地獄の姉弟《ヘルツインズ》~赤と白を宿した双子 作:デンドロビウム
今日から夏休みということで俺達は駒王町にある駅に集まっていた。
「リアス、ここから行くのか?」
「ええ、そうよ。地下に悪魔専用の駅と線路があってそこから次元のトンネルを抜けて冥界に行くのよ。」
そんなのがあったのか。となると他にも日常に紛れて悪魔の施設とかありそうだな。今度聞いてみよう。
「とりあえず初めての人は私と一緒に降りるわよ。朱乃達は後から来て頂戴ね。」
そうしてリアス、俺、姉ちゃん、アーシア、ゼノヴィアでエレベーターに乗り込み、リアスが操作パネルにカードをかざすとエレベーターは地下に降りていった。
エレベーターを降りると地下鉄のホームみたいになっていて広い空間が確保されていた。
「ふ〜ん、地下にこんな所があったのね〜。」
姉ちゃんも興味深げに辺りを見回している。
「ここはグレモリー家とシトリー家が主に出資して作られたのよ。」
なんというか規模が大きすぎて実感がわかない。
そうこうしているうちに朱乃さん達も下りてきた。
「みんな揃ったわね。三番ホームまで移動するわよ。」
リアスの言葉で全員で移動を始める。
途中朱乃さんが近付いてきて俺の手を握って
「この間イッセー君の過去を詳しく聞いてやっぱりずっと一緒にいたいと思いましたわ。この間の答えを急かしてる訳では無いのですがより好きになったと伝えておきたかったのです。」
このタイミングで再度の告白をされるとは思って無かったのでどう返答するべきか考えたが完全に思考は停止している。
「朱乃、このタイミングで言うなんてなかなかやるわね。」
「里奈さん!?聞いていたんですか?」
「姉ちゃん!?」
いつの間にか後ろに立っていた姉ちゃんに朱乃さんと二人して驚く。
「全員で移動してるんだから嫌でも気付くわよ。」
と、ジト目で俺と朱乃さんを見ているのは姉ちゃんだけではなかった。
「朱乃先輩いつの間に・・・。」
「朱乃先輩とお兄ちゃんが良い雰囲気です〜。」
小猫ちゃんとアーシアにも見られていたらしい。
「英雄色を好むというやつか?」
ゼノヴィア〜。
「まったく、朱乃の気持ちも分かるけど最近色々あってイッセーも大変なんだからもう少し待ってあげて。」
リアスにも見られていたらしく朱乃さんに注意?している。
「わかりましたわ、リアス。少し焦ってしまったかもしれませんわ。」
朱乃さんがリアスに謝るが
「別に問題が増えた訳じゃなくて先送りにしてただけなんだしリアスと朱乃は気にしなくていいわよ。ヘタレなイッセーが全部悪いんだから。」
姉ちゃんひでぇ!・・・ま〜言ってる事は間違って無いけども。
「早めに答え出すようにガンバリマス。」
としか俺は言えなかった。
我ながら情けない。
それから電車(グレモリー家専用)に乗り走り始めてすぐに先頭車両にいたリアスが車掌さんを連れて俺達のいる車両にやって来た。
「車掌をやっているレイナルドです。新しい姫の眷属の皆さんよろしくお願いします。」
そう言いレイナルドさんは懐から機械を取り出し
「この機械で皆さんの入国の許可と眷属の確認を行いますのでご協力をお願いします。」
そうして順番に胸のあたりに機械を翳して確認をしていく。
ここで俺と姉ちゃんにエラーが出た。
「ちょっと確認をとりますので少しお待ち下さい。」
そう言い車両からレイナルドさんが出て行った。
「多分だけどアザゼルさん絡みで冥界に来てた影響じゃね?」
「そうね〜。ちょっと派手に暴れた事もあったものね〜。」
姉ちゃんと二人して遠い目をする。
「先輩達は何をやらかしたんでしょう?」
「里奈もだけどイッセーも切れると・・・。」
などとみんながコソコソ話している。
「あんたらぁ、ここで実演しましょうか?」
「姉ちゃんストップ!電車の中とか洒落にならない!」
まぁ、実際山とか城とか吹き飛ばしてるからなぁ。
「すいません、確認取れました。お二人があの
「そんなに有名だったっけ?」
「以前に一面では無いですが冥界の新聞に盗賊の住む山を山ごと吹き飛ばしたという記事を読んだ事がありましてな、中々豪快な人もいるもんだと楽しく読ませてもらいましたよ。お二人だと分かったのはサーゼクス様に聞いたからですが。」
「あれ新聞にのったのね。」
「それ私もテレビで見た記憶あるわね。・・・里奈達だったなんて。」
「確か盗賊がゲリラ戦仕掛けてきて面倒臭いって最大増幅のドラスレで吹き飛ばしたんだっけ?」
「え、ええ、そうね・・・。」
俺は止めたんだけどな〜・・・なので俺は悪くないっ!
姉ちゃんは明後日の方を向いている。
「まさか指名手配とか・・・は無いよな?元々は悪魔側の依頼で一応報酬も貰ってるし。」
「エラーの内容は要注意でしたのでそこ迄はいってませんな。」
・・・充分ひどい内容だと思うけど。
「ま、まあ許可は出たんだし大丈夫でしょ。」
微妙にフォローになってないフォローをリアスがいれてくる。
「一時間程で着きますのでそれ迄はゆっくりお過ごし下さい。では、失礼します。」
そう言ってレイナルドさんは前の車両に戻って行った。
走り出してから40分位たったあと
『まもなくグレモリー領に到着します。まもなくグレモリー領に到着します。』
と、アナウンスが入った。
「次元の壁を越えたから窓あけても大丈夫よ。」
リアスがそう言い窓を開ける。
「空が紫ですぅ〜。景色もいいですね、お兄ちゃん。」
アーシアが初めて見る景色に目をキラキラさせながら言ってくる。
「そうだな〜。それにしてもこの空気久々だ。」
リアスに保護されて以来来てないからな〜。堕天使側は来てるが悪魔側は本当に久しぶりだ。
あの時の猫又はまだ無事だろうか?討伐依頼だったけど俺としては堕天使側で保護したかったんだけどな〜、事情が事情だったし。
あと一歩で聖王剣の使い手が邪魔に入って説得する前にやられたけども。まあ、あれだけの使い手と一緒なら大丈夫だと思うけども。
あれから俺も強くなったと思うけどいいとこ互角か勝てないだろう。出来れば敵同士ではなく修行相手としてもう一度会いたい所だけど無理だろうな〜、あの時の誤解を解かない限りは。
「イッセー、顔!」
ゴンッ!
「いてぇ!何すんだ!姉ちゃん!」
物思いに耽っていたら姉ちゃんにどつかれた。
ひでぇ。
「表情険しくなってたわよ?あの時の事考えてたの?」
む、知らないうちに険しい表情になってたらしい。
「ああ、ごめん姉ちゃん。復讐したいとかじゃなくて単純にまた再戦したいな〜、とか考えてたから。」
「まったく〜、仕方無いわね。そろそろ着くから準備しなさい。」
「ああ、わかったよ。」
そう言って俺達は列車を降りる準備を始めた。
『リアスお嬢様、眷属の皆様、お帰りなさいませ!!』
!?
駅から出た瞬間、盛大なお出迎えをされた。
道の両側には数十人のメイドや礼装をした騎士らしき人達が並び、道の真ん中にはグレイフィアさんと一人の男の子が立っていてその後ろには数台の馬車が止まっていた。
なんか花火まであがってるし・・・。
「みんなただいま。」
リアスは慣れているのか声を掛けてグレイフィアさんの方へ歩いていく。
アーシアとギャスパーは驚いたのか俺の後ろに隠れている。まあ、気持ちはわかるけども。
「いつもこんな感じなのか?」
俺は隣にいた祐斗に小声で聞く。
「だね。ただ、今回は眷属が増えたのと付き合い始めたイッセー君もいるからだろうけどいつもより規模は大きいかな。」
さすが名門グレモリー。やる事のスケールがいちいちでかい。小市民な俺には現実味がいまいち感じられない。
「これからリアスと付き合っていくんだからこういうのに慣れていかないと大変よ?」
表情に出てたのか姉ちゃんに言われてしまった。
「そうなんだろうけど、列車といいこのお出迎えといい俺の想像の外だったから流石にすぐに慣れる自信はないな〜。」
名家なのは理解してたつもりだったんだけど・・・百聞は一見にしかずとはよく言ったもんだな〜。
なんて考えていると真ん中にいた男の子が
「おかえりなさい、リアス姉様!」
「ええ、だだいまミリキャス。大きくなったわね。」
リアスはそう言い走ってきた男の子を抱きしめた。
ひょっとしてあの子は・・・
「みんな、この子はミリキャス・グレモリー。お兄様の子供よ、初めての子は挨拶して。」
ああ、やっぱりサーゼクスさんとグレイフィアさんの子供か。
俺達はミリキャス君の前に行き挨拶をする。
「リアス・グレモリー様の
続いて姉ちゃんとアーシアとギャスパーもミリキャス君に挨拶しているがミリキャス君は俺の方をじ〜っと見て
「この方がイッセー兄様なんですね?」
『兄様!?』
全員がミリキャス君の言葉に驚く。
「リアス姉様とお付き合いしてていずれは結婚なさるんですよね?なので兄様と呼んだんですが迷惑でしたでしょうか?」
そんな純粋な眼差しで見られたら断れ無い!
「いいぜ兄様で、変わりに俺もミリキャスって呼ばせてもらうけどいいか?」
「はい!嬉しいです。兄様欲しかったですし呼び捨てで呼んでくれるのも嬉しいです。」
本当に嬉しそうにしているので頭を撫でてあげる。
「じゃあ私もリナ姉様って呼んでもらわないとね〜、イッセーとは双子の姉弟だし。」
「いいんですか?」
「こんな可愛くて素直な弟なら大歓迎よ。」
「やったー!お母様、兄様と姉様が増えました!」
言いながらグレイフィアさんの所に走って行って抱きつく。
「良かったわね〜、ミリキャス。ただ今は仕事中だからお母様って呼んだら駄目よ?」
言いながら頭を撫でてるあたりやっぱり子供には甘くなるんだな〜。
「コホン、え〜、準備が出来たようなので皆様馬車にお乗りください。」
表情を切り替え皆に馬車に乗るように促す。
「じゃあ、イッセーに里奈、それからアーシアにギャスパーとゼノヴィアは私と先頭の馬車、他の皆は後ろの馬車に乗って行きましょう。」
リアスの言葉で全員馬車に乗りグレモリーの本家へ移動を始めた。