全員もれなく確定ファンブルで、1D10のSANチェックですので、アイディアなど振らないように。
「さぁて、無事協力者を手に入れた貴方ですがぁ? これからどうするんでしょうかねェ」
「まさかのノープラン。あれだけ意味深に出て来たにも関わらず、何という肩透かし」
「何をおっしゃる兎さん。最初からあからさまに胡散臭い雰囲気を放っているなんて、とっても親切じゃないですか? 何よりも恐ろしいものは、擬態している者だとワタクシは思うんですがねェ?」
俺からしてみれば、フィルター貫通は十分擬態に入ると思うんだけど……それを目の前にいるメフィストフェレスに言っても仕方がないだろう。とりあえず、協力した以上は大抵のことには目を瞑ろうと思う。
「そこに関してはもういいや。問題は銀の鍵が何処に行ったのか、上の死体はどうして出来上がったのか、どうして周辺に人がいないのか……今のところはこの三点かな」
「あぁ、死体は別にカウントしなくても結構ですよ。だって、アレをしたのはワタクシですので」
衝撃の告白である。
どうやら上の魔術師を爆散させたのはこのメフィストフェレスであるという。これでこいつの危険度がうなぎ登り。余計に安心できなくなった。
けれど、理由を聞いてみないことには判断がつかない為、答えを期待せずに問いかける。
「あぁ、アレを殺した理由ですか。まぁ、普段のワタクシであれば面白さを求めて爆散させるところですが……。えぇ、今回は違います。ワタクシとしても銀の鍵を使われることは避けたいのですよ。だって、そんなことをしてしまっては面白くない! 楽しくない! 確かに、人々が発狂し、絶望に浸る様は見ていて痛快でしょうけどぉ……それはまぁ、ワタクシ自身でしたいタイプでして」
「つまり自分のおもちゃを壊されるのが気に入らないと」
「なんて身も蓋もない言い方でしょう! これではまるでワタクシが子どものようではありませんか! いえ、いえ。まぁ、正解なんですけどね」
流石自称悪魔、とんでもないロクデナシである。しかし、それと同時に銀の鍵奪還に関しての信用は得ることができたと思う。こいつは本当に自身の快楽を第一に考えている。そして先程語ったことは本心だろう。自分のおもちゃを台無しにされることは好まない。だからこそ今回に限っては邪魔をしないと思われる。
「……メフィストフェレスの理由については分かった。ついでに信用も一応できた。その上で聞くけど、そっちはなんか情報ないの?」
銀の鍵を用いて門にして鍵を召喚しようとしていた魔術師を殺したのであれば、実際に生きている時の魔術師と話す機会があったはず。問答無用で殺していたらその限りではないが、実際に生きている人物を見ているだけでも得るものがあるはずだ。少なくとも、映るものの殆どが肉塊と化す俺よりは。
「情報ですか……。そうですねェ。実に魔術師らしい魔術師でしたよ。人を人と思わず、全ては自身の探求心の為。この世界を自分の実験室と勘違いしているような、典型的なエリート魔術師でした。えぇ、えぇ。ホント、人柄としては何一つ面白いところがありませんでした。……まぁ、しかし。最期の瞬間にみせた絶望だけは高得点でしたけど」
「いや、そういうこと聞いているわけじゃないんだけど……」
予想外というか、ある意味で予想通りの答えが返って来た。別にその人の最期とか聞いてないんだけど。
内心でメフィストフェレスについて引きつつ、今の言葉に引っかかりを覚える。今語ったことは恐らく事実だろう。だとしたら、いくら何でも
「えぇ。もちろん彼と関係はありますよ? なんせ、ワタクシ彼に召喚されたモノですので」
「…………」
このメフィストフェレスは爆散した魔術師によって召喚された。それは何故か? この特異点を生き残るために英霊を必要としたということであれば理解はできる。しかし、英霊召喚は奇跡と言っても過言ではない所業。聖杯という道具がなければ成り立たないとカルデアでは教わった。
ではあの魔術師は聖杯を代用できるような魔道具、もしくは聖杯そのものを所有していたのか?
この可能性はないだろう。もし上記の条件に当てはまるのであれば、あのような結末を辿るわけがない。
……此処で思い出すのは霧の存在。門にして鍵は元々、霧から生まれ出たとされている。このロンドンに充満する霧が、それに類するものであれば英霊も召喚できるのではないか?
いや、流石にそれはないな。もし本当にこの霧が門にして鍵を生み出したものならとっくのとうにこの特異点は終わっている。それに俺の身体だって只ではすまない。
「ちなみに、メフィストフェレスはどうやって現界したのさ」
「ワタクシですか? さて、どうやって出てきたのやら……。難しい質問ですね、実に難しい。一体何処からを現界と呼べばいいのでしょうか……」
「じゃあ、この特異点にはどうやって来たのさ」
「ワタクシがどうやってこの特異点に来たのかですか? それならば単純! 冥界! 間違えました明快でェす! 街中に充満している魔力の塊……つまるところあの霧からですよ。あの魔術師は霧の正体に気づき、
そこまで言って、メフィストフェレスはこちらに視線を向ける。それは、何かを期待するような、面白いおもちゃを見る視線だった。まるで何かを期待しているようだ。
というかちゃっかり霧の正体に辿り着いちゃったぞ。
「……ん? まさか……」
門にして鍵に辿り着くための手順の中に、異形のものと六角の台座を用いるという項目がある。何を以てして六角の台座とするのか、どこまでが異形のものとして扱うのか、詳細は不明である。
だがしかし、目の前のメフィストフェレスは俺のフィルターを貫通して認識できる存在。ということはこいつの存在は英霊というよりも異形のものよりという仮説が立てられる。
また、そもそも門にして鍵を召喚するのであれば、それなりの規模が必要だろう。相手は外界の神の中でも最上位の存在。到底部屋の一室で補えるものとは思えない。誰も居ない街の様子を含めて考えれば可能性はただ一つ。
「本来であれば、この部屋を中心にして儀式を行うつもりだったってことか」
「恐らくそうだったのでしょうね。丁度、六角になるように魔術的仕込みが為されているようですし」
「……それが分かってるなら、俺が考えた意味なくね?」
「人が人たる知性を使わないでどうするんですか。家畜なんて見ても面白くないでしょう。どうせ見るのであれば、動物園の動物。よくしつけられ、檻に入れられた観賞用を見るでしょう?」
「言い方……!」
少しはオブラートに包もう。
メフィストフェレスに呆れながらも今までの情報を整理する。
この魔術師は門にして鍵を召喚するためにこのロンドンという街単位で準備を進めていた。しかし、計画の最終段階にて銀の鍵を盗られ願いは叶わずついでにメフィストフェレスに爆散させられるという最期を遂げた。
そのメフィストフェレスを召喚した手順は街中に漂っている霧の利用。これはかなり濃密な魔力の塊らしく、英霊すら召喚できるほどである。……ということは、この霧を生み出しているのは聖杯だろう。それぐらいしか、英霊召喚を可能で広範囲に霧を出せるものはない。
「……しかしどうしよう」
起きていることは理解できたが、結局銀の鍵の行方は分からず、ついでに誰が奪ったのかということすら判明していない。
であれば、次にするべきことはこの霧を止めること―――――ではない。この街を台座足らしめている六つの細工。これを調べに行くか。
「台座の場所は分かってるんでしょ?」
「もちろん。向かいますか?」
「あぁ、行こう」
これは放っておける案件ではない。
迅速に対応しなければ。
「―――――貴方は本当に人類を救う気が在るのでしょうか? さてさて、分かっているのか居ないのか……。いやぁ、愉しいです。実に」
道化師の役目は何者にもとらわれないこと。何者にも染まらないこと。常にイレギュラーとして存在することである。