ゼロの使い魔 ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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side 織斑ルイズ

 

ここで少し水の精霊に質問をした。簡単に言うと、一度使用されて水の力として生ける屍の中にあるアンドバリの指輪を回収して再構成することはできるか否か。

ちなみに答えは『できないことはないが接触が不可欠』と言うことだったので、預かっている分霊からさらに分霊を作ってもらってそれを使って回収することにした。

けれど、なにもしていない内からやってしまったら私達が責められることになりかねないので実行を待つ。

恐らく夜になるので全員に仮眠を取らせ、それから私は大気中に存在する僅かな水の精霊を結集させて純水と成し、水の精霊の力を補填させておく。

今回の件では恐らく水を制したものが勝利を得る事になるだろう。水の精霊曰くもうすぐ雨が降りそうだと言うことだし、そうなれば私は水の精霊の分体を適当な水溜まりにでも投げ込んでおけば後は時間稼ぎをしているだけで勝手に決着がつく。

 

……まあ、相手の事を考えたら普通はやらない戦法だけど……相手は水の力に踊らされた死体だし、別にいいわよね?

 

「構わねえけど外道度は上がるぜ」

「望むものなり修羅の道、ってね」

 

元々結構鬼畜だっていう自覚はあるし、イチカに色々変えられるまでは割とつんけんしてて意識せずに相手を攻めるような事ばかりしてた覚えもある。ある意味これは私の黒歴史と言ってもいいかもしれないわね。

 

……早く夜にならないかしらね……ただ待つだけっていうのは結構暇なのよ?

 

…………うーん……。

 

「デルフリンガー。少し話をしない?」

「……いいけどよ。何の話をするんだね相棒」

「うーん……それじゃあ、あなたの忘れている記憶についての話なんて言うのはどうかしら? 中々面白そうだと思うのだけど」

「どうかしらと言われてもなー……俺は割と忘れっぽいからあんまりよく覚えてねよ」

「よく覚えてる必要なんて無いわ」

「……悪い、意味がわからねえんだがこれは俺が悪いのか?」

「考えてみればすぐわかるだろうけど、デルフリンガーが悪い訳じゃないわよ。ただ単にデルフリンガーが覚えてなくてもデルフリンガーの過去を探ることくらい簡単にできるっていうだけだから安心していいわよ」

「よくねえよ。この状況で安心するのは欠片もよくねえし嫌な予感しかしねえ」

「え~? 剣なのに鋭いわねぇ……剣なのに」

 

そんな感じでのんびりと話し合いとついでにしりとりを楽しみつつ、夜になるのを待つ。言葉遊びをしたり本当に“記録”でデルフリンガーの辿ってきた道を見てみたり、時々“探知”で状況を確認したり膝枕をしているルイズの頭を撫でたり服を外出用の黒ローブから黒メイド服に変えてみたりしていたけれど、待っている時と言うのはやっぱり時間が過ぎるのが遅く感じてしまう。

そこで私は少しできる事をやろうと意識を散らしながら全方向に集束する。そして近場に居る精霊達と対話しながら、ぱっぱと契約を結んでいく。

風と水と土と火。この場所には殆ど火の精霊は居ないけど、かわりに土と風の精霊がそれなりに居る。寄り掛かっている樹にも精霊は居るけれど、私は樹の精霊を戦闘に使おうとする気は全く無いので流すことに。

まあ、向こうから契約したいと言ってきたら契約しないことはまず無いけれど、そんなことは殆ど無い(らしい)ので、私の契約精霊には樹の精霊は数えるほどしか存在していなかったりする。

……ちなみに数少ない契約した樹の精霊は、私のいた世界のナハトニッド男爵領の庭木だったりする。侵入者が居たりしたときには草の精霊などに伝言を頼んですぐに教えてくれる頭の回る精霊だった。樹なのにね。

 

……そう言えば、デルフリンガーは剣に宿る精霊の意思を表面に出して、さらに意思を強化して作られた人格……人?格であるはずなので、多分デルフリンガーとも契約できると思うのよね。

契約してやれば魔力を送って能力を強化してやることもできるだろうし、使い手の魔力が少ない時に魔法を吸えばその魔法の魔力を使い手に供給して魔力を回復させることができるだろう。

魔力をデルフリンガーから供給される方は私が使い手である内は使われる事がまず無い能力だろうけど、無いよりはあった方がいいわよね。

 

と、デルフリンガーのついでに土の精霊と契約したところで、ちょうどいいので地下の風石の穴を埋めることにする。このままだともしかしたら大規模な落盤や地盤沈下なんて事にもなりかねないのでタイミング的にはちょうどいい。

集めた土の精霊達に魔力を渡して仕事を頼む。命令ではなくお願いなんだけど、精霊達はかなり友好的に私のお願いを聞いてくれるので命令する必要がなくて嬉しい。

昔の私だったらともかく、今の私は命令するよりもお願いする方が性に合っているのでこれでいい。本当だったら命令するらしいんだけど……好意的に接してくれる相手に対して契約を盾にとって上から目線で命令するのは気が引ける。

その点お願いなら相手に無理の無い範囲で働いてもらって、さらに仲がいいことから他の精霊との橋渡しなんかもしてくれるようになることもある。

その他にも仕事がダブルブッキングした場合に私の方を優先してくれたりもするし、ちょっとの力で頑張ってくれることもある。

 

……ちょっと魔力を多目に渡してあげると人型になって話し相手にもなろうとしてくれたりして、その頑張る姿がまた可愛かったりするのよね。

大精霊くらいになったら喋れるんだろうけど、なんとか人型をとれるくらいの中級精霊は外見以外の部分まで真似られなかったりするんだもの。喋れないのも無理無いわ。

 

……喋れなくてしゅんと落ち込んだりしている手のひらサイズの人型精霊はなんだか可愛いので喋れないことなんてマイナス要因にしても大したことじゃないんだけどね。

ちなみに本当に話をしたい場合はテレパシー的に意思疏通をすれば会話ができたりするし、肉声で声を聞きたければ属性にあった精霊石に宿ってもらえばしばらく(数十年単位で)普通に話せるようになり、ついでにその状態で魔力を与え続けるとさらに格が上がったりもする

 

……精霊って不思議な生き物よね。本当に生きてるのかは知らないけど。

 

……世界を一つの生き物として捉えれば、その端末である精霊も一応生きていることになるのかしら?

生きてても生きてなくてもどうでもいいけれど、今度纏まった時間があったら調べてみようかしらね。

 

……デルフリンガーで。

 

「俺で!?」

 

 

 

 

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