話は変わりますが皆様今期アニメで一番面白い作品は何ですか?
私は『のんのんびより』と『キルラキル』と『ログ・ホライズン』です。
ん?一つに絞れ?
気にしたら負けだ(遠い目)
「此処が、ラグナの部屋……」
「俺の部屋じゃない。どうしてそう思った?」
「妙に生活感溢れる部屋だったので……てっきり」
「ただの保管室だ。気にするな」
まさかこの転移を使う事態になるとは、一生使わないと心に誓ったのになーくそ!"母の部屋にしか飛べない転移魔具(ブラットレイ家紋章が刻まれたライオンの上半身と魚の下半身を持つマーライオンのモチーフ指輪)"地球の裏側でも魔力さえ流せば転移可能な超便利魔具。けど母の部屋にしか飛べない不良品。そんな不良品は処分するなり引き出しの奥にさよならしたいんだが——————ブラットレイ家を去る際に母から直接右手の小指に填められたこの指輪は"一度使用するか、填めた本人が外さない限りとれない"封印術式が施されていた。しかもそれに気づいたのはその日の夜だったりする。その日からこの母から貰い受けた指輪は魔具から呪具に早変わりした。
役立つなんて微塵も考えてなかった。この指輪のおかげで治療設備と自動人形の修理環境が整った場所に来れるなんて——————まあ実家なんだが。
母が部屋を飾りつけする人種の人間じゃなくて助かった。おかげでアストを誤魔化す事が出来た。殺風景を通り越して漢らしい部屋。壁には様々な魔術武具がこれ見よがしに飾られ、女物から男物の鎧までもが鎮座する部屋を保管室以外に何と呼べばいい?不自然に大き目なベットが置いてあってもこの部屋が母の部屋だとばれない自信がある。俺の部屋かと聞かれたときは少し焦ったが。
「治療室は此処を出てすぐ近くだ。黄薔薇はどうだ?」
「今は安定してるけど何時肉体に限界がくるかまでは判らない……」
「急ごう。案内するぅう!?」
扉を開けようとドアノブに手をかけた瞬間。扉が粉々に破壊され向こう側から一つの影が出現する。狙いは——————アスト。
「止まれ!アストは敵じゃない!」
「……敵じゃない?」
サーベルがすんでのところで止まる。だがサーベルを構える彼女は俯いたままアストに敵意と殺気を容赦なくぶつける。
「それは嘘だよラグちゃん!こいつ女だよ!?敵だよ敵ぃ!!」
「母。そんな昔なことどうでも」
「どうでもよくない!……やっとラグちゃんが私のプレゼントした指輪を使って私のお部屋に来てくれたんだよ?指輪を使ったら私に解るように術式を組んだんだよ?やっとやっとやっっっっっと!使ってくれたんだって喜んでお迎えしようとしたのに……この悪魔!悪女!魔女!私のラグちゃんを返せえええええええええ!!」
「落ち着け母。最後の魔女は別に悪口でも何でもないぞ」
「どうでもいいんだよそんなこと!?ラグちゃんと一緒に転移してきたこの女はなに!?なんなの!?殺す!」
「殺すな!?……母、急いでるんだ。黄薔薇が死にかけなんだ」
「え?クーちゃん?……どうしたのクーちゃん!?この女なんだね?この女なんだよね?この女が私のクーちゃんを!」
「だから落ち着け!」
くどくど煩い母を黙らせる、もとい大人しくさせる最終手段を使う時が来たか……
「俺の言う事を聞いてくれ、じゃないと……嫌いになるぞ」
「はう!!?」
固まったロウ人形(母)を無視しアストを治療室に案内する。アストは戸惑いながら俺についてくる。え?放っておいて大丈夫かだって?大丈夫だろ、母だし。
黄薔薇クレオの治療は無事成功したが何時目を覚ますかは本人次第。その後、誤解?を解く事に成功しアストと母は意気投合し世間話に薔薇を咲かせていた。灰薔薇戦では二人の協力が必要だ。二人の仲が深まるのは此方としても嬉しい限りだ。
「これが二歳の時の写真と五歳の時の写真(何で女狐なんかに私の秘蔵コレクションを!)」
「か、かわいい……(家を出てから今日までラグナが何をしていたか知らない。ソレを餌に……)」
「でしょでしょ!いや~アーちゃんは話がわかるなー(くぅ~、これも"ラグちゃん成長記録"のためなんだから!)」
「この写真はレイン?(さあレイン!貴方が隠し持っているラグナの写真を全てだすのです!)」
「おお!それは初めて歩いた時の写真!この頃もかわいいなあ~あ、今のラグちゃんもものすんごくかわいいんだけどね~♡(こんな女狐に~キぃー!いっそのこと……でもラグちゃんに嫌われたくないしなーもん!)」
話の内容は聞こえないが母が此処まで他の女性と仲良く話すのは初めてだ。黄薔薇のことをクーちゃんと呼んでるし俺の知らないところで以外にも友達は多いのかもしれない。
C-MOON修復に戻るか、未完成でも無いよりましだ。二人に水を差したくない。
ふと時間を確認すると日にちが変わっていた。一日目はクレオの治療、C-MOON修復、アストと母が友達になり終了した。残り六日。
その間に全ての準備を終える。
限られた時間で戦術を編み出し勝利へと導く。結社が敵?薔薇が敵?今までこんなにも窮地な状況があったか?黄薔薇クレオとの戦争は所詮一対一の殺し合いだ。ただ強い相手だった。
だがどうだ?今回の敵、灰薔薇は強敵だ。俺が生まれる遥か前から計画を練りひたすら反逆の時を待っていたその執念と覚悟で薔薇の師団を掌握してしまった。八方塞がりだ。東洋のことわざで言うところの"四面楚歌"前も後ろも左右も敵だらけ。戦えば生き残る可能性は低いが降伏すれば極小の可能性はあるかもしれない。だが、そんな可能性にかけるほど俺は素直なお利口さんじゃない。圧倒的不利な状況から逆転するのが戦争だ。小国が大国を退けるなど珍しい話ではない。
ひたすら考えろ。
ひたすら行動しろ。
俺の全てをぶつけてやる。だから、俺を失望させるなよ灰薔薇。
二日目はC-MOON修復を一時中断し母の元に向かった。手合せと武器を貰うためである。ブラットレイ家には代々当主が継承する魔剣がある。所有している母に譲って貰おうと頼みに言ったがそう簡単には——————
「ぜんぜんお~け~♪」
貰えてしまった。当主だけが継承するんじゃなかったのか母よ。え?蒼薔薇の指輪を継承した日からブラットレイ家当主になった?聞いてないよ母。
「ラグちゃんはこの魔剣"
「そのぐらい知ってる。初代ブラットレイ家当主キング・ブラットレイだろ、付け加えるなら
「おお~さすがだよラグちゃん!じゃあサーベール二本でセットの魔剣を二刀流ではなく双剣と呼ぶのは?」
「今自分で答えを言ったぞ母。二本でセットだからだ。そもそも二刀流と双剣はあまり違いはない。」
「またまたせいかーい!じゃあじゃあ初代の戦法と魔剣の成り立ちは?」
「キング・ブラットレイは自身の持つ驚異的な視力と戦術で幾つもの戦場を無傷で勝利へと導いた。"視力"だけを補い強化する魔術は単純故に強力。
「大正解だよ~ラグちゃん。自分の家の歴史をしっかりと勉強してるね☆」
「……常識だと思うんだが」
「うん知ってて当たり前だね!それでは稽古を行います!二日、三日で母に一太刀当てよ!」
受け取った
「うん……やはりサーベルは扱いやすい。これも血筋か、刀は肌に合わないようだ。其れと母よ、一日で十分だ」
「にゃははははーっあまり母を舐めるでないぞラグちゃ~ん。
「プリンセスってがらか母よ」
「むーん!それはいわない約束でしょ!」
サーベルから刀に変えたのは俺なりの反抗期だったのかもしれない。母は何時も俺にべったりで、何をするにも母が近くに居た。俺に近づいた女性、少女、女の子は全員行方不明。欲しいモノがあれば何でも用意してくれる。
母は俺より強かった。まずそんな母を超えたかった。母から教わったサーベルでの戦い方で正々堂々倒し指輪を貰いたかった。だが、十四歳の誕生日の日に母から指輪を貰ったその日のうちに俺は生まれ育った家を出た。魔術師として確かに母を超えた。だが剣術、念動は母より劣っていた。それなのに薔薇の指輪を俺によこしたのが許せなかった。
—————それは昔のオレだ。念動は"魔靭"まで磨き上げ<心眼>まであと一歩——————
母曰く、心眼へのプロセスは"切っ掛け"が大事らしい。
切っ掛けっておい……。
心眼の仕える母と使えない自分には決定的なアドバンテージがある。卑怯とは言わない。それも実力であり"力"だからだ。
俺は母を超える。超えなければならない。蒼薔薇にかけて——————
「今日こそ勝つぞ母」
「うん、うんうん!それでこそラグちゃんだよ!あとできればレインって」
「母。さっさと始めるぞ」
「スルー!スルーですか!?いいじゃんもん!レ・イ・ンって呼んでよ!」
「母は母だ。それ以上でもそれ以下でもない」
「そうだけど!そうだけど!私はこんなにもラグちゃんが大好きなんだよ!?」
「……先手は譲らせてもらう。いくぞ」
「え、ちょっ!?」
二日目の激戦の末、半日で一太刀浴びせることに成功したが勝てなかった。勿論負けてはいない。
☦ ☦ ☦ ☦ ☦
流石に今日は疲れた。時計を確認すると十一時十分。母はもう寝たか、そういえば今日はまだアストを見かけていない、どうしてるだろうか?
タイミングを見計らうかのように"こんこん"っと扉をたたく音と声がした。
「ラグナ、入っても?」
今日はもう一通りの準備を終えた。やることといえば六時間ほど睡眠をとる。全然問題ないな。アストに了承の意を伝える。
「失礼します」
部屋に入室したアストは静かに扉を閉じる。生憎客人を招入れる予定はなく椅子も一つしかない。残るベットに座らせるか。
「……」
「……」
痛い沈黙が、部屋を包んだ。
どうしてこうなった?そもそもベットに座らすのがいけなかったのか。状況を簡単に説明すると一つのベットに俺とアストが並んで座っている。椅子に座れるのは俺だけアストだけをベットに座らせるのは忍びない。なら二人で同じ物——————ベットに座ればいいのでは?
この考えが間違っていた。何ていうか気まずい。なんで何も喋らないんだ。座れと促したまでいい、百歩譲ってまだいい。何此の空気?
この場合俺から切り出せばいいのか?よくわからないがもしそうならアストは俺が話すのを待っているのでは?よしなら女性が好きそうな話題だな。
「アス———」
「ラグナ」
「……なんだ?」
出端を挫かれたが此処はアストを優先しよう。
「……ラグナは、私のことどう思ってるの?」
もっとも聞かれたくない質問が直球ど真ん中で胸を抉ってきやがった。
今後の関係、付き合い方に問題が生じる可能性大の超重要議題。
焦っている……不安なのか?この俺が。
汗が滲み出る。着替えたばかりの洋服がじめじめして気持ち悪い。此れならまだ俺を含めて百人弱の味方が真夜中の荒野で二千人の敵に囲まれた状況の方がマシだ。
・・・・・・答えるしかないか。
俺の気持ちを———
正直に———
真っ直ぐに———
伝える———
「"わらないんだ"……この感情が理解できない。もしかしたら"恋"なのかもしれない。でもソレを判断するには———」
「材料が足らない?」
「———そうだ。君は如何だ?」
俺の胸の内は晒した。後悔はない。言いたいことは言った。長文を並べベラベラと言葉を重ねるのは性に合わない。
アスト。君にも似たような感情があるのなら——————訊きたい。
「私は……好き、大好き……初めて会った時から好きでした。貴方を調べれば調べるほど私は貴方に魅かれて行った……この気持ちに嘘はないわ」
「……うれしいよ」
慈愛に満ちた母性的な笑み。母とは違う"ソレ"に俺は不思議と落ち着きを覚えた。
こんなにも美しい少女に好意を向けられるなんてなんて幸福なんだ。
でも、
「だからこそ時間をくれ。この感情を理解できる材料と根拠を得る時間を俺にくれ」
それが現状俺が答える最も正直な気持ちだ。
だから待ててくれ。俺がオレ自身に正直になれる日まで。
それからたわいもない会話をし気が付けば十二時を上回っていた。
おやすみの挨拶を交わしアストが退室すると俺はそのままベットに体を任せ二日目が終わったことを実感し眠りについた。
残り——————五日間。
感想お待ちしてます。