ヘルツインズ》~赤と白を宿した双子   作:デンドロビウム

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イッセーの過去

 

 

姉ちゃんが出て行き朱乃さんと二人になった。

 

悩みってなんだろう?なんて考えてても仕方ないから効くしかないか。

 

と、俺から聞こうとしたら先に朱乃さんに声を掛けられた。

 

「イッセー君はご存知なんですよね?私の父が堕天使のバラキエルだと。」

 

「ええ。実際は朱乃さんと知り合う前から知ってました。」

 

「そうだったんですね。」

 

「簡単にですが事情も聞いてます。なので俺から言うのは間違っている気がしたので黙ってました。」

 

家庭の事情に首を突っ込む様な趣味は持ってない。

 

「理性では父が悪くないとは分かっているのです。修行した時に血も受入れる事もしました。でもそれはリアスや皆さんの為で、感情ではまだ父や堕天使を受入れるのを拒んでいるのです。」

 

「いいんじゃないですか?それで。」

 

俺の言葉に朱乃さんはキョトンとした表現をしている。

 

姉ちゃんが俺をここに残す理由がわかった。同じ様な境遇(・・・・・・)の俺が朱乃さんの相談に乗って俺の気持ちにも結論を出せって所だろう。

 

まったくどっちがお人好しなんだか。

 

俺は一回深呼吸してから話す事にした。

 

「実はこれは家族とリアスしか知らない事なんで他の皆には伏せておいて欲しいのですが、俺と姉ちゃんは血は繋がってないんです。」

 

俺の言葉に朱乃さんは驚き

 

「それはどういう・・・。」

 

そこから先は言葉が出ないらしく沈黙してしまった。

 

「名前は出しませんがとある名家の悪魔の血が混ざってます。母が人間で父が悪魔のハーフです。」

 

「でも転生前は悪魔の気配なんて感じませんでしたよ?」

 

そう思うのも当然だけど

 

「それは両親とアザゼルさんにガチガチに封印してもらってたからです。身バレ防止と血の力による暴走の防止の為です。今は制御出来るのとリアスの眷属になったので封印も外れてます。禁手(バランス・ブレイカー)が安定してなかったのも封印の影響もあったからだと思います。」

 

「そうだったんですのね。それで本当の両親の事は?」

 

最もな質問で現状俺もきちんと整理が付いてないところでもあるんだけど

 

「実父もそうですが祖父を恨んでます。幼少期に祖父が主導で虐待を受けていましたから。両親は祖父に言われて俺を虐待してました。祖父は悪意の塊みたいな悪魔(・・)を体現したような奴でしたね。」

 

「そんな虐待なんて・・・。」

 

驚くよな〜、淡々と語ってるし。あいつ等の話になると感情消えちゃうし。

 

「それで隙を見て実母が逃がしてくれたんだけど小さかったのと虐待で体もボロボロになってて冥界の森で倒れてた所を今の両親とアザゼルさんに保護されたんです。それからは父さんや母さんそれに姉ちゃんもですが本当の家族として迎え入れてくれましたし、アザゼルさんも気にしてくれて良くしてくれてます。」

 

まあ、たまに酷い目に合わされたりもしたけど。

 

「俺は実の父とはもうどう仕様も無いですが、朱乃さんとバラキエルさんはお互い心の奥底では思い合ってるように感じます。それなら一度思いを全部ぶつけてみても良いと思います。言葉に出してぶつけ合わないとお互いの事や思いは伝わらないんじゃないかな?と。俺みたいに実の肉親に恨みを持ったままっていうのは寂しいですからね。」

 

朱乃さんは俺の言葉を聞いて目を閉じて考えている。

 

余計な事言っちゃったかな〜?

 

暫く目を閉じていた朱乃さんが目を開き

 

「そうですね。絶交するか許すかは言いたい事言ってから決めますわ。ありがとうイッセー君。」

 

感謝されるとは・・・こういうの慣れてないから照れるな〜。でも心なしかスッキリした表情をしている。

 

「なんか勝手に喋って感謝されると申し訳ない気が。」

 

朱乃さんがフフフッと笑って

 

「相談に乗ってもらって少し気が晴れました。それにイッセー君の過去も教えてもらいましたし。カッコつけすぎじゃありませんか?」

 

なんていたずらっぽい笑みを浮かべる。

 

「ちょ!そう言われるのは恥ずかしいです!」

 

「照れるイッセー君も良いですわね。」

 

そう言って近づいて来て────ちゅっ。

 

?!

 

「相談に乗って貰ったお礼ですわ。」

 

そう言って朱乃さんは部屋から出て行った。

 

・・・・・・キスされた!?なんで!?

 

「イッセーって天然ジゴロよね〜。」

 

声に反応して振りむくとジト目のリアスが立っていた。出て行った筈の朱乃さんはリアスに手を掴まれている。

 

「リアス!?なんで?気配無かったのに!」

 

「里奈の魔法よ。こうなるだろうって里奈に聞いて強制的に飛ばされたのよ。」

 

用意周到すぎるだろ、姉ちゃん!!

 

「え〜と・・・。」

 

そこから言葉が出ない。

 

「朱乃、どういうつもりかしら〜?」

 

「お礼ですわ。」

 

リアスの言葉にシレッと答える朱乃さん。

 

「本心は?」

 

「はぁ〜。本気で惚れましたわ。」

 

観念、といった顔で朱乃さんは答える。

 

「でしょうね〜。なんだかんだ朱乃は身持ち堅いもの。お礼でキスなんてしないでしょ。」

 

「リアス・・・ごめんなさい。」

 

「謝る必要無いわ。そこの天然ジゴロさんが悪いんだもの。でしょ?」

 

相変わらずジト目のリアスが俺に振ってくる。

 

「・・・。」

 

そんなつもりは無いんだけど。

 

前に姉ちゃんにも似たような事言われたような?本当にそうなんだろうか?

 

「里奈さんに帰り際に言われた意味がわかりましたわ。『イッセーは天然だから気を付けてね。』って。」

 

朱乃さんが顔を赤くして困った表情で言っている。

 

「それで見事に陥落したって訳ね。で?イッセーはどうするの?」

 

「ええっ!俺!?って言ってももうリアスと付き合ってるから流石に───」

 

「悪魔の世界は一夫多妻でも大丈夫よ?」

 

リアスが意地悪な顔をして俺の言葉を遮る。

 

朱乃さんも目をウルウルさせて───って!

 

「あの〜、二人共この状況楽しんでません?」

 

「うふふ、バレちゃいましたね。」

 

「よく気付いたわね。」

 

そりゃ、リアスがニヤニヤしてれば嫌でも気づく。

 

「とは言っても朱乃の気持ちは本当だろうし一夫多妻も本当だからちゃんと考えてね?私の事も含めてね。」

 

う〜ん、朱乃さんは嫌いでは無いしむしろ好きだけど付き合うとなると既にリアスと付き合ってるし・・・・。

 

「え〜と、朱乃さんの気持ちは嬉しいんですが今は結論出せそうに無いんで暫く保留でも良いですか?」

 

我ながら優柔不断で曖昧だな〜とは思うが。

 

「という事はまだ可能性はあるって事でいいですわね?」

 

そうなるのか?突然過ぎて考えが纏まらない。

 

「混乱してるイッセーは珍しいわね。私は平等に付き合ってくれるなら許可するわよ?私一人だけ見てくれるならそれに越したことは無いけれど。」

 

リアスからのダメ押し。どうしろと!?

 

「これ以上何か言うとイッセー君が可哀想なので今日は(・・・)この辺にしましょうか。」

 

「そうね。」

 

とりあえず今日は解散になったけど・・・マジでどうしよう?




設定が増えていく・・・。

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