今回はしっかりと現代のAqoursを登場させます。
前回や前々回に比べると結構長くなってしまいましたが、楽しんでいただけたら幸いです。
最初に言っておきます。
変身します。
物語は、少し前に遡る。
悠は幼馴染の2人とバスに揺られていた。
無論、学校に行くためである。
悠たちが通う浦の星学院は元々女子校だったのだが、生徒数の減少を受け、3年前にやむなく共学化された。
本来なら既に無くなっているはずだったことを考えると、今もこうして通えていることは素直に喜ばしいことなのだろう。
だが、この地区の子供の数そのものが減少している現状を省みると、焼け石に水であることは否めない。
またいつか廃校の危機に陥ってしまうかもしれない。
まぁ、悠が考えてもしょうがないことなのだが。
隣で幼馴染2人が女子トークを繰り広げているのを尻目に、悠はスマホアプリのパズルゲーム、『ハテサテパズル』をプレイしていた。
今挑戦しているのは国内ユーザーの上位30%しかクリアしていない難易度、XX(ダブルエックス)のステージである。
(よし、あとはここをこうすれば...。)
そう考えながら、悠は画面をスワイプする。
すると、液晶に「GAME CLEAR!!」の文字が表示された。
「よっしゃ、クリア!」
思わず声に出す。
すると、隣に座っているオレンジがかった髪色の幼馴染、高海 千歌(たかみ ちか)が悠に話しかけてきた。
「本当にユウ君はゲームが好きだね~。」
「そんなの昔っからだろ。」
そう言いながら悠はスマホをしまう。
すると今度は千歌の向こう側の席から
「昔っていってもほんの二年前からでしょ。」
と、灰色がかった髪色の幼馴染、渡辺 曜(わたなべ よう)が言う。
「そうだっけか。忘れちまったよ。」
悠はそう返し、茶化した。
幼馴染2人は昔から悠のことを「悠」の別の読み方、「ユウ」で呼んでいる。
さらに曜は言う。
「そうだよ~。それまではずっと本読んでばっかりだったのに。」
「別に今でも読書はしているさ。」
嘘ではない。実際に悠は昨日、『機械仕掛けの友情』という小説を読み終えたばかりである。
「ねぇ、何でそんなにゲームが好きになったの?」
今度は千歌が悠に聞いた。
一瞬の間が空き、悠はどこか自嘲めいた笑みで、
「ゲームなら、やめたいときにやめられるからかな。」
と言った。
「...?どういう」
千歌がその言葉の真意を聞こうとしたその時、バスが大きく揺れた。
「!?何だ!?」
「何!?何なの!?」
悠と曜も動揺する。
何かあったのかとバスの前方を確認すると、そこには。
そこには、2体の怪人が立っていた。
緑色の鳥のような怪人と、左腕に黒く巨大な鉄球を着けた怪人である。
「ドーパント!」
「何それ!?」
悠が叫んだ謎の単語に、千歌が反応する。
だが、悠はそれに答えず、
「説明はあとだ!とにかくバスから降りるぞ!」
と、窓を開け、歩道に飛び降りた。
千歌と曜も手を貸してもらい、それに続く。
ちなみに、乗客はこの3人だけだったし、運転手は先にさっさと逃げてしまった。
3人が降りた瞬間、鉄球が着いた怪人がバスを持ち上げ、それを道路に叩きつけ粉砕しだした。
「今のうちに逃げるぞ!」
悠たちは怪人とは逆方向へと走り始める。
「!!痛っ。」
だが、千歌が躓いて転んでしまった。
すると鉄球持ちの怪人がそれに気づき、
「ガァァァァァァァ!」
と雄叫びを上げ、さっきまでバスだったスクラップを千歌に向かって投げた。
「千歌ちゃん!!」
「千歌!!よけろ!」
悠と曜が叫ぶ。
しかし、当の千歌はまるで金縛りにでもあったかのように動くことができない。
(あぁ。私、死んじゃうんだ。)
そう思い、千歌は目を固く瞑り、次に来るであろう想像もできない痛みを覚悟した。
が、その時、横から誰かに突き飛ばされ、鈍い音が聞こえた。
一メートルほど横に飛ばされ、千歌はもう一度地面に倒れこむが、今度はすぐに起き上がる。
さっきまで自分が居たところには怪人が投げたスクラップがあり、その下に血だまりと見慣れた靴が見えた。
悠の靴である。
「千歌ちゃん!」
曜が千歌に駆け寄る。
「...曜ちゃん、ユウ君は?」
受け入れたくない現実を拒絶し、千歌は曜に聞く。
「...ユウ君は、千歌ちゃんを庇って...。」
曜は声を震わせながら答えた。
すると、千歌は
「...助けなきゃ。」
と呟いて立ち上がり、スクラップに近づこうとする。
だが、怪人もスクラップにゆっくりと近づいていた。
「千歌ちゃん!逃げよう!」
曜は千歌の後ろから腕を掴んで引き留める。
が、千歌はその手を振り払い、スクラップを持ち上げようとする。
「千歌ちゃん!危ないよ!」
曜もそこへ行き、千歌を説得する。
「千歌ちゃん!!ユウ君はもう駄目なんだよ!だから私たちだけでも」
「ユウ君が死ぬはずない!!」
「千歌ちゃん...。」
千歌が曜の言葉を遮って叫ぶ。
「約束したんだもん!ユウ君は私たちより先に死なないって!そうだよね?ユウ君!待ってね、今助けるから!」
千歌はそう言って、スクラップを持つ腕に力を込める。
だが、少女の細腕では動かすことなんてできるはずもなく、スクラップは微動だにしない。
その間にも、2体の怪人は千歌たちにじりじりと近づいてくる。
「こっちに来るなぁ!!」
曜が落ちていた棒切れを振り回し、怪人たちに向かっていく。
「ガァ!」
「きゃあ!!」
しかし、敵うはずもなく、弾きとばされてしまった。
「曜ちゃん!」
千歌が曜の方を向く。
曜は顔を上げる。幸いにも怪我はしていないようだ。
「千歌ちゃん!!危ない!」
曜が叫ぶ。
千歌が振り向くと、鳥のような怪人が眼前まで迫っていた。
「ウゥ!!」
「あ...あ...。」
あまりの恐ろしさに、千歌は腰を抜かしてしまう。
後ずさりして距離を取ろうとするが、そんなものは気休めにしかならない。
「アァ...!! 」
「助けて...。」
千歌は呟く。
それでも鳥の怪人はゆっくりと近づいてくる。
「助けて!!ユウ君!!」
そう叫んだ時だった。
『ETERNAL!!』
突然、音声が鳴り響いた。
その次の瞬間、スクラップが爆発し、破片が辺りに飛ぶ。
「グェ!」
ちょうどスクラップの隣に居た鳥の怪人にも一部が直撃する。
その間に千歌は何者かに抱えられ、いつの間にか曜の隣に居た。
ここまでは破片が飛んできてないようだ。
「千歌ちゃん!!」
曜が抱きつく。
千歌は眼前に立つ、自身をここまで移動させた人物のことを見ていた。
真っ白な仮面のような頭部には、昆虫のような黄色い複眼と、アルファベットの「E」を横にしたような3本の白い角。
背中でなびく黒いマントに、手から腕にかけて刻まれている青い炎の模様。
胸部には何かを差し込むのであろうスロットがびっしり着いた黒いコンバットベルト。
そして一際目立つメカニカルなデザインの、赤いバックルが着いたベルトが巻かれていた。
「千歌。」
その人物は千歌の名前を呼んだ。
「...ユウ君、なの?」
千歌は問う。
するとその人物は頷き、右手を千歌の頭に置いて、
「約束したろ。俺はお前たちより先には死なないって。」
と、言った。
この約束を知っているのは、千歌と悠だけである。
「...ユウ君...、ユウ君!!」
目を涙でいっぱいにしながら、千歌は悠に抱きつく。
悠、エターナルは千歌の頭を少し撫でたあと、
「危ねぇから少し下がってろ。」
と言い、千歌を引き剥がして立ち上がった。
バサリとマントを翻し、怪人たちに向き直る。
「ウゥ...!!」
「ガァ...!!」
「バードにバイオレンス。自我を失っているということはT2か。」
エターナルはよく分からないことを呟き、続ける。
「俺の幼馴染を泣かせてくれたんだ。いくら自我を失っているとはいえそう簡単には許せねぇなぁ。」
「それ相応の、『地獄』を見てもらわないと。」
そう言ってサムズアップした右手を横に突き出し、親指を下に向け、ドスの利いた声で怪人たちに投げかけた。
「さあ...地獄を楽しみなぁ!!」
いかがだったでしょうか?
とうとう変身させることができましたね。
悠が変身するライダーは、仮面ライダーエターナルでした。
次回は戦闘になります。
戦闘描写は初めてなので不安でもありますが楽しみでもあります。
読んでいただけたら嬉しいです。
また、今回の話には仮面ライダー好きなら分かる小ネタを入れてみました。
お気づきになられたでしょうか?
これからもちょこちょこ入れていく予定なので、楽しんでいただけたら幸いです。
それでは、次回もお楽しみください。
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