貴方、生きているのでSANチェックです。   作:トメィト

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着地地点を定めることができない……。
もしかしたら最悪、五章六章は飛ばすかもしれないです。


caster

 

 

 

 

 

 

 英雄の帰還と言ったところかな。

 考えながら、周囲のスタッフの様子を確認する。誰も彼もが、この一週間からは考えられないくらいに明るく笑っている。

 

 そう、第四の特異点であるロンドンから帰還して一週間、意識不明だった立香君が今日目を覚ましたのである。これにはカルデアの全員が手放しで喜んだ。特にロマニは彼のことが心配で心配で仕方なかっただろうから、泣いて喜んでいたね。

 彼が召喚したサーヴァント達も一安心しているようで、再びいつものカルデアに戻った。

 

 ―――と、皆は思い込んでいるだろう。

 けれどそんなことは決してないのだ。このカルデアには一人欠けてしまっている。第四の特異点にて魔術王と戦ったもう一人のマスターが。どういうわけか此処にいる人たちは忘れてしまっているけどね。……いや、もしかしたら覚えている私の方が異常なのかもしれない。

 

 一応、一抹の希望にかけて立香君にも聞いてみたけど返って来た反応はカルデアのスタッフと殆ど変わらないものだった。少しだけこちらの言葉に違和感を覚えたようだけれど、はっきりと思い出すことはできないらしい。

 

 さて、確かに此処まで来ると、いよいよ不自然さが極まって来たね。どうして此処まで彼は――――乾真琴は徹底して嫌悪、もしくは排除されるのか。正直、組織内での関係不和は仕方がない場面もある。人として生きる以上、全ての人と仲良くするなんてそれこそ神話レベルの話でも不可能。これは別に不自然ではない。

 

 問題は次、どうして記憶から抹消されたのか。

 第四の特異点で魔術王と戦い、死んだとされたから不要な人物を記憶から切って捨てた可能性もなくはないが………そんなことは起こらないし、そもそも少ないとは言え、数十人単位の人が一斉に忘れるなんてことはないだろうね。

 

 

 いやいや、実に興味深いよ。

 彼が相手にした怪物しかり、単独でレイシフトのような魔術を使ったり、ネクロノミコンなんて物を召喚したりね。

 私は確信している。きっと彼は生きている。そしてどんな形であれ、ここに戻ってくるだろう。普通の人間であれば、自分のことを排した場所には帰ってこない。でも、彼は違う。普通とはかけ離れた価値観を持っている。

 

 本当に申し訳ない、カルデアの皆。

 私は君たちを仲間だと思っている。共に人類の未来を取り戻したいと考えているとも。けれど、私は――――知りたいのだ。

 

 彼が抱えることを、彼の見ている世界を、彼の知っていることを。

 それを通してきっと今まで理解できなかったことが見えてくる。そこには見たこともない世界が広がっているだろう。

 

 過ぎた好奇心は身を滅ぼす。

 理解できるとも、でもわかっていても止められないのさ。アダムとイヴがそうして楽園を追放された様に。内なる探求心は誰にも飼いならせない。私のような人種は特に、ね。

 

 

 

~~

 

 

 ()()()()()()()()()である藤丸立香は、魔術王の呪いにて新たな縁を獲得し、カルデアに帰還した。今は誰も覚えていない人物に執着を見せた結果、彼は見逃してしまったのだ。カルデアに残る人の可能性の残滓を。藤丸立香という人類の可能性を。

 けれども、逆に言ってしまえば彼さえやられてしまえば人類は終わり。ただただ、魔術王のなす偉業を黙ってみていることしかできない。

 

「おっと、これは少々マズイかな……」

 

 あたり一面に花が咲き誇る場所で、真っ白いローブを身にまとった青年が呟く。彼は今日も趣味であるブログ更新と、人類最新の逸話の観賞をしていた。

 しかし、青年が呟いた通り、現在主人公たる彼はピンチの真っ最中。更に打開策は本当にないと来ている。このままではここ最近の楽しみを失いかねない。本来なら自分の矜持を捨ててでも動きたいところだけれど……。

 

「今はちょっと……! っ、い、忙しいんだよねえ……」

 

 青年は冷や汗を流しながら、背後に居る巨大な獣を抑えつける。今は何とか事なきを得ているが、もし自分が動くと確実に背後にいる獣も動き出す。そう確信しているからこそ、彼は動けずにいた。

 

 しかし、そんな時。ふと、青年への負担が軽くなった。今まで自身が必死に抑えつけて来た獣が段々とその力を無くしていっているのだ。

 

「これは……」

「――――ご機嫌よう。人類トップレベルの引きこもり様……FF外から失礼します!!」

 

 違和感を覚えた青年の耳に聞こえてくるのは人を小ばかにしたような声。これはローブの青年も聞いたことのある声だった。人類最後のマスターの前に、第四の特異点ロンドンで立ちはだかった残酷で狂気を多分に孕んだサーヴァント。真名をメフィストフェレス。

 

「君がどうして此処に居るんだい……と、聞くのは野暮かな」

「えぇ、えぇ。既に理解している事柄を確認することほど、無意味なものはありません。大体、そういうのは自己完結してしまうものなので。特に、貴方方のような、普通の人よりも視え易い人はね。カルデアにも大変優れた目星をお持ちの方がいるようですし」

 

 声―――メフィストフェレスは会話を続けながら獣から手を放す。

 すると、そこに居たのは先程のような巨大な獣ではなく、何処かで見たような小動物の姿に変わっていた。これには青年も驚きに目を見開いている。

 

「――いや、実際に目にするとやっぱり驚くものだね。長く生きていると異文化交流に苦手意識ができるからいけないいけない」

「誰の夢でもズカズカ入り込む癖にィーそんな心にもないことを言っていいんですかァ? っと、愉しい愉しいおしゃべりはこのくらいにしておきましょうか。これ以上余計なことを言うとまたワタクシの信頼度が下がるので」

 

 これ以上下がったら召喚されては自害を繰り返し行うそうですよぉ? と自分の境遇を心底愉快そうに付け加えたのちに、メフィストフェレスは先程自分が処理をした獣に目を向ける。

 

「こちらは我が主からのお詫び、だそうです。自分の蒔いた種は自分で摘みとるらしいので」

「……へぇ。そうなんだ。意外としっかりしているもんだね」

「貴方よりもよっぽど人間味あふれてると思いますよ? まぁ、彼の獣を抑えることが一点。もう一点は、彼の元には自分が行くからいい、とのことです」

「―――おや、彼はあの狂王に対抗できる何かを持っているのかな。彼は誘いを断り、未だ人であり続けているんだろ?」

「それはもう! ワタクシの同胞をラーメンに例えた挙句まとめて蹴り飛ばしてましたよ! あそこまで行かれると笑うしかありませんね!!」

 

 ゲラゲラと腹を抱えながら笑い転げるメフィストフェレス。きっと彼は後程その同胞とやらにしこたまボコボコにされるのだが、この時の彼は知らない。

 

「フフッwwあーww……笑いwwましたwww」

「……(うわぁ、鬱陶しい)」

「ハァー……ハー……。まぁ、取り敢えず……クヒヒww……ふぅ。……彼のことはこちらで何とかしますのぉでぇ、大人しく自分の出番を待っていてください」

 

 ようやく調子を取り戻したメフィストフェレスは何とか伝達を終えてその場から消えようとするが、その前に一つローブの青年から言葉が飛んできた。

 

「最後にいいかな」

「どうしてこう、帰ろうとする直前で呼び止める輩が多いのかこれがワカラナイ……。えぇ、まぁ、どうぞ」

「―――何故君たちは、人類に味方するんだい」

 

 その言葉は確かに正当なものなのだろう。

 彼らは、元来人間の味方というわけではない。そもそも誰の味方というわけでもない。

 

「そうですねぇ。その質問は大変困ります。……しかし、あえて言うのであれば―――」

 

 

 

 

 

 ――――遊び場が減るのは、我慢なりませんよね。

 

 

 

 

 

 

 

 




ここ最近出しゃばりすぎですって?
またまたぁ~、皆様。ワタクシの事大好きでしょう? 
キャスターピックアップでも、よく会いますものねぇ! ヒヒヒヒ!!
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