ゼロの使い魔 ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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side 織斑ルイズ

 

フーケの名前を出したら一気に態度が柔らかくなったティファニアと一緒に料理をする。初めの内はエルフと同じ長い耳をしているとかそんなことでおどおどしていたけれど、私の知り合いの某『魔薬』の二つ名を持つ弄られ系苦労人型ツッコミお姉さんと某むっつりエロフの二つ名を持つ生真面目系苦労人型ツッコミお兄さんの話をしたら割と普通に接してくれるようになった。

ただし、その二人と子供達に会ってみたいと言われた時に『私ももう二度と会えないよ』と言ってしまったのはちょっとだけ失敗だったかもと思っていたりいなかったり。片方は寿命で死んでもう会えないし、もう片方は私を看取った一人だからその後どうなったのかはよくわからないし、仕方無いんだけど。

ただ、二人は間違いなく幸せだった。それだけは胸を張って言うことができる。イザベラは笑顔で死んでいったし、ビダーシャルも内心はともかくイザベラを笑顔で見送ったしね。

 

とんとんとんと持ってきた野菜を刻んでスープに放り込む。アルビオン軍を押し潰しているマジックバリアを発動させながら材料が変質しないように魔力の方向を調整するのは練習しているからお手のもの。昔から何度も失敗してきたけれど、今となっては失敗は遠い記憶の果てのこと。自分の力を完全に使いきるくらいの事もできないで料理人を名乗ることなんておこがましくてできるわけがない。

 

野菜たっぷりに肉はそこそこ。贅沢が身に付かないように抑えながらも美味しく。バランスが難しいけれど、別にできないことではない。

こんな年から贅沢を身に付けたら大変。どうしてもって言うなら安くて美味しい料理を作るのを趣味にしてあげれば贅沢な気分を味わいつつ安上がりでいいんだけどね。

例えば、普通は肉を取って解体し終わったら棄てられる鶏ガラとか牛の骨とかをただ同然の値段で貰ってきて出汁を取って物によってはアクセサリーの材料にしたりして、それでも余ったら肥料に変えて畑に蒔くとかすればかなり安上がりに美味しい食事と臨時収入、そして肥料まで手に入っちゃうと言う一石三鳥の状態に!

 

……まあ、二鳥から三鳥にするにはメイジの力が必要になってくるんだけど、その辺りは私が土の精霊魔法を使ったり、子供達の中にほんのちょっとでもメイジの血を引いている子供がいればそれで解決。

ついでにメイジの血脈なんて実のところそこらじゅうに転がっているしね。

 

ナハトニッドでジョゼフがその事に気付いて領民に杖を配ってみたら、なんと八割以上の人間が魔法を使えるようになっていたんだから驚き。殆どはドットメイジだったけれど、一部はラインやトライアングルにまで登り詰めたのも居たっけ。

登り詰めてもやってることは主に質のいい肥料を作ることと畑を耕すこと、雨の少ない日に風と水メイジが何十人も集まってロマリアの讃美歌詠唱の真似で雨を降らしたりする程度だったのが笑えるけれど、それはつまり平和だってことだものね。良い事良い事。

 

と、言うわけで主婦のたしなみとして、その場にある物でお安く手早くそして美味しく、十五分クッキング終了よ。

いや、本当に“マジックバリア”と“ライト”は便利よね。上手く使えば電子レンジの真似ができちゃうんだもの。便利便利。

と言うか、“ライト”が可視光線以外にも赤外線や紫外線が出せるのは知っていたけど、まさかX線やγ線、電磁波の類いまで出せるなんて予想外だったわ。お陰で“電子レンジ”ができたからむしろありがたいけど。

 

……ああ、一応言っておくと、人にやったことはない。人の頭に電子レンジとか普通に死ぬもの。拷問するなら手足にやれば良いかもしれないけれど、別にそんなことをしなくても情報を集めるなら“記録”やら何やらで十分。

私はSじゃないからわざわざ痛め付ける必要の無い相手を痛め付けようとは思わないし、痛め付けるなら痛め付けるで他にいくらでもやりようはあるもの。

 

「……相棒は平然と怖えことやんなぁ……猫被りも上手えし」

「あらやだ、猫被りなんてしてないわよ? どっちも私の素だって言うだけでね」

「ギャップが凄すぎんだろうがよ」

「茅野さんボイスにしてあげましょうか?」

「よくわからんけどすまんかった。勘弁してくれ」

 

あら残念、ちょっと改造してあげようと思ったのに。

まあ、別に良いけどね。初めからそこまで期待して言ったわけでもないし、ついでにやるのもそれなりに面倒だし。

 

……そうだ。竈を作ろう。

 

「悪い、前後の繋がりがこれっぽっちも見えねえんだが説明頼めるか?」

「竈を作るんですか?」

 

説明を求めるデルフリンガーと、純粋に疑問の声をあげるティファニア……テファの言葉が一部重なる。とりあえずそれらしいことを答えておけばいいかしらね。

 

「ええ、作るつもりよ。なんだか久し振りに料理を作ってたらパンとかピザとかも作りたくなっちゃってね。煙が出ると危ないから“分解”魔法を込めたマジックアイテムで二酸化炭素を炭素と酸素に分解して“循環”のマジックアイテムで別れた酸素を再利用、炭素を燃料として再利用することによって煙も有害物質も出ない上に光熱費が初めの一回を除いて殆どかからないのに火力は変わらず、さらに“分解”のマジックアイテムの効果によって掃除いらずで火力が下がる心配もない。しかも上手くやれば火力を調節して暖房の代わりにしたり、こっちにある竈と繋げてこっちの方の料理にも使う事ができるようになる優れ物で、当然“硬化”と“固定化”を何度も重ね掛けすることによって耐久性を限界まで求めた一品。場所を貸してくれればそっちで勝手に使ってくれて構わないし、そうなったら子供達が間違って触っても大丈夫なように外側の壁と内側の壁の間に断熱効果を持たせて火傷しないようにするサービスもつけるわ。中にできるだろう火石を使った暖房器具は……半年くらい待ってね♪」

「…………おい相棒、お前さんが何を言ってるのかよくわからねえが、相棒が物凄いことを言ってるってことだけはわかるぜ」

「よくわからないけど……良いんですか?」

「私が作らせて欲しいの。……駄目かしら?」

 

そう聞いてみたら、テファは首をふるふると横に振った。どうやら一応許可は貰えたと考えていいらしい。

 

それじゃあすぐに作り始めましょう。安全基準法も建築法もこの世界には無いんだから、私なりに全力で安全を考えつつも便利さの追求を忘れないように。

あははは♪ 本当、虚無の魔法とマジックアイテムは生活お役立ち魔法と日常品として優秀よね♪

 

…………あ、そうそう、アルビオンのニューカッスルにチビ火石をバラ蒔いてあるんだっけ。ついでに爆破しておきましょう。

 

 

 

 

 

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