20XX年に一人の孤独な少年が死んだ。
彼は15年という余りにも短い時間しか、生きられなかった。だが、その15年が少年にとって幸せであったかというとそうではない。
彼はごくごく普通の家庭で育った。両親は離婚してしまったが、母親と祖母と三人でそれなりの生活をしていた。だが、彼は学校ではとても孤独であった。
元々感情を表に出さす、周囲からは暗い性格だと思われていて、虐めにあっていた。周囲は彼を助けようとはせず、見てみぬ振りをしていた。しかし、そんな彼にも一つだけ心を滾らせるものがあった。
MH《モンスターハンター》。このゲームを知らない者はいないだろう。全世界で大人気のハンティングアクションゲームである。その余りの人気度に小説まで出るほどである。このゲームには、多くの者達が引き込まれ、彼も例外ではなかった。
元々孤独で、ほとんど家の中で過ごしていた彼は広大な世界を己が身一つ、武器一つでモンスターと戦い、その世界を駆け巡るMHの世界は孤独な彼にとってはとても魅力的だった。そして夢を見た。こんな世界で自由に生きてみたい、と。
だが、彼の人生は突然幕を閉じた。
何があったのかと聞かれれば、こう答えるしかない。"運がなかった"、と。
彼が夜遅くに塾からの帰り道で通り魔に教われたのだ。こんなことは、テレビのニュースで見ることは度々あるが、その被害者に自分がなるなどと、ほとんどの人は考えないだろう。彼は自らの運命を呪った。なぜ、俺なんだ、と。周囲の誰ともわかりあえず、いつも一人で、ゲームをしながらそのゲームの世界に憧れる程度のことしかしてこなかった自分がなぜ死ななければならないのか、と。
彼は、神様というものを信じていなかった。神様がいるなら、悪人には必ず天罰が下るはずだし、善人が悪人よりも多く死ぬなどあり得ないと考えていたからだ。
彼はMHの今後出てくる新たなモンスターや新たな武器を考えるだけで悲しくなった。もっと生きて、MHをやりたかった。
そして彼は、普段の自分では考えられないことを始めた。普段の自分が今の自分を見れば、自分らしくないと言うだろう。だが、それでも彼はやった。
それは、祈り。彼は人生で始めて神様に祈った。
何を祈ったのか?そんなものは決まっている。
今まで信じてこなかったが、この世に神様とやらがいるのなら、俺をMHのような広大で自由で夢のある世界に生まれ変わらせてください、と。
そう祈ったのだ。