ゼロの使い魔 ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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side 織斑ルイズ

 

とりあえずダータルネスに向けてバイクで走る。トリステインの竜騎士が護衛につこうとしてくれたけど、残念ながら風竜程度では魔改造されたこのバイクには追い付けない。

このバイクの動力源は私の“爆発”。超高速で並列爆発させるのは大変だったけれど、今はもう慣れたし無詠唱での魔法も極々小規模でならできるようにもなったから問題ない。

…………三時間以上乗り続けると頭が痛くなってくるけどね。私の思考速度はタバネ様みたいに理不尽の域には到達してないのよ。精々が常人(=白蓮)より多少処理できる情報量が多くて、常人(=白蓮)より多少早く情報を処理できるくらいだしね。

あらゆる面で普通の白蓮より少しだけ上……と言うことは、私も十分普通だってことよね!

 

『……こんな時だけ普通に普通って言われてもちょっとしか嬉しくないんだが』

 

ちょっとでも嬉しいならいいじゃない。私だったらちょっとでも嬉しかったら必要以上に喜んでみせるわよ? その方が楽しいし、幸せな気分になれるもの。

と言うか、よく坐から普通に話しかけてこれたわね? ……ああ、『普通(笑)』に話しかけてきたのね。

 

『ほら、やっぱりこれだよ。いいからもう私を引き合いに出すなよ頼むから。……あと、頑張れよ~』

 

ありがと、白蓮。頑張るわ。頑張りすぎるとまた世界からいくつかの種族が消滅しちゃうかもしれないけど、気にせずそれなりに頑張ってみるわ。

 

「あ、ああああのののれれれあれあれあれあレア姉様まままま……!」

「? どうしたのルイズ?」

 

私の後ろで振動に耐えながらルイズが口を開く。何かはわからないけれど、なんだか必死そうだ。

けれど、このままでは何を話そうとしているのかよくわからないので振動を軽減させるために“念力”と“レビテーション”を併用してルイズの体を浮かせた状態で私のすぐ後ろに固定した。

そしてようやくまともに聞き取ることができるくらいになって話を聞く。

 

「あの……さっきからなんだか色々な物がぶつかってきているような……」

「戦艦とか騎竜とか、色々撥ねてるもの。ぶつかってるわよ。ぶつかった相手はみんな粉々になっちゃっているけどね。見ない方がいいわよ?」

「何でそんなものにぶつかってるのに私達は平気なんですかっ!?」

「“マジックバリア”って便利よね? 足場にしか使ってないけど」

「一瞬納得しかけちゃったのに使ってないんですかっ!? と言うかそれをやってないならそれこそどうやって!?」

「この服って特別製で、とっても頑丈なのよ?」

「たかが服の防御力がなんだって言うんですか!」

「私が全力で強化して殴っても十回に三回は抜けないわ。しかも瞬間的に修復されるしね」

「………………」

 

ルイズがなんだか始祖の祈祷書よりも尊いながらも理解できないものを見るような目でシルバーローブを眺めている。イチカからの貰い物だし、絶対に他人にあげることは無いけど、わざわざそんなことまで伝える気はない。この事はこの世界で私だけが知っていればいいことなんだから。

 

と、ルイズがそうしている間にも私は次々に人を、船を、竜を撥ね飛ばす。昔イチカが同じことをした時には、まさか未来で自分が同じことをするだなんて欠片も考えてなかった。あの頃の私は……まだまだ子供だったわね。

風圧と音の壁によって粉々に砕かれていく敵兵達は、恐らく最期まで自分がどうして死んだかもわからず、死んだことにすら気付くことなく死んでいけたことだろう。

 

……実のところ、私はイチカの周りに居る人間の中で一番人を殺すことに忌避感を持っているんだと思う。

イチカの生前からイチカと一緒に居る先輩方は、イチカのためなら躊躇わずに人を……生き物を殺せる人ばかり。

かく言う私も目的のために必要ならば躊躇わずに殺せるけれど、先輩方は必要がなくとも殺すことが多い。私はイライラしていても痛め付ける程度で済ますけれど、先輩方もほとんどの同輩も平然と殺してみせる。私はできるだけ殺さないで済む道を探すように心がけてはいる(ただしときどき暴走する)けど、先輩方は確実に利だけを求めて行動する。

 

……要するに、私は甘いってことだ。自分でもわかってはいるけれど、こればかりはどうしても直しようがない。

いつの日かこの甘さが祟って足下を掬われたりしなければいいんだけど……。

 

「……よーし俺頑張っちまうぞー。相棒相棒、相棒の周りの奴等がドンだけヤバイかはわかったけどよ。相棒は相棒でかなりヤバイから安心しろや。あと、暴走が時々ってのは一億歩ほど譲って認めてやってもいいけど相棒が甘いってのはねえよ夢物語だよ甘さから足下掬われるとかどんな奴ならできんだよブリミルでも無理だよつーかブリミルだけじゃなくてサーシャ達が居ようがブリミルのガキや弟子が束で行っても無理に決まってんだろありえねえよ足下掬おうとしたら確実に掬いに行った手を踏みつけ踏み砕き踏み滲りながら笑顔で顔面蹴飛ばして肩から先と胴体を生き別れにさせてまだ体が空中にある間に空中コンボ決めて次の瞬間火山の火口に瞬間移動させて焼き殺したり全身の皮膚を指先から少しずつ剥がしていって剥がし終わったら次は爪を剥いで歯を引き抜いて全身の筋繊維が露出したところに酢を刷毛で塗りつけて悶え苦しむ相手に砂と泥を擦り付け瞼を切り落として眼球まで攻め立ててもなんにもおかしいとは思えねんだがな」

 

…………………………。

 

「おごごごごごごやべえやべえやべえマジでやべえ折れる折れる折れる折れる本気で折れる洒落にならねえいくらなんでも今回のはやべえって悪かった俺が悪かっただからもう勘弁してくれすまん捻れてる捻れて捻れ捻捻ねね軋む軋む軋んでるギシギシと嫌な音ががががががぎゃぁぁぁぁああぁぁああああぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

……ここまでムカついたのは久し振りね。私の怒りが有頂天、この怒りは止まるところを知らないわ!

ただ、イチカの前に立ったらきれいさっぱり消えちゃいそうな気もするけど。

 

「……そろそろダータルネスに着くわよ。準備はいいかしら?」

「……ハッ!? は、はい!大丈夫ですレア姉様!」

 

ルイズはそう言うとすぐに“幻影”の詠唱に入る。やっぱり詠唱が必要な魔法を持っているメイジなら早口言葉は練習しておかないとダメね。

まあ、それでも今回は別に構わないけれど。ゆっくりゆっくりやりましょう?

 

 

 

 

 

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