ゼロの使い魔 ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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ほのぼの版 後日談2~4(完)

 

 

その後日談的何か2

 

ここ、ナハトニッド男爵領では、今まさに大事件が起ころうとしていた。

いつもは早々のことでは驚愕も心配も見せないジョジョがおろおろと慌て、ビダさんは廊下を意味もなくつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかつかと歩き回り、フィーさんはとりあえずにこにこと笑顔でお湯やら布やらを用意し、ルーちゃんは心配そうにとある部屋の扉を眺め、俺は暢気に眠っていた。

 

部屋の中からは呻き声と悲鳴、そして数人の人間の声が聞こえ、時折荒い息が扉越しですら聞こえてくる。

一言で言うと、いざべえ第一子の出産中だ。相手は勿論、さっきから屋敷中を意味もなくうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろうろしているビダさん。こんなに落ち着きの無いビダさんを見るのは久し振りかもしれない。

具体的にはちょっと長めの初夜を過ごした次の日の朝に、『きのうは おたのしみ でしたね』とジョジョに言われていた時以来だ。

 

ちなみにその言葉は俺が教えた。その事がバレてビダさんといざべえにかなり追いかけられるなんていうこともあったが、言ったのはジョジョなんだから追われるのは心外だよ。

俺は言ってない。言ったら面白そうだと話しただけで、言ってほしいともなんとも言ってない。ジョジョが勝手に言っただけだ。だから俺は悪くない!

………って言ったらなんか二人とも馬鹿みたいに加速してきたけど。虚無魔法の加速を使ったわけじゃないから、多分安心してくれていいと思う。

 

そんな話はどこかその辺に置いといて、今はこの辺り一帯がかなり切羽詰まった状況だ。

いざべえは当然ながら出産は初体験。俺達の中に他人の出産に立ち会った経験のある奴は俺以外には居ないが、その俺自身も知識がある訳じゃないからカウントしない。

そんな訳で領内に居る産婆を呼び、事情を説明して出産に立ち会ってもらっているんだが………ジョジョとビダさんが鬱陶しい。このままほっといたらいざべえとその子供の容態が安定するまでに情熱的なランバダでも踊り始めるんじゃないかと思えるくらいに落ち着きがない。

その上いざべえの居る部屋からはいざべえの苦しげな呻き声が聞こえてくるんだから、落ち着いてられないのもわかるけど。

 

「少しは落ち着きなさいよ。ジョゼフが逆立ちしたまま回転しようがビダーシャルがうろうろ歩き回ろうがイザベラの容態に変化が出る訳じゃないんだから」

「ぬぅ……しかしだな……」

「あーあー五月蝿いわよむっつりエロフ。やることはやったんだから後はあんたらの大好きな大いなる意思に願いでも向けてなさいよ。もしくは寝るべきね」

 

ルーちゃんはジョジョとビダさんにそう言う。確かにその通りかも知れないが、やっぱり落ち着かないらしく辺りを歩き回ったりなんだりと鬱陶しい。

 

…………歌うか。小声で。

 

「やめたげなさい。いくらなんでもイザベラの出産直後に立ち会えないのはかわいそうでしょ」

「……それもそうか」

 

じゃあ大人しくさせるには…………ルリヲヘッドでも被せて正座させるか。いざべえの子供の産声が聞こえるまで。

 

そこまで考えた時、ジョジョとビダさんが待ちに待っていただろう声が聞こえた。

それに僅かに遅れて固く閉ざされていた扉が開き、ひょっこりとフィーさんが姿を表した。

 

「ジョゼフ様。ビダーシャル。ルイズさま。産まれましたよ」

 

その声が聞こえた瞬間にジョジョとビダさんの姿は掻き消え、部屋の中からジョジョとビダさんの声が聞こえてきた。どうやらあの二人も常識外れの存在になったらしい。

 

「イチカは行かないの?」

「もう少し親子水入らずで良いだろ。眠いし」

「イチカはほんとにいつでもマイペースね」

 

俺はその言葉をスルーして布団に潜り込み、目を閉じる。

ルーちゃんはいざべえ達のところに子供を見に行ったのだろう、ゆっくりと廊下を移動しているのが気配でわかる。

 

……まあ、とりあえず。

 

おめでとさん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後日談的何か3

 

とりあえず、聞いて驚いて見て笑えばいいのかもしれない。なんと、ビダさん自分の子供(女の子、0歳、青い髪にとがった耳のハーフエルフ)に超甘い。ビダさんがあんな顔をするとは思ってなかった。

なんだろう、マイホームパパ? うん、一言で言えばそんな感じ。

その上いざべえのこともちゃんと気遣ってるし、夫婦仲はこれまで以上によくなっている。

 

それと、娘さんの名前は……(カンペをチラリ………ハルケギニア語で読めない)………忘れた。

まあ、俺は娘さんのことはまた今度適当にあだ名をつけて呼ぶことにするとして……この甘ったるい空気をなんとかしてもらいたがっているルーちゃんを抱き締めて寝ようと思う。

いまだにルーちゃんは俺を抱き枕にしてないとよく眠れないようなので、俺の布団はルーちゃんのと共通だ。

 

ちなみに言うまでもないと思うが、ルーちゃんはあまりにも結婚しろ結婚しろと五月蝿い両親(プラス上の姉)の家から出たようで、既に貴族としての名前は名乗っていない。

 

今のルーちゃんは名字も貴族の位もない、一個人のルーちゃんだ。

それで何が変わったと言うわけでもないが、とりあえずルーちゃんはカティさん以外とは連絡を取っていない。その連絡方法も、虚無魔法を使った手鏡で話すという徹底ぶり。始めに鏡を届けたのは俺だが、それ以降は元の家には近付きすらしない。

カティさんはちょっと悲しげだが、ルーちゃんが元気にしていると言うことがわかると嬉しそうに笑ってくれる。

 

……いいお姉さんだね。もう一人の方の理論武装が下手な年功序列制度をこっちにまで強要してくる行き遅れの方とは違って。

 

で、現在ルーちゃんは基本的にジョジョの家に厄介になっている。当然ただじゃなくて仕事はしているが、いざべえやジョジョの量と比べるとかなり少ない。

俺も時々出てくる盗賊やら傭兵団やら人拐いやらを肥料に変える仕事を受け持っているが、これもなかなかいい値段になる。

しかも一月に2~3回程度の出勤であれだけ儲けが出るんだから、いい仕事だな。

 

「……現実逃避はいいけど、あの甘ったるいのはどうするのよ?」

「害はない。少なくとも俺にはない。故にほっとく」

「私にはあるんだけど……」

「じゃあ、甘ったるいのを無視する簡単な方法。自分が甘ったるくなればわからない」

 

それじゃあおやすみ。

 

……すか~…………。

 

 

 

 

 

side ルイズ

 

貴族の名前を捨て、ただの魔法が使えるだけの平民になったルイズよ。

昔の悩みは身長と胸のサイズがどう頑張っても大きくならなかったこと。今の悩みはイザベラとビダーシャルの二人から振り撒かれる空気が甘ったるすぎるってこと。使い魔はいないけど、頼りになる相棒なら居るわ。

 

イチカに甘ったるい空気について相談してみたんだけど、イチカは適当なことを言ってさっさと寝てしまった。

仕方がないのでイチカを後ろから抱き締めて目を閉じるけれど、甘ったるい空気は全くお構いなしに漂ってくる。

自分が甘ったるくなればわからなくなるって言われたって、甘ったるくなる相手がいないんだったらどうしようもないじゃないの。どうしろっての?

 

そう思いながらも匂いをごまかすために、イチカのことを強く抱き締める。結構ちいねえさまに似てきたと言われるけれど、やっぱり私とちいねえさまは違うとはっきり理解できる。

ちいねえさまは、どちらかと言えば甘える方ではなく甘えさせる方だ。私は他人を甘えさせることもできるけど、どちらかと言えばやっぱり甘える側。包み込むように受け入れるちいねえさまとは違う。

 

……まあ、いくらちいねえさまでも、この空気は甘いと言うと思うけど…………。

……と言うか、なんで空気が甘いのかしら? 甘い匂いがするなんて、花と蜜とお菓子、それとイチカで十分よ。

ほら、イチカって甘い匂いがするじゃない?

 

そう考えた途端に、ルイズはイザベラとビダーシャルの発する甘い匂いが気にならなくなり始めたが、その事には気付いていないようだ。

恐らく、今は眠ってしまっている一夏に指摘でもされない限りは気付かないだろう。

 

ルイズが洗脳されて変わった主な部分は、感情を抑えられるか否か。それ以外の感覚はそれまで通りであるため、平時におけるルイズの能天気さも迂闊さも全く変わっていない。

これが緊急時や挑発されているときならかなり変わるのだが、生憎と今は平時。平和で平和で平和すぎる状態では、ルイズのうっかりスキル(偽)は絶好調だ。

 

それに気付かないルイズは、ゆっくりと意識を闇に落とし始める。

暖かい一夏の体を抱き締め、自分達が自分の言う『甘ったるい空気』を発散し始めていることも知らず、ゆっくりと。

 

「……おやすみ。イチカ」

 

ルイズは最後にそう呟いて、完全に意識を失った。

 

 

 

 

 

~ちょっとしたオマケ~

 

タバサことシャルロットは、ガリア王の玉座を得てからずっと仕事をおこなっていた。

イザベラとジョゼフの残した腐敗貴族のリストと、それら腐敗貴族が行ってきた汚職の証拠。その貴族達の後任の育成方法、騎士団の纏め方、王としての振る舞いの作法や話し合いでの間の取り方、カリスマを発揮するためのいいリズムの取り方、その際の声の強弱、交渉時に引くべき所と引くべきではないところの見分け方など、ジョゼフとイザベラの置き土産とも言える仕事と必要な資料を相手に格闘する毎日。

 

母の心を治せたことは喜ばしいことだ。けれど現在は、その後の復讐を行おうとしても忙しすぎてできない上に、あまりに密度の高い仕事三昧の毎日に復讐心が色を失い始めていた。

 

シャルロットの胸に宿るのは、たったひとつの言葉。それは……

 

「……嵌められた……」

 

それにつきた。

 

「きゅいきゅい。おねえさまおねえさまおねえさま? ご飯の時間なのよ~♪」

「……今は忙しい」

「シルフィが食べさせてあげるから食べるのね!昨日もそうやってごはんちょっとしか食べてないんだから!きゅい!」

 

シルフィードによって一口大に切られたそれらを、あーん、と食べながらもシャルロットは仕事を続ける。

もしかしたらこの二人はこれで結構幸せなのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後日談的なにか4

 

 

 1.

 

八年。人によっては短くて、人によっては長いそれだけの時間が過ぎた。

ジョジョは既に引退していて、今はよく庭で花壇の土いじりをしたり、いざべえやビダさんに悪戯をしたりしている。

ビダさんはジョジョの家督を継いでいるが、書類仕事にようやく慣れてきたといった風情だ。まだまだいざべえの書類処理能力には届いていない。

いざべえは三児の母として強くかっこいい母親であろうと努力を続け、今やトリステインの騎士団長よりも強くなっている節がある。

勿論ビダさんとはいまだに仲睦まじく、もしかしたら四人目ができるのも時間の問題かと言う話をよく聞く。それくらい仲睦まじい。

 

「ルイズさま~」

「ルイズさま~」

 

とてててっ、と軽い足音をさせながら現れたのは、いざべえとビダさんの第一子のシャーリー(八歳、女の子、命名ビダさん)と、第二子のティス(六歳、男の子、命名ジョジョ。渾名)。どうやらルーちゃんに用があるらしく、無邪気な笑顔を浮かべながら走ってきている。

 

ちなみに、ルーちゃんが名付け親になったリア(五歳、女の子)は、たぶん今くらいの時間ならいざべえの膝の上だと思われる。

名前が短いのが多いのは、俺でもなんとか名前を呼べるようにという苦肉の策らしい。

シャーリーはsya-ri-、ティスはフルネームは忘れたが、リアはria。三人のうち二人の名前を覚えられるのは珍しい。特に外国系の名前だと覚えられない名前が多いから色々困ってたんだが、よかったよかった。

まあ、いざべえやビダさんやジョジョやルーちゃんは呼び名がこれで固定されてるけど。しかももう誰も文句言わないし。

 

……そんな話は適当にどこかに置いとくとして、いったいなんの話だろうな? ルーちゃんは大抵のんびり仕事をしたりしてるし、遊んでもらうにしてもあんまり騒げないってわかってるはずなんだが。

 

「今日も元気ね。どうしたの?」

 

ルーちゃんはにっこりと笑いながらシャーリーとティスに応対する。元々ルーちゃんは子供嫌いじゃないし、面倒見もいい方だから子供達には好かれている。

ちなみに俺は、大抵寝てるから好かれてはいないが嫌われてもいない。昼寝をしてると時々一緒になるくらいだ。

……まあ、俺は好かれてようが嫌われてようがどうでもいいんだけど。

 

俺がそんなことを考えている間にもちび共の話は進む。

 

「どうしてルイズさまはけっこんしないんですか?」

「別にしなくても困らないからよ」

「そこって慌てるところじゃないのか?」

「いいじゃないの。結局答えは同じなんだから」

 

まあ、そうだな。

 

「すきなひとがいないの?」

「いるわよ? イチカのことは好きだし、シャーリー達のお母さまとお父さまも好きね。勿論おじいさまのことも、シェフィールドも、シャーリーもアルティスもリアもね」

「わたしもルイズさまはすきです!」

「わたしも!」

「そう。ありがとう」

 

ルーちゃんはにこにこと笑いながらシャーリーとティスの頭を撫でている。なんと言うか、ルーちゃんの話で聞いたカティさんみたいだな。なんでもいいけど。

 

……さて、俺は寝るか。

 

 

 

 

 2.

 

ある日のこと。ルーちゃんに客が来たらしい。

中年から初老に入りかけているメイドの話では、金髪つり目で気が強そうな女性らしいが……ああ、それとトリステイン貴族。ビダさんのところに書簡が届いていたそうだ。

その話を聞いたルーちゃんは、相手が誰だかおよその検討をつけたらしい。やっぱりルイズって名乗り続けてたのはちょっとまずかったかな~……、と呟いていた。

そのお相手は、言わずと知れたルーちゃんの実家(絶縁済み)のお姉さん。かなりどうでもいいことだが、いまだに胸は小さいようだ。

 

目的はルーちゃんのようだが、ルーちゃんだったら口八丁で追い返せるだろう。相手のコンプレックスやらなにやらをよーく理解しているし、相手はまだ結婚できていないようだからそのツボも変わってないだろうし。

 

「じゃあ、行ってくるわね?」

「一応見守ってるよ」

「ありがと。いざとなったら護ってね?」

「いいよー。トリステインとガリアとここ以外のゲルマニア貴族の連合軍程度ならなんとかなるし」

「あはははっ、頼もしいわね」

 

ルーちゃんはそう言って、さっさと(胸が)虚弱(やっぱり胸が)貧弱な金髪行き遅れの居る応接室に向かっていった。

 

がんばれー。

 

 

 

 

 

side ルイズ

 

エレオノールねえさまが私を『迎え』に来たらしい。なんでもいいけれど、とにかくやめてほしい。

そんなに跡取りが欲しいなら、エレオノールねえさまが頑張ればいいのに。私はもうとっくにヴァリエールの名前は捨てているんだし…………。

 

そこまで考えて、面白そうなことを思い付いた。とりあえず……母さま達に色々と伝えてもらいましょう。

勝手に勘違いしたのはエレオノールねえさまだってことにすれば…………くすくすくす……♪

今はあんまり気にしてはいないけど、エレオノールねえさまには昔からよーく『お世話』になってたし…………ちょっとくらい意趣返しをしたって文句は言わないわよね?

 

……ふふ……ふふふふふふ…………あははははははははははっ!

 

「おお……見事な悪役三段笑いだ」

「はいはい、ありがと」

 

それじゃあからかいに……じゃなかった。言いくるめに行きますか。

 

 

 

 

 

side エレオノール

 

私には妹が二人いる。そのうち一人は病弱だったが、何年も前に突然健康になって人生を謳歌している。

そしてもう一人の妹は………使い魔を連れて家を飛び出していった。

 

自分の使い魔に恋をして、その恋を諦めさせようとお父様とお母様が婚約者を選ばせようとしたのが原因だった。

着の身着のままで家を飛び出していってしまったルイズは、お母様の風の知覚をすり抜けてヴァリエール領から逃げ出した。

そして今の今まで逃げ続け、いったいどこに居たのかと思えば……

 

「まさか、ゲルマニアに居たなんてね。ちびルイズ!」

「ふふふ……まさか、別の国に逃げるとは思っていなかった? 手持ちのお金が無くなったら戻ってくると?」

「ええ。みんなそう思ってたわよ」

 

カトレアそっくりに成長したルイズが、私の言葉を聞いてくすくすと笑う。そんな笑いが、私の勘にさわる。

 

「いいからさっさと帰るわよちびルイズ!」

 

ルイズの手を掴もうとして手を出したが、その手はするりとすり抜けられる。

ルイズはカトレアによく似た、けれどどこか違う強い笑顔を浮かべてそこにいた。

 

「ごめんなさい、エレオノールさま」

「え……る……ルイ……ズ………?」

 

ルイズは、私のことをねえさまと呼ばなかった。そして、言葉を続ける。

 

「私は、この子のためにも……帰るわけにはいかないんです」

 

ルイズは、自分のお腹に手を………………え?

 

「え?」

「うふふ♪」

「……え?」

「うふふふ♪」

「…………ええぇぇぇぇっ!!?」

「あはははははははははははっ♪」

 

さ……先を……妹に先を………………。

 

…………きゅう。

 

 

 

 

 

side ルイズ

 

気絶してしまったエレオノールねえさまを、とりあえずヴァリエール領の自室までテレポートで運ぶ。

ちょっとどころじゃなく精神力を食われたけれど、このくらいなら問題ない。あと五十往復はできそう。

今の私の精神力を全て‘エクスプロージョン’に込めれば、ハルケギニアを七回焼き尽くすことができるだろう。

 

けれど、私はそんなことをするつもりはないし、わざわざこの居心地のいい世界を壊したいとも思わない。

……だから、楽しませてくださいね? エレオノール お ね え さ ま ?

 

 

 

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