うまい返しが思い浮かばないので感想返しはできないのですが、感想が貰えるとSAN値が減ってやる気が上がりますね()
初めから違和感を感じていた。
それは肉塊と言うには何処か作り物臭く、邪悪と呼ぶには余りにも眩しかった。その理由がこの特異点の大詰めたる場面で漸く理解することができた。
「竜の魔女の中から聖杯が……!」
「やはり、そうだったのですね。ジル」
「貴女様は気づかれましたか……流石、ですね」
第一の特異点を特異点足らしめていたと考えられていた存在。竜の魔女こと黒いジャンヌ・ダルクはジル・ド・レェが聖杯を作って生み出したサーヴァントだったらしい。成る程、だから一人だけ人体模型の内臓みたいな姿で終始光っていると言うシュールなことになっていたのか。
一人納得している間にも話は進む。俺たちに協力していた本当のジャンヌ・ダルクの呼びかけにジル・ド・レェは応じることなく、海魔と呼ばれるもの達を呼び出した。藤丸君の話ではタコのような触手を生やした生物らしく、あまり進んで見たいような外見ではないらしい。しかし、どうやら俺の視界はそう捉えないようだった。
視線の先には本を持った肉塊を取り囲むように十数年ぶりとなる人型を確認することができた。どいつもこいつも表情は死んでおり、まるで人形のような体であったが、それでも本当に久しぶりに見たヒトだったと言える。
まぁ、そのヒトはクー・フーリンやキリエライトさん、ジャンヌによって次々とは屠られていくことになり、俺自身も焼却に走ったお陰ですぐに全滅したけどね。
自身の視界の異常性に気づいている人間が、映った光景を素直に信用するわけが無い。そもそも、行け海魔的なことを言われているのだから敵確定である。久しぶりに見たヒトを焼き払うのは気が引けたけど、そもそもその程度の事で精神を病むようなメンタルではない。そんな領域はすっかり通り越したのだ。
程なくして、この特異点は修復された。
ジル・ド・レェは座に還り、聖杯はキリエライトさんがバッチリ回収したらしい。
今、藤丸君達は協力してくれたジャンヌ・ダルクと最後の話をしている。
その光景(俺目線では肉塊がうねうね三つ固まっているだけ)を視界の端に収めながら、崩れた肉壁から覗く真っ赤な空を上げる。雲と思われる物体が黒く浮かんでおり、最早魔界や地獄と言った風景である。そして、藤丸君達が言っていた光帯にも視線を向けた。
彼ら視点では光の帯に見えるらしいが残念ながら天然クトゥルフフィルターがかかっている俺には別のものが見えている。幾重にも絡みあった赤いぐちゃぐちゃが蠢いているように見えるのだ。そのぐちゃぐちゃは俺が普段見ている肉塊を思い起こさせて大変気持ちが悪い。
あれは一体なんなんだろうな。
「貴方もありがとうございました。ここまで力を貸してくださって」
どうやら藤丸君達との話は終わったらしく、ジャンヌ・ダルク(肉塊)が俺の方へ来ていた。俺はおそらく握手であろう差し出された触手を握り言葉を返す。
「私は、貴方が何を抱え込んでいるのかわかりません。しかし、貴方の行く末に幸多きことを祈っております」
「…………それは、ありがとうございます」
この時、彼女はどのような表情をしていたのだろうか。俺は、どのような表情でその言葉を受け取ったのだろうか。それらを理解できる日は来るのだろうか。
彼女の問いかけは俺の中にそのような疑問の種を残すことになった。
〜〜
第一特異点を無事乗り越えたカルデア。今回大活躍だった藤丸立香達はそれぞれ自分に割り当てられたルームで休憩に入る。
しかし、彼、乾真琴だけは一人カルデアの廊下を歩いていた。職員が極端に減り、誰もが管制室に付きっきりになっているために人気の少ない通路を歩く真琴。
しばらく歩くと彼はふと、その場で立ち止まり体を回転させる。そのまま膝を折って座り、両腕を広げた。すると、しばらくしてカルデアの不思議マスコットフォウが彼の元へ向かった。真琴もそれが分かると手を下ろし、そのままフォウを抱きしめた。
「いやー、いつ抱きしめてもモフモフだなぁ……」
蕩けきった顔で小動物をモフる姿は紛うことなき不審者。この場面を目撃されればただでさえ低い好感度と信用がマイナスに振り切ること間違いなしだろう。幸いなことにその可能性は限りなく低いのだが。
「あー癒されるー。本当に、お前はどうして普通に見えるのかね?」
顎の下をこちょこちょと撫で、フォウの毛をサラサラと触りつつ言う。
フォウはそれに対して知るかと言わんばかりに短く鳴いた。数分ほどモフモフを堪能した真琴はフォウを丁寧に下ろしてそのまま自室へ向かう。
特異点を修復したとしても変わらない。今日も今日とて村八分を防ぐための一人会議が幕を開けるのだ。
そんなことを考えている彼を、獣はただじーっと見つめているだけだった。
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◾️◾️◾️ ◾️◾️◾️◾️na!