ゼロの使い魔 ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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side ルイズ☆THE☆ヴァリエール

 

そろそろ私も怒るわよ!? 前回よりも酷いことになってるじゃないのよ!

前にも言ったけど私の名ま

 

 

 

 

 

side ルイズ・「La……♪」・ヴァリエール

 

えは……って人の台詞を途中でぶったぎった挙げ句にこれ!? ぅがぁぁぁぁぁぁっ!!

 

「どうしたのナンシー?」

「どうしたもこうしたも……」

 

……って、そう言えばこの平民に私が貴族だって言うことは秘密なんだった。つまり、名前を間違えられたという話をしてもどう間違えられたかを聞かれたら答えられない。そんなことも言えないってことは、実際には私が嘘をついているって思われて……。

 

……くぅ……ここは諦めるしかないの? 悔しい……っ!

 

私はイライラする思いを全力で押さえつけ、いつもレア姉様が浮かべているような笑顔を浮かべる。

ちょっとくらいひきつっているかもしれないけれど、それもまあ仕方ない。

息を深く吸って、ゆっくりと深く吐いて……

 

「……騒いでごめんなさい、なんでもないの」

 

と、心配そうに話しかけてくれた平民の女の子───名前は知らない───に返した。

相手が平民であっても、礼には礼を。シエスタや他のメイド達と一緒にレア姉様の鬼畜修行を受けて、私はそうするべきだということを学んだ。

この国の貴族は平民に向かって当然のように威張り散らしているけれど、もしも平民が貴族を見捨ててこの国から姿を消したら……貴族しかいなくなったこの国はあっという間に滅んでしまうだろう。

それは別に周りの国から攻められるからと言うわけではなく、攻められなくてもかなり早い時期に大半の貴族は瓦解してしまう。

なにしろ食料を作るのも、食材を運ぶのも、料理を作るのも武器を作るのも屋敷を掃除するのもみんな平民の仕事。命令すれば誰かがそれをやってくれる状況に慣れきってしまっている貴族達じゃあ、自分で料理を作る事すらまともにできないのが殆どだろう。

けれど平民は貴族がいなくなったとしても、土地さえあればそれなりに暮らしていける。魔法なんて使えなくて当然なのは変わらないし、貴族に税を取られない分生活自体はむしろ楽になる。

もちろん危険な亜人やなにかが暮らしている土地に来たら逃げるか被害を覚悟で戦う必要があるが、ただ税を取るだけの貴族の納める土地で生活していた平民からしてみれば何一つ変わるものの無い話だ。

 

つまり、貴族と平民は共生関係にあるのが最も良い関係であるはずで、支配関係や隷属関係にある現状の姿は間違っていると言ってもいい。

ついでに言うと、平民にも貴族に孕まされて作られた貴族の血の流れる子供と言うのが居て、本人がそれを知っていようが知るまいが貴族の血が流れているとするならば魔法だって使えてしまう。

さて、今現在このハルケギニアにはいったいどれだけ貴族の血が流れている平民が居るのかしらね? 本人達が魔法を使えないと思っているから使われていないし努力もされてないけれど、もしかしたら使えるかも知れないとなればこぞって試してみる平民が現れるだろう。

そしてそんな平民達が現れれば、まずその矛先が向けられるのは貴族になるだろう。大規模な反乱がトリステイン中で勃発し、血で血を洗う大戦争になるだろう。

 

……まあ、貴族も平民もまだ誰もその事に気付いてないみたいだし、多分それを教えて率いる誰かがいなければ実行されることはないと思うわ。と言うか、そう思いたいわ。

逆に言えば誰かがそれに気付いて率いればそうなる可能性がある訳なんだけど、少なくとも今の私はやる気はない。

レア姉様なら『面白そうだから』とか『なんとなく』って言う理由でやっちゃったり…………しないわよね?

 

「しないわよ。その後戦乱が起きるだけだもの」

 

あ、しないんだ。あーよかった。

 

……あれ? 今私心読まれなかった? と言うかレア姉様はいつの間に私の背後に?

 

「やろうとすれば一年間朝昼夕晩深夜四六時中背後を取り続けられるわよ?」

 

なにそれこわい。

 

 

 

 

 

side 織斑ルイズ

 

さっきルイズの背後に瞬動縮地で回り込んで後ろから話しかけたら、怖いと言われてしまったわ。このくらいで私の姿を見失うなんて、これはもう修行のメニューを根本から作り直してあげる必要があるかしらね?

 

「いやいや、初めから相棒に集中してた訳じゃねえし、今回は見逃しておいてやろうや。そもそも集中してれば相棒の動きを目で追うことができるってだけでもこの年からすればかなり凄いことだろ?」

「私の知り合いには“加速”と瞬動縮地を同時に使った私の姿を捕らえ、素手で捕まえることができる人が十人以上居るわ」

「俺はそいつらを人間とは認めねえ」

 

確かに人間の枠を越えて英雄やら反英雄やらに至った化物揃いだけど、いくらなんでも酷いと思うわよ?

 

それに、私のところのカティは病気が治ってから三年で私に匹敵する戦闘能力を得た人間よ? “加速”を使ったら置いていけるけど、瞬動縮地だけだったら結構簡単に真似して超高速戦をすることだってできたんだから。

だけどカティは英霊の坐には居なかった。つまりカティは本当に人間として当時の一応種族的には人間であるはずの私について来てたわけ。

ほら、人間でも凄い人は居るじゃないの。

 

「何が『ほら』なのかは知らねえけど、一応言っとくが一人で国と張り合えるような存在は基本人間からもそれ以外の存在からも化物としか呼ばれねえんだよ」

「つまりサッバーハ達は基本化物なのね?」

「誰だか知らねえけどそうなんじゃねえの?」

 

暗殺者なら国(=国王)を相手に勝てるし、国(=国王)を殺すくらい簡単にやるものね。やっぱりハサン・サッバーハ達は化物ってことでFA!

 

「お待たせしました、ミートパイとタルブワインです、どうぞごゆっくり」

「あんがとよ、ほれ」

 

適当に考えたりデルフリンガーに返したりしながらも仕事をして、時々チップをもらう。これでチップレース開始四日目で大体76エキュー、それなりの成績と言えるわね。

なんだか『メイドに給事してもらうと貴族になった気分だ』と言って喜ぶ人が私とルイズの固定客としてそれなりについたし、私もルイズもそれなりに慣れてきたからちょうどよかったかもしれないわ。

 

他の女の子達も頑張るからお客は増えるし、お客が増えれば噂話から入ってくる情報が増える。ついでに私達のチップも増える。ちなみに私とルイズで合計が大体98エキュー。頑張りました♪

 

「あの娘っ子も頑張ったよなぁ……始めのころの不馴れ感がほとんどねえよ」

「ルイズは努力家だもの」

 

それに、ちゃんと噂話も手紙にして姫様のところに送っているみたいだしね。

 

……さてと。次の料理ができたみたいだし、稼いできましょうか!

 

 

 

 

 

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