貴方、生きているのでSANチェックです。   作:トメィト

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確認したら評価バーに色が付いていたので私に1D10のSAN値チェックです。


貴方、召喚したのでSANチェックです。

「げ、元気だして。大丈夫、こういうこともあるよ」

「ありがとう。藤丸君」

 

 俺の肩にペシンペシンと触手を叩きつけてくるのは人類最後の希望たる藤丸立香君である。視覚的には絶体絶命の危機だが、その触手から伝わる感覚はごく普通なのでギャップが酷いことになっているけれどそこは慣れである。

 

 今いるのはカルデアのもう一つの要、英霊召喚をする部屋だ。ここで現在新たな戦力を迎え入れる為に聖晶石という魔力の塊である石を投入するらしい。最初に挑戦したのは藤丸君。彼はいつのまにか持っていたらしい聖晶石を投入すると、特異点Fで助けてくれたクー・フーリンが来てくれたと喜んでいた。

 

 残念なことに俺の視界には何やら神々しい光を纏ったイケボの肉塊なのだ。とんでもないパワーワードな気もするがこれが事実なんだ。すまない……。

 

 ともかく、これを受けて一応マスター候補である俺も藤丸君から余った聖晶石を譲ってもらい、それを投入。禍々しい光(俺視点)を放ちながら召喚サークルの中に人ではないものが現れた。

 ……いや、俺の視界に映るものはどれも例外なく人外になるんだけど、そうじゃなくて物である。とても怪しい触手を放つ本であった。僅かに読めた文字からタイトルはネクロノミコンってあった。召喚した瞬間何処からかドクターとダ・ヴィンチがやってきてそれを封印していった。

 ……このままだと藤丸君が大変なことになっていたと思うので大変助かりました。ただ、その視線はやめてください。俺だって狙ってやったわけじゃないんだから。

 

 召喚物が速攻でお蔵入りになった俺のことを不憫に思い藤丸君が俺のことを慰めてくれている……というのが現在の状況であり、ようやく冒頭に帰ってきたわけである。うん、やっぱり俺と縁のある英霊なんていないと思うよ。だってクトゥルフだもの。出てきたとしても十中八九ロクな奴じゃない。ネクロノミコンなんて召喚できたのがいい例だ。つまり俺の縁は全部そっち系である。やっぱり俺にマスターは無理だったんだなって。

 

「こ、これは次の特異点も先輩だけで赴くことになるのでしょうか……?」

「まぁ、サーヴァントがいないマスターはただの的だしな」

 

 俺としては万々歳なのだが、このまま役立たずのレッテルを貼られると危惧している村八分まで王手がかかってしまう。ポイントはさっきのネクロノミコン召喚で十分な程溜まってると思うからね。レフ・ライノールと呼ばれていた男性(肉柱)が裏切ったという時期でもあるから、タイミングとしても最悪なのだ。何度も言うけど下手なことはできない。

 

「……俺が残りの聖晶石? を使って召喚したサーヴァントと契約する?」

「マスターそれはやめとけ。そんなことしたらそこの奴だけじゃなくマスターまで不信感を持たれるぞ」

「そっか……」

 

 どうやら手遅れだったらしい。

 既に不信感を持たれているらしかった。これは泣ける。

 

 あ、結局俺も最初の特異点に赴くそうです。理由としては、まだまだ新米マスターの藤丸君のサポートらしいんだけど、いざという時の囮もしくは肉壁という心の声が聞こえてきた気がしたんですが。大丈夫ですか。

 

 

〜〜

 

 

「さて、ロマニ。君は彼のことどう考える?」

 

カルデアの管制室。

生き残った職員がそれぞれ役割を分担し、最前線で戦うマスターをサポートする場所にして、レイシフトを行う為に必要な機材が揃ったカルデアの心臓部である。

 

 

 

 そこで、所長代理のロマニ・アーキマンとカルデアが三番目に呼び出した英霊、レオナルド・ダ・ヴィンチはモニターから送られてくる映像を見ながら会話を交わす。その主題は現在戸惑うマシュと立香に代わりゾンビと化した人を焼き払う真琴についてである。

 

「どう考えるって……」

「簡単に言えば彼が一体どちら側なのかという方さ。彼をカルデアに連れて来たのはオルガマリーとレフ・ライノールの二人、尚且つ魔術もその二人から教わった。……彼に何か細工をされているのではないか、という推測が職員の中から出ているのさ」

「そんなの……!」

「そう。レフ・ライノールから魔術を教わったのは彼だけ。これが不安を煽る材料となっている。他にも本人の気質かな。何処を見ているのかわからない。どこか張りぼてじみている。更にサーヴァントが彼を前にすると警戒を露わにするという要素もある」

「トドメにこの前の禁書召喚、か……」

 

 ロマニはダ・ヴィンチの言葉を反復する。職員の気持ちもたしかにわかるのだ。ただでさえ不安定な状況に置かれている中で自分たちの理解できない存在が如何にもな証拠を引っさげているのだから。

 ただ、ロマニは真琴のことを知っている。いきなり極寒の地に連れてこられ、魔術を叩き込まれる日々を送ってきた彼のケアをしてきたのは他ならぬロマニなのだから。

 

「私も真琴くんが尖兵だとは思っていないさ。ただね、周りと違う者は淘汰されるのが世の中だ。それすらも跳ね除ける力があれば別だがね」

「はいそこドヤ顔しない。……ただ、彼は必要以上に警戒される傾向があるみたいだから、これから心配だよね」

 

 今もモニター越しに無双する真琴と、その光景を見て良い顔をしない職員を見比べロマニは表情を暗くするのだった。

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