死にたがりの少年と、輝きたい少女達   作:ミサエル

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どうも、ミサエルです。

一日おき更新を目指していたのに何故か久しぶりの投稿となってしまいました。

多分、書いてる人なら分かると思うんですけど

「展開とか全部考えてあるのに肝心の言葉が出てこない」

という現象に陥っていました。

まぁそんなことは置いといて、

最新話、楽しんでいただけるのなら幸いです。

それでは、どうぞ。


code A-1/久永 悠という男(後編)

「...とまぁ、これがガイアメモリのざっくりとした説明なんだけど。2人とも、分かった?」

 

僕はテーブルを挟んだ向かいに座っている千歌と曜に聞いた。

 

「う~ん。」

「まぁ、なんとなくは。」

 

僕の問いに2人はそんな風に答えた。

 

うん、そんな気はしてたけどね。

 

既に予想していた反応だから僕もさして驚かない。

 

ちなみに僕たち3人が今居るのは、久永家のリビング、つまり僕の家だ。

 

何故僕の家に居るのかについては2つの理由がある。

 

まず、単純な理由としてはあの事故現場から一番近いのが僕の家だったから。

次に、2人に説明するのに色々やりやすいから。

 

といった理由だ。

 

そこで僕は小一時間かけて2人にガイアメモリについて説明した。

 

2人に理解してもらうために要点だけを、できるだけ分かりやすく説明したつもりだったけど、まぁ、しょうがないか。

 

ちなみに2人に説明した内容を要約すると、

 

①ガイアメモリとは、地球上に存在するあらゆる物体や事象のデータを入れたUSBメモリである。

②そのメモリを作ったとある組織により、社会の裏側で高値で取引されている。

③ガイアメモリを使うと先ほどの怪人、ドーパントや仮面ライダーのように超人的な能力を得られる。

④ただし、ドーパントになるとメモリに入っている「毒素」により体が蝕まれ、死に至る危険性もある。

⑤メモリには先発品と後発品があり、ドーパントやエターナルに変身するときに使うのが先発品のT1メモリで、端子の色が金か銀。先ほどの2体のドーパントが使っていたメモリや、エターナルが技を発動するときに使ったジョーカーメモリなどの青い端子のメモリが後発品のT2メモリであり、こちらは人間の体に勝手に入り込み、人をドーパントに変え、暴れさせる。

⑥しかし、ドーパントになるためのT1メモリと、エターナルになるためのT1メモリは作り方が違うので、エターナルメモリはドーパントのメモリに比べてほとんど毒素が含まれていない。

⑦T1メモリはドーパントや仮面ライダーの力で壊すことが出来るが、T2メモリは壊すことが出来ない。

 

といった具合だ。

 

「じゃあ、あの人達は私達に恨みがあったとか、そういう訳じゃないんだぁ。」

 

うんうんといった感じで千歌が納得する。

 

「ねぇねぇ、何でユウ君はドーパントにならないの?そのベルトの力?」

 

曜がそんな質問をしてきた。

 

う~ん。それを説明するのはちょっとめんどくさいんだよなぁー。

...仕方ない。

 

「千歌、曜。」

「ん?」

「はい?」

 

僕は真面目な面持ちで2人に言う。

 

「今の曜の質問だけど、半分はベルトの力で正解。このベルトはメモリの毒素のフィルターの役割を果たすんだ。」

「はぁー。なるほど。」

「でも、『半分』ってどういうこと?」

 

千歌がもっともな疑問を口にする。

 

「そう、そこなんだけど...。それを説明する前に、2人に1つ、試練だ。」

「へ?」

「試練?」

 

2人はきょとんととした顔で僕を見る。

 

「あぁ。試練だ。今から僕はある行動をする。...先に言っておくけど、多分、相当なショックを受ける行動だ。それに関しては今謝っておく。重要なのはその後。2人には『黙ってこの場を立ち去る』か、『ここに留まる』かを選んでほしい。」

 

「...ユウ君?」

「どういうこと?」

 

2人の怪訝な目が、僕に突き刺さる。

 

でもこれは本気で選んでもらわなければ困る。

 

「さっきここに来る前、『後戻りはできない』って言ったけどな。実は今ならまだ引き返せる。この後、ここから立ち去れば。そして明日からまた、いつも通りの日々を過ごすことができる。」

 

2人は黙って僕の話を聞いている。

 

「ドーパントとの戦いは2人が思っているよりもずっと、残酷な世界だ。できれば僕は、2人のことを巻き込みたくない。だから、選んでほしい。頼む。」

 

僕は2人の目をしっかりと見て言う。

 

「...うん。」

「...分かった。」

 

2人は渋々ながら、了承してくれた。

 

「オッケー。ありがとう。」

 

そう言いながら僕は制服の胸ポケットから単色ボールペンを取り出し、芯を出す。

 

そして、

 

「ごめんな。」

 

 

そう言って、そのボールペンを、自分の喉に深々と突き刺した。

 

 

「...ガッ、ハァ...ッ...!」

 

鉄の味が口内に広がり、口元を生温かい血が伝っているのが分かる。

痛い。さすがに痛い。

 

「!ユウ君!!」

「何してんの!?」

 

千歌と曜が大慌てで僕の所に来ようとする。

が、僕はそれを血まみれの左手で制して、

 

「...良いから......。ハァ...。黙って、見てろ...。」

 

と言ってから、ボールペンを思いっきり引き抜く。

さらに血が勢いよく流れ落ちる。

 

2人は変わらず、僕のことを心配そうに見ている。

 

が、その目はすぐに信じられないものを見るような目に変わった。

 

「...嘘。」

「...何で..?」

 

...そろそろかな。

 

自分では見えない所を刺したから感覚でしか分からないけど、多分。

 

 

多分、傷口が完全に塞がる頃だろう。

 

「...ユウ、君?」

「平気なの...?」

 

予想通り、2人はとても混乱しているようだ。

まぁ、信じられない光景であることは確かなんだけど。

 

「あぁ、平気だよ。」

 

痛みが完全に消えたので、僕は傷口が消えたかを触って確認しながら答える。

 

うん。無くなってる。

 

「千歌、曜。これが、僕がドーパントにならないもう半分の理由。」

 

 

「つまり、僕は既に、

 

『半分ドーパントになっている。』

 

ってことだ。」

 

 

そう。そういうことなのだ。

詳細は省くが、僕は初めてエターナルメモリを起動した時に、この不死身の身体になった。

 

「不死身」とはいっても痛みは感じるし、既に流れ落ちた血とかが消えたりするわけではないけど。

 

「......。」

「......。」

 

千歌と曜は俯いて黙っている。

 

まぁ、無理もないか。普通に接していた幼馴染が、実は死なない化け物だったんだからな。

 

「黙ってたのは、悪かったと思っている。でも、千歌達だってこんな化け物が近くに居たところで」

 

 

「...違うよ。」

 

 

千歌が僕の言葉を遮って呟いた。

 

「...千歌?」

 

僕が声をかけると、千歌は顔を上げた。

目に涙がいっぱい溜まっている。

 

震える声で、千歌は言う。

 

「ユウ君は、ユウ君だよ。昔も今も、私のヒーロー。ちょっと人と違うからって、それは変わらないよ!だから...。だから...。」

 

 

「自分のことを、『化け物』だなんて言わないで...。」

 

 

そこまで言って、千歌は僕に抱きついてきた。

突然のことに僕は当然戸惑うが、僕の胸で肩を震わせている幼馴染を見て、不思議と冷静になる。

 

...あぁ、何してるんだ僕は。

 

この世で一番守りたい、大切な幼馴染を泣かせて。

 

「ごめん、千歌。」

 

そう言って僕は千歌の頭をそっと撫でる。

フワッと、オレンジの香りが広がった。

 

「あーあ。ユウ君、千歌ちゃんのこと泣かせたー。」

 

そう言って曜が、ニシシっと笑って僕を見る。

 

「さっきの怪人達に言ってたよね。『俺の幼馴染を泣かせた奴は許さない。』って。」

 

「...あぁ、言ったな。」

 

厳密に言うと少し違うけど、まぁいいか。

 

「だからユウ君は、千歌ちゃんにお詫びをしなきゃだと思うんだ。...というか、そうしなきゃ私がユウ君を許さないよ。」

 

優しい声で、曜が言う。

 

「いや、でもな...。」

「でももへったくれも無いの!第一、私たちが出ていってない時点で、分かるでしょ?」

「......。」

 

確かに、そうだ。

全く、手のかかる幼馴染達だよ...。

 

僕は苦笑しながら2人に言う。

 

「千歌、曜。1つだけ、約束してくれ。」

 

千歌は僕に抱きついたまま頷き、曜もまた、

 

「なに?」

 

と、微笑みながら首を傾げた。

 

「これから2人が、僕の戦いに首を突っ込むのは自由だ。2人の好きにしてくれ。ただ、そうした場合。もし本当に危なくなったら、早く逃げてくれ。それが約束。」

 

「...うん。」

「分かったよ。」

 

千歌と曜はそれぞれの言葉で約束してくれた。

 

「ユウ君、私からも約束。」

 

千歌が顔を上げて、赤くなった目で僕を見上げて言う。

 

「ユウ君が死なないのは分かったよ。でも、さっきみたいに本当なら大怪我しそうなことして私たちに心配かけるのはやめて。ね?」

 

多分千歌が言っているのはバスの下敷きになったことだろう。

 

ぶっちゃけあの時は、心臓と頭だけ奇跡的に残ったようなものだったから自分でも2度とやりたくない。

 

「あぁ。分かったよ。約束する。」

 

僕が約束すると千歌はにっこりとして、

 

「それと!私のお願い、聞いてくれる?」

 

と言ってきた。

 

まぁ、さっき曜にも言われたし、良いか。

 

「良いよ。蜜柑でしょ?何個いるの。」

「違うよ!何で蜜柑なの!?」

 

千歌が突っ込む。

 

「え?千歌のことだからてっきり、蜜柑食べさせろって言うのかと。」

「確かに蜜柑は食べたいけど、違うから!」

 

結局食べたいんじゃないか。

 

「んじゃあ、何?」

 

僕が尋ねると、千歌は僕から離れて、僕に向かって手を差し出しながら言ったのだった。

 

 

「私と一緒に!スクールアイドル、やろう!」

 

 




いかがだったでしょうか。

次回からはサンシャインの本編がスタートします。

それにともなって、各話のサブタイトルが少し変わります。

楽しみにしていただけたら、幸いです。

それでは、次回。

また、新たにお気に入り登録してくださった、

魔王の炎さん、神崎 焔さん、ナツ・ドラニグルさん、シルベさん、邪神イリスさん

そして、評価を着けてくださった、珈琲親善大使さん

ありがとうございました!
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