ゼロの使い魔 ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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side 織斑ルイズ

 

なんだか凄い笑い方を始めたルイズに縛り上げた『元』徴税官一行を証拠の入った紙袋(前にマザリーニの所に行った時に付けていた仮面の“複製”品と水の精霊印の胃薬、ついでに私の手紙も同封)と一緒に姫様とマザリーニの所にまで運んでもらう。楽しげにわざと色々な所にぶつけたり叩きつけたりしながら王宮に走り去っていくルイズ達を見送りながら、こっそりスった数人分の金貨の詰まった財布を手で弄び、何事も無かったかのように平然と店内に戻る。

布巾でテーブルを拭いて、何人かを叩きつけた際に飛び散った血痕を拭き取り終えて厨房に戻ると……突然少女達に取り囲まれてしまった。

その際、一番食い込んできたのはジェシカだったのだけど……なんと言うか、流石はシエスタの従姉と言うべきか押しが強い。そのお陰で色々と話すつもりのなかった事まで話してしまった。私は困らないけどね。

 

「……それで、いったい何がどうなったわけ?」

 

じとっと私を見ながらそう聞いてくるジェシカに、私はさっきまで浮かべていたコロス笑みじゃないいつも通りの笑みを浮かべて返す。

 

「ちょっと王宮の偉い人に繋がりがあるから、犯人と証拠を直接持っていってもらったの。多分彼等は私財没収、貴族位の剥奪の上で国外追放か、あるいは処刑されるでしょうね。まあ、汚職って言うのは国力を衰退させる行為なんだし、こんなご時世に利敵行為にも等しいようなことをしたらそのくらいは当然よね」

「……ほんとに?」

「少なくとも徴税官は新しくなるだろうし、税率も正規の物に戻るはずだわ」

 

私がそう言い切った途端に、回りの少女達が歓声を上げる。者によっては涙を流して抱き合ったり、ぴょんぴょんと跳ね回りながら全身で喜びを表現したりと様々だけど……まあ、何にしろ喜んでくれてよかったわ。

ついでに私が持っていた数人分の財布を『今までの彼らの付けの分に回してください』とスカロン店長に渡したら、なぜかそっくりそのまま私のチップ用の袋に投入された。

 

……解せぬ。

 

 

 

 

 

side ルイズ・ラララーラ・ラーララ・ヴァリエール

 

……は? え? いやなにこれ? ここまでやられるの? と言うかここまでやるの? 普通ここまでやる? やるわけないでしょって言うかやるな! そして私は別にアイドルになりたいわけではない。

 

……と、世界の理不尽によって受けたストレスを引き摺っている元徴税官達にぶつけながら(ぶつける度に悲鳴が聞こえる気がするけどきっと気のせい)走る。王宮で姫様の王権行使許可証の書簡を見せて通してもらい、姫様の執務室に入る。

色々と見た目からして腹黒そうな自称貴族達が陰口を叩いているようだったけど、勤めて無視する。絡まれたら面倒だもの。

 

「いらっしゃ…………何があったの?」

 

私の姿を見て笑顔で応対しようとしたらしい姫様は、私が引き摺っている犯罪者達を見てその笑顔をひきつらせて固まった。けれど数秒後に復帰して、説明を求めてくる。

そこでレア姉様に言われた通りにマザリーニを呼んでもらい、王都で徴税官が税の過剰徴収をしていたことを伝え、レア姉様から預かったその証拠の入った紙袋を手渡した。

……紙袋を開けた時に出てきた仮面を見た時に、マザリーニが表情を歪めて胃を押さえていたけど、この仮面に嫌な思い出でもあるのかしら?

 

そんなマザリーニは置いておいて、とりあえずこの徴税官一行を含む汚職貴族を一斉摘発するべく情報を秘匿する。ことにした。それからマザリーニを交えて狐狩りの細かい話を詰めて(マザリーニは反対していたけど姫様が押し切った)行ったり、その時に姫様は私が宿を借りている所に身を寄せるようにと話し合ったり、その際にはすでに話をつけてある銃士隊が警備や罠を担当すること等々。

 

……たまには私がレア姉様をびっくりさせることがあってもいいわよね? と言うかびっくりさせたいので、今回のことはレア姉様には内緒で進めていたりする。

できるだけ内々で、けど信用できる相手としてマザリーニと銃士隊にだけは話をつけてある。関係無い部署の人には悪いけれど、これも敵を誘き出すための罠なのよ。それも、相手に存在を知られたら無効化されちゃうタイプの。

そう、だからこの事をレア姉様に隠していても仕方ない……と言う理論武装を完成させて、なんだか腹黒くなっちゃった姫様と一緒に狐狩りの計画を詰めていくのだった。

 

……だけど、これだけ隠していてもレア姉様には簡単にバレちゃいそうな気がするのはどうしてかしらね?

 

 

 

 

 

side 織斑ルイズ

 

何でもは知らないわ。私はあくまで自分の知ってることしか知らないもの。

ただ、知っている情報を組み合わせればある程度の予想をつけられる程度には頭を使えるってだけよ。

 

「なんの話?」

「私はなんにも知らないっていう話よ」

 

不思議そうに問いかけてきたジェシカの質問に笑顔でそう返し、私は熱狂する場に新しく油を注ぐ。

 

「はいそれじゃあ次の商品はこちら。『胸は落とさず腰から落とす痩身薬』~。取り扱い説明書付きで三回分を3エキューから……」

 

そう言った途端に数人が物凄い表情で私の方を見ながら手を挙げて叫ぶ。値段がどんどんつり上がっていき、8エキューほどで落札。

……イザベラ。貴女の薬は異世界でも女性の心を鷲掴みにしているみたいよ。流石は人類で初めて個人の力量でスクウェアを越えた『魔薬』のイザベラね。

と、昔馴染みのことを考えながら落札された痩身薬を受け渡す。今日はこうしてオークション形式で捌いているけど、今度からは完全受注生産式で売りましょうか。

そしてここで私が稼いだお金は私のポケットに入ったり鉄屑を買うのに使われたり鉄屑からスローイングナイフ等を錬金するフーケに渡されたりこの店でちょっと厨房と材料を借りる時に使われて色々な所に還元されていく。無駄に溜め込むよりよっぽど健全な使い方よね。溜め込むと経済の息が詰まって途絶えかねないし。

 

なお、私がこの場で売った薬は『痩身薬』と『豊胸薬(弱)』と『美肌ローション』の3つ。初めにローションで実演したらかなり食い付いてきて、最終的に現在に至る。

もう“複製”で作った分は全部売ってしまったし、後はのんびり食事でもしてようかしらね。

 

 

 

 

 

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