地獄の姉弟《ヘルツインズ》~赤と白を宿した双子 作:デンドロビウム
「姉ちゃん!」
部屋に入って来た私を見てイッセーが声を上げる。
「里奈、大丈夫なの?」
リアスも私を見て心配してくる。
「まだ全快じゃないけどね〜、大丈夫よ。自分の事を説明するのにイッセーに頼んだのもどうかと思ってね。」
「姉ちゃんがそう言うなら任せる。」
そう言いイッセーは椅子にもたれ力を抜く。
「それじゃあ説明するけどみんないい?」
私はみんなが頷くのを確認して話しを始めた。
「まずは両親が強い英雄の末裔だったことが切っ掛けかしら?英雄の子孫は何かしらの力を持ってたり受け継いだりというのが多いらしいわ。で、私もそれに漏れず力を持って生まれた。その力が『赤龍神帝の巫女』というグレートレッドが言うには初めての人間だそうよ。」
そこで一旦言葉を切りみんなを見たけど知らなかったメンバーは何も言えないみたいね。
私自身力に目覚めた時は訳がわからなかった位だし。まあグレートレッドも驚いていたのは今でも覚えているけど。
「能力としては意志の疎通とグレートレッドと同調して力の一部を使える位かしら?代償は私の魔力のほとんどと、ひどい疲労感ね。使った後は今回みたいに暫く動けなくなるから簡単に使える能力じゃないわ。」
「お姉ちゃんの髪と瞳の色が赤くなったのは?」
「同調の影響でしょうね。解除した後に髪が白くなったのは魔力の使い過ぎの影響ね。時間経ったから大分戻ってきてるけどね。」
「同調した時の力はどの位なんだい?」
サーゼクスが聞いてくるが・・・正直私も良く分かってない。そうなると〜・・・・。
私は籠手を出し
「ドライグ、出来る?」
『気乗りはせんが仕方無い。』
聞かれたドライグの籠手の宝玉が緑から赤に変わる。
『おう、どうした?里奈。』
宝玉の光りが変わって聞こえてきたのはグレートレッドの声だ。
「同調した時の私の強さってどれ位なの?」
『そうだな〜、時間制限考えないなら
思ったより
「長いわね。」
という私の呟きに
『回数重ねればまだ伸びるだろうな。まだ里奈の魔力が馴染んでないからな、これからは全開じゃなくて抑えた同調の訓練していけばまだまだ伸びると思うぜ?俺も前例が無いからな、手探り状態でやってるがお互いが馴染んでくれば他の能力も使える様になるかもな。』
「グレートレッド。」
イッセーが声を掛けてきた。
『なんだ?イッセー。』
「アルビオンがあれから目覚めないんだけど・・・。」
『マジか!?あれ位でヤワな奴だな。しゃ〜ないイッセー、光翼出せ。それから里奈、左手でイッセーの羽に触れてくれ、ちょっと状態見てみるわ。』
グレートレッドの言われたままにイッセーの光翼に触れる。
『・・・なるほど。すぅ〜・・・・・起きろ!アルビオン!!』
暫くした後大声で叫ぶ。それと同時にイッセーから少しだけ黒い霧が出て消えていった。
『はっ!!私は何を!?・・・あれ?』
『まったく、世話掛けさせやがって。イッセーの聖剣でオーフィスの蛇の影響が消しきれて無かったようだな。微量過ぎて感知出来なくても仕方無いレベルだしな。ついでにこの状態で力使えるか試したが上手くいったようだな。』
『グレートレッドか。助かった、感謝する。』
「ありがとうグレートレッド。なかなか目を覚まさないから困ってたんだよ。助かったぜ。」
アルビオンとイッセーが礼を言っている。
『あ〜、それとだな里奈もイッセーも無理しすぎだ。あの状況じゃ仕方無かったかもしれんが今でも隠してるつもりだろうが俺にはバレバレだ。なので強制的に休んでもらう。』
グレートレッドが言った途端に私とイッセーが崩れ落ちる。
「里奈、イッセー!」
みんなが心配して駆け寄ってくる中グレートレッドが話しを続ける。
『とりあえずお前等の魔力と
そう言ってグレートレッドの意識は戻っていった。
「くそう、グレートレッドめ余計な事を。」
イッセーが呟いたが・・・同感なんだけど。
『イッセー!里奈!』
みんなに詰め寄られその後強制的に私とイッセーは休養させられる事になった。
イッセーに怒るリアス、朱乃、アーシアの剣幕は凄かったわね。まあ私もアーシアや他のみんなに怒られたけども。
グレートレッドに魔力を封じられてから一週間。
「やっと解除された〜。」
「きつい日々だった。」
私とイッセーは10日も待たずに全快した。
「だからって無理したら駄目ですよ?」
早速アーシアにたしなめられた。
「わかってるよ。」
言いながらイッセーはアーシアの頭を撫でる。
今は放課後で私達三人は部室へ向かっている。
「あれ?この気配って・・・。」
足を止めたイッセーの言葉で私も気付く。
「アザゼルね。」
「だよな?これ多分部室にいるよな?」
「みたいね〜。まあここで話してても答え出ないからとりあえず行きましょ。」
二人に声を掛けて再び部室に向かう事にした。
「なんでいるのかしら?」
部室に入るなり私はアザゼルに詰め寄る。
「お〜、里奈。今日からこの学園の教師でオカルト研究部の顧問になった。アザゼル先生と呼べ。」
『嫌よ(だ)。』
私とイッセーは同時に拒否した。
「お前等なぁ。ったく同時でハモるとか血は繋がって無くてもやっぱ双子だな。気持ちは分かるがこれからの事を考えると俺がここでリアスの眷属とソーナの眷属を指導して強くするのがいいんだよ。
確かに私達もそこそこ知識はあるけどアザゼルには及ばない。特に扱いの難しいギャスパーの
「仕方無いわね、私達にも都合いいし認めてあげる。」
「お前なぁ。そもそもこれはサーゼクスの頼みでもあるからお前等には拒否権は無いんだよ。それにここは三大勢力の拠点として見られてるから重要度が高い。そういう意味もあって俺だけじゃなくレイナーレと天界からイリナにゼノヴィアが派遣されるんだよ。三人は後から編入という形になる。」
確かに魔王の妹が二人に二天龍だものね〜。
「という予定だったんだが実はリアスにイッセーも関係あるんだがリアス、ゼノヴィアを眷属にする気はないか?」
「ゼノヴィアを!?」
「なんで俺も!?」
リアスとイッセーが驚きの声を上げる。
そうよね〜、私もどうしてそうなるかが理解出来ない。他のみんなも同じ様な表情をしている。
「実はな、コカビエルの一件以来イッセーの剣に対する姿勢に惚れたらしく同盟も組んだ今、信仰もまだ捨てきれないが同じ未来に向かうならイッセーに師事して腕を上げつつ歩んで行きたいとミカエルに相談があったらしいんだよ。」
「私としてはデュランダル使いのゼノヴィアが眷属になってくれるなら歓迎するけど天界側としてはそれでいいのかしら?」
「ミカエル直々の打診でな、リアスとイッセーが承諾するなら仕方無いらしい。本人の希望を出来るだけ叶えたいそうだ。」
「師事って言われてもな〜、人に教える程じゃないんだけどなぁ〜。そもそも俺自身がまだ修行中だし。まあ単純に仲間としてなら歓迎するけどな。」
イッセーの望む高みって高いのよね〜、目指してる相手は大体予想つくけども。
「修行相手として問題無いならいいんじゃないか?剣を合わせるだけでも学べる事はあるだろ?」
イッセーはそういうことならと言いゼノヴィアの眷属入りを了承した。
数日後イリナ達が正式に転入し、ゼノヴィアもその日のうちにリアスの眷属入りを果たした。
さて、明日からは悪魔になってから初めての夏休み。まだまだ楽しみは尽きないわね。
チート加速・・・。
次回から冥界編になります。
時間掛かるかもしれませんが気長にお願いします。