ゼロの使い魔 ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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side 織斑ルイズ

 

「お帰りなさいませ、エレオノール様。カトレア様。カトレア様。ルイズ様」

 

そう言って頭を下げたのは、ヴァリエールに仕えている老執事。カティが二人居ると言う異常事態に動じる事も無く、平然と迎え入れるその姿にはある種の貫禄とヴァリエールに仕えているがゆえの誇りが見え隠れしているようにも取れる。

私はそんな彼に笑顔を向けて、それから久し振りにカティの部屋にお邪魔することにした。

なにしろ私はカティと同じ姿をしているわけで。もしもそんなことがバレたりしたら……面白そうではあるけれど面倒そうだもの。

何故かエレオノール様は私達を見ても何も言わなかったし、ジェロームも平然と受け入れていたけど……流石に母様は突っ込んでくると思うしね。

 

……それに、久し振りに長く寝たいって言うのもある。イチカと一緒だった頃は一日十時間は寝ていたのに、最近はメイドの仕事が忙しくていいとこ八時間くらいしか眠れていない。イチカと違って寝なくても大丈夫だけど、イチカにつられて寝るのが大好きではある。

寝れるなら寝ていたいし、私の場合は英霊となってから寝てしまえば魔力の回復ができるようにもなっている。寝ていいのに寝ない理由なんてどこにも無い。

IIIではナノハと一緒にちょこまか働くことが多かった私だけど、眠ることでなにかあるのは私とナノハとイチカくらいだもの。必要な時には堂々と寝てられるわ。

 

そう言うわけで、私はこっそりカティの部屋に入る。動物達には見つかってしまったけれど、大半は私のことを覚えてくれていたらしく平然と受け入れてくれた。

そんな動物達を軽く撫でて、カティのベッドに横になる。寝る前にいつも通りデルフリンガーとウィンに私の魔力を供給してから目蓋を閉じる。

 

……おやすみなさい。

 

 

 

 

 

side ルイズ・ラ・ヴァリエール

 

うぅ……酷い目にあったわ……ほっぺがいたい……。先に揉んできたのはエレオノール姉様なのに……理不尽だわ。

こうなったらもう夜遅くにエレオノール姉様の部屋に侵入して●●●●するしかないわね。

ふっふっふ……シエスタ相手に鍛えたこの指捌き、ウブなネンネに耐えられる保証はしないわよ?

 

「……ルイズ。なんだか犯罪者っぽいからその口調は止めなさい。……と言うか、今時ウブなネンネとか言われても若い人はわからないわよ?」

 

その前にメイド相手になんの修行をしてるんだとかそういうツッコミを求めていたんですけど……そこをつっこんじゃいますか。

まあ、なんと言われようとエレオノール姉様は今晩とびっきりの体験をしてもらいますけどね。理不尽や不条理には断固として屈さないわ。

まあ、痛い思いはしませんし傷か残ったりもしないので安心安全。むしろ気持ちいいから悦んで貰えること間違いなしで……あれ?

 

……あの……エレオノール姉様? なぜ一瞬私を蕩けたような目で見たのですか? しかも頬を真っ赤にして……。

……え? そんな顔はしてないって……でもさっき……はあ、幻覚。まあ、何でもいいですけど。

 

……まあ、とりあえず今日は父様も居ないようだし、早めに寝ちゃいましょうか。馬車の中では服越しだったけど、部屋の中なら直接でもイケるから……期待してていいでいだいいだいほっへをつねりゃないでぇぇぇ!!

 

 

 

 

 

side カトレア・ラ・フォンティーヌ

 

仲良く戯れている姉様とルイズを見送って、私は自分の部屋に戻る。動物達がたくさんいる私の部屋には、私とほとんど変わらない姿をした異世界のルイズが眠っているはず。

その事を期待しながら扉を開けると、私のベッドの上には期待した通りの姿があった。

私やルイズと同じピンクブロンドの髪。険の無い安らかな寝顔は、なんだかレアを子供のように思わせる。

数匹の小さめの動物達がレアを取り囲むようにして眠っているのは、なんだかほほえましい。

 

このままレアを眺めているのもそれはそれで楽しそうではあるけれど、ただじっと見ているだけと言うのもなんだかおかしいので私はレアの眠るベッドに近付いて行く。

そして子供のようにすやすやと眠り続けるレアの枕元に座り、ばさりと広がったレアの髪を優しく撫でる。

気目細かく、細く、柔らかく、それでいて一度も指に絡み付くことなくさらりと流れるその髪は……この世の物とは思えないほどに美しい。

そう、まるで……人間じゃないかのように。

 

と、そこまで考えて首を振る。レアが人間じゃなかったところで一体なんだと言うのか。レアはレアだし、異世界のとは言っても私の可愛い妹のルイズであることには変わり無い。

もうレアを『私の小さいルイズ』とは呼べないけれど、なんにしろ大切な存在であることは間違いない。

 

「……ねえ、レア」

 

眠り続けているレアに、囁くように語りかける。耳元に顔を近付けると私たち二人と動物達の体重でベッドが僅かに軋みをあげるけれど、それでもレアはなにも変わらず寝息を立て続けている。

 

「……ありがとう、ルイズ。私の体を治してくれて。……大好きよ」

 

眠り続けるルイズの頬にキスをして、それから一度離れる。

……ルイズへのキスなんていつもやっていたはずなのに、どうしてか今は恥ずかしくてしょうがない。鏡なんて見なくても自分でわかるほどに赤くなっているだろう顔を扇ぎ、顔の熱をとる。

なんだか気恥ずかしくて楽しくて、そしてそう感じる自分がいることにちょっと驚きながらも嬉しく思い、それから私はベッドに入ってレアを抱き締める。

 

今の私とそう変わらない体。身長はほとんど同じだけれどしっかりと筋肉が搭載されている分レアの方が少し重いだろうけど、見た目だけなら全然変わらない。

杖もほとんど同じ。声もそっくり。体つきは瓜二つ。中身と使える魔法、そして服以外で見分けるのは結構難しいだろう妹の顔を間近で眺めながら、私はゆっくりと目を閉じる。

窓からは二つの月の光が差し込み、既に夜遅くなっていることを理解させられる。

 

温かい『もう一人の私』を抱いて見る夢は、きっと今まで見たことがないほど楽しいものになるに違いない。

 

レアの首筋に顔を埋めた私は、じわじわと意識が夜の闇に溶けていくような感覚を楽しみながら眠りに落ちていった。

 

…………ただ、ルイズと姉様が明日の朝に起きれるかが少し心配だったりするけど、そのくらいの悩みを振り切ることくらいは許してほしい。

 

 

 

 

 

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