ゼロの使い魔 ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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復活!



…………はしていませんが、とりあえず応急で古いノートを引っ張り出してきました。
時々sとかgとかdとかeとかが打てなくなるおんぼろですので、感想などでなんか変なところがあっても温かく流してあげてください。


048

 

 

 

 

side 織斑ルイズ

 

始めに私とルイズが相手に高速で接近し、杖を奪うか破壊しつつ投げ飛ばす。

投げ飛ばされて奇妙な体勢で着地した彼等をタバサの氷が包み込んで動きを止め、それを避けた者はキュルケの炎で脚を焼かれて動きを止める。

そしてそのどちらかによって動きを止められた動く死体に、預かりものである水の精霊の分霊を一部瓶から出して接触させると……それだけで偽りの命が抜けて死体は死体へ戻る。

 

……ちなみにどうでもいいことではあるけれど、水の精霊は私の姿をとっている。私にそっくりの無色の笑顔を浮かべているけれど、私と違って黒い考え事をしている時に薄目を開けても怖くない。

私の場合は白いところが黒く、鳶色の所が明るい空色に染まる上に、普段は軽く端が上がるだけの口が裂けるようにして上弦の三日月型になってしまうらしく…………イザベラの子供だけじゃなく私の世界のカティの子供達にまで本気で泣かれてしまったこともある。

それ以来黒い考え事をしているときは目を開かないようにしているし、そもそも子供が近くに居るときはあまり黒い考え事はしないようにしている。

 

……まあ、そんなことは置いておくとして……そろそろ茶番を始めましょうか。

 

 

 

 

 

side アンリエッタ・ド・トリステイン

 

私が見ている目の前で全てが終わり、私は何もできないまま目の前でウェールズ様だったものが動かなくなるところを見せつけられた。

震える脚を叱咤して立ち上がり、氷に包まれていたウェールズ様の元へと歩く。

私の身体は言うことを聞いてくれないけれど、それでも少しずつ少しずつ近付いていって……私にとってはとてもとても長い距離を歩いてウェールズ様の隣に座り込む。

 

倒れたウェールズ様は、曇った空の下で安らかな表情を浮かべている。

その表情は、まるでただ眠っているだけのようで───けれど、触れた頬はまるで氷のように冷たくて。嫌でもこのウェールズ様が死体であると理解させられる。

 

……何て言うのは言い訳。本当は、寝室で唇を重ねた時にわかりきっていたこと。

ウェールズ様の身体を流れる異常な水の力に、私は気付かないふりをした。気付いていて、偽者だとわかっていて……それでも、どうしても辞められなくて。この幸せな時間が終わってほしくなくて。

 

溶け消えた氷の呪縛に包まれていた手を取り、額に押し付けながら涙を流す。

生きている存在ではあり得ない冷たい肌は、私の全身の熱を奪っていこうとするかのようで、私は凍えてしまいそうになる。

 

「……ウェールズ様…………」

 

囁くような小さな声が私の喉から溢れ、同時に涙が一滴零れる。

 

……それは奇跡か、それとも精霊の気紛れか……あれほど曇っていた空が晴れ、美しい月の光が私とウェールズ様だけを包み込む。

そして……ウェールズ様が、ほんの僅かだけ目を開けた。

 

「あ……あぁ……」

「ああ……そこにいるのは……アンリエッタかい……?」

 

望外の奇跡に震える私に、ウェールズ様は小さな声で私の名を呼び掛ける。

その身体の中に流れているのは、ほとんど止まりかけてはいるがそれ以外は普通の人間と何も変わらぬ水の流れ。つまり、ここにいるウェールズ様は偽者ではなく……。

 

そこまで考えた所で、ウェールズ様の服のかなり多くの部分に血が染み出して来ていることに気が付いた。

すぐに“治癒”のルーンを唱えるけれど、何故か癒えるはずの傷は全く塞がる様子を見せない。

 

「……無駄だよ。僕は死人だ。死人に“治癒”は効果がない。なにしろ死んでいるんだからね」

 

そう言いながらも笑みを崩さないウェールズ様の身体を、私は必死に掻き抱く。

 

「なら、ならばどうして今こうして話をしておられるのですか?」

「さて……なぜだろうね。もしかしたら……精霊の気紛れかもしれない」

 

私は必死にルーンを唱える。効果が無いと言う事がわかっていても、何かをしていなければ気が狂ってしまいそうだったから。

 

「……アンリエッタ。もう、いい」

「何がいいのですか!まだ、まだ何か方法がっ!」

「無いよ。自分の身体のことだ。僕が一番よくわかっているさ」

 

それなのに、ウェールズ様は私の口に指先をあてて、私の詠唱を止めさせる。力の無い笑顔は、ただそれだけの行動でウェールズ様がどれだけ消耗したのかを私に教え込む。

 

「……それよりも……君と出会ったあの場所に行きたい」

 

その言葉に涙ながらに頷き、死体の処理を終わらせ、さらに追い掛けてきたヒポグリフ隊に話を通してくれていたルイズ達に視線を向ける。

その視線にすぐに気付いたらしいカトレア様が私に近づいてくる。

 

「お話は終わりましたか?」

「……いえ。それよりも、私とウェールズ様をラグドリアンの湖畔まで運んでいただけませんか」

 

私の言葉を聞いたカトレア様は少し困ったような笑顔を浮かべながら、それでもうなずいてくれた。

それから数十分後。ルイズのお友達の使い魔である風竜に乗り、私とウェールズ様はラグドリアンの湖畔へ……私とウェールズ様が初めて出会ったその場所へと降り立った。

 

空気を読んでかなり離れて付いてきてくれているヒポグリフ隊を連れて、私とウェールズ様は湖畔を歩く。

 

「……ほら、覚えているかい? 初めて出会ったとき、君はあそこで水浴びをしていたろう?」

 

そう言って湖の岸のある一点を示すけれど……おそらく、もうほとんど目が見えていないのだろう。その場所は私の記憶とは全然違う場所であった。

けれど私は涙を堪え……今できる限りの笑顔を浮かべて頷いた。

 

こうしている間もどんどん弱くなっていくウェールズ様の水の流れを感じながらも、私はウェールズ様の腕を引いて歩き続ける。

ウェールズ様の脚は何度もふらつき、時には倒れそうになる時もあったけれど、それでもウェールズ様は歩くのをやめようとはしなかった。

 

……けれど、暫く歩いた後。ついにウェールズ様が倒れてしまう。ウェールズ様は起き上がろうとしているけれど、もう立ち上がるだけの力すらも残されていないようだった。

 

そんなウェールズ様の身体を仰向けにさせて、頭を膝にのせてラグドリアン湖を眺める。

いつの間にか雲がなくなり、無数の星と二つの月が私達と湖を明るく照らす。

 

「……アンリエッタ、覚えているかい? 僕たちは昔、こうして水の精霊に誓ったね」

「……ええ、覚えておりますわ」

 

忘れもしない、幸せな日々のこと。あの時、ウェールズ様は私に愛を誓ってくれることはなかったけれど……それでも、私にとってはとても大切な記憶の一つ。忘れるわけがない。

 

「あの時と同じように……誓ってくれないか……?」

そして、ウェールズ様が言ったのは…………私が、ウェールズ様以外の殿方を愛すること。私は当然嫌だと言ったけれど、ウェールズ様は困ったような笑顔を浮かべて何度も私に頼み込む。

 

そして、私は───

 

 

 

 

 

 

side 織斑ルイズ

 

……と言うことで、茶番はおしまい。姫様が皇太子殿下以外の男性を愛することを誓い、次は皇太子殿下が愛を誓う……と言うところで、水の精霊の支配を解く。

今までは皇太子殿下の意思に沿う形で自然に身体を操っていただけで、実はこれは奇跡でもなんでもない。ただの茶番だ。

私の書いたシナリオ通り、皇太子殿下は姫様の事だけを想って死んでいった。姫様はそんな皇太子殿下を見て、いったいどんな風に思い、そしてどう行動するのか。

 

……トリステインと神聖アルビオン。この二つの国の間で戦争が起きることはまず間違いない。きっと姫様は皇太子殿下の復讐に出るだろう。

そうすれば、それについて行くだけでアンドバリの指輪に近付ける。後はこっそり加速して、本人の指から指輪を抜き取るだけの簡単なお仕事です。

 

……それじゃ、そろそろ明日に備えて眠りましょうか。明日も早いしね。

 

 

 

 

 





薄眼を開けると怖いカティさんの表情は、『ネギま!』の月読さんの黒モードの目が空色のやつを想像してください。
ダメならメルティブラッドのワラキアさんでも可。
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