彼との初めての出会ったのは月の光が何時にも益して怪しげに光り輝く仮面舞踏会の夜。
この出会いは私の人生において最大級の運命の出会いであり私の人生を変えた。
来る日も来る日も退屈な日々。私は日々を満喫していた?あんなのは嘘だ。
与えられた環境。
与えられた服。
与えられた食事。
与えられた席<薔薇>
十輪の薔薇の一角。成功を約束された地位。現実はどうだ?自由の利かない不自由な地位。それが現実だ。実質結社の権力を握っているのは大幹部の黒薔薇様、白薔薇様、銀薔薇様、三人の魔女が掌握している。私はそのお零れを貰っているにすぎない。古参の方も三人の魔女の顔色を窺いお零れを貰っている。
それ程までに三人の魔女。黒薔薇様、白薔薇様、銀薔薇様、は強大過ぎるのだ。実力も技術も権力も美もあの三人の魔女の前では霞んでしまう。同じ結社の幹部なら権力は同等でわ?っと考える輩もいるだろう。確かに同等だ、あの三人が居なければの話しだが。
そんな環境に私の居場所はない。皆が皆三人の魔女に作り物の笑みを浮かべながら機嫌を窺う姿は滑稽以外のなにものでもなかった。
だからこそ私は戦争を求めてしまったのかもしれない。彼を探そうと思った切っ掛けもこの環境を変えたいと思う気持ちがあったからだろう。だけど今私は——————
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帝都ロンドン《バッキンガム宮殿》
その下、遥か地下深くに、何重にも及ぶ警報結界、即死性魔術トラップがが張りめぐされ、いつも監視されている。此処を通れるのは薔薇を所持した者か、余程優れた魔術師だけだろう。其処を越えるとブラッディ・マーリーが築いた礼拝堂がある。
構造は至ってシンプルで中央には円卓があるだけ。その円卓を囲むように座る異様な雰囲気を漂わせる八人の魔女。この時代最も最強な魔術師の集団と言っても過言ではない。
皆が年齢と見た目がミスマッチ(言ったら絶対殺される)だが八人全員が絶世の美少女なのだからたちが悪い。
その中で特に濃密な魔力と妖気を漂わせている三人の魔女。他の薔薇はそんな三人の機嫌を窺いつつ今回の会議の開始のアイサツを今か今かと待ち、何故緊急招集されたのかその説明を待っていた。
「——————それではこれより、円卓会議を開始しますわ!」
「あぁ~、うるさい叫ぶなーしゃべるなー」
「煩いとはなんですの!!これから黒薔薇様の大事な御言葉が始まるのですのよ!!あぁ~黒薔薇様早くその声をお聞かせ下さいませ!」
「……はぁー。駄目だ此奴もぉ手遅れだぁー」
「それでは仕切り直しまして……黒薔薇様どうぞ!」
白薔薇は眠たそうに眼を擦りながらテーブルに突っ伏し煩そうに耳を塞ぎ、銀薔薇は最初っからテンションMAXで一人で勝手に盛り上がっていた。そんな個性溢れる二人に挟まれる形でいる一人の魔女。白薔薇と銀薔薇はその性格からは想像しにくいかも知れないが薔薇の中で二位三位を争う実力者。しかし、そんな二人を凌いでの薔薇随一の実力者。単に魔女と言っても扱う能力は千差万別。そんな魔女の中の魔女と呼ぶに相応しい人物こそが大幹部黒薔薇である。
「ふむ。くるしゅーないぞお主ら。我こそが世界最強の魔女であり薔薇ずいいちの最強の魔女である黒薔薇ぞ!」
「キャーーーーーーーー!!もう我慢できない!!可愛すぎです黒薔薇様ぁあああああああ!!もうショコちゃんサイコおおおおおおおおおおおお!!」
「こ、こら……やっ、やめぇい銀薔薇。他の者たちが見ておるであろうが」
「もうショコちゃん恥ずかしがっちゃって~。何時もみたいに私の膝の上で甘えてもいいんですわよ?」
「あ、あれはいうもお主が無理やり……て、皆の前でショコちゃんいうな!我の事は黒薔薇様。もしくはショコラ・バンセン・アブラクサス様と呼べとあれほど」
「そーーんなもの関係ありませんわ!!ショコちゃんに舐めた態度をする輩が居ましたら私がその者の血縁、過去に関係を持った輩を洗い出し全員そろって生きている事を後悔させてやりますわ!!!」
まるで姉の膝の上でくすぐったそうに甘える妹を連想させる慎ましい光景。その上嫌がる素振りをみせつつ銀薔薇様の手を気持ち良さそうに受け入れている黒薔薇様。
「「「「「(か、かわいい)」」」」」
自分たちも撫でたい、ぎゅうーと抱きしめたい。けど——————そんな事をすれば銀薔薇様に生きている事を後悔させられる未来しか見えない魔女たちであった。実際銀薔薇様の殺気で身動きが取れないのが今の現状だ。
「……それでじゃ、今回の会議の内容じゃが、新しく薔薇の仲間入りをした小童どもの話しじゃ」
黒薔薇は銀薔薇の膝の上から降りるのを諦めそのまま話を進める。銀薔薇の拘束を解くのを諦めたのか、それとも口ではああ言いつつ膝の上がお気に入りなのか——————おそらく後者だろう。
「どうにも最近あ奴らの仲が一線を越えていると耳に挟んだのでの、その真意を確かめたいのじゃ」
「貴方方は彼等の関係について何か知っていることがあれば発言なさい。それと実際は如何なのか確認しに行ってもらう者も今回の会議で決めますわよ。ねーショコちゃん」
「だから我のことはショコちゃんではく黒薔薇様。もしくはショコラ・バンセン・アブラクサス様と呼べと言うておろうが!」
「ふぁ~……眠たい……」
真剣に会議をする気があるのか問いたい所だがこれがこの方たちの何時ものペースなのだからどうしようもない。
「何方かいませんの?……あら、紅薔薇が挙手するなんて珍しいですわね」
「……情報関連はいつもわたしが管理しているから」
「あら、そうでしたか?」
「ギーはクロ以外のことは忘れっぽいからねー」
「あら、それはもしかして馬鹿にしているのかしら?」
「もしかしてじゃなくて馬鹿にしてるんだよー」
「クックックッ……如何やら余程永眠したいようですね。貴方が構わないなら今ここで始めてもいいんですよ?」
「……へぇー……僕に勝つ気?」
白薔薇は体をテーブルから起こすと眠気が残る眼で銀薔薇を見つめる。この円卓に漂う濃密な魔力と妖気が更に濃厚にこの空間を充たす。他の薔薇にしてみれば二人の喧嘩に巻き込まれるのは真っ平御免。自分に飛び火しないか気が気ではない。自分たちは喧嘩を止める発言の許可はくだされていない今、この二人を静められる人は——————
「えぇい鬱陶しいのじゃ、魔力を抑えんか貴様ら。我の髪が乱れるであろうが!!」
「申し訳ございません黒薔薇様!!今髪を整えますのでお待ちを……あら、櫛が無い!櫛が無いなら仕方ない、本当に仕方ない!!←(大事なので二回言った)櫛の変わりに私の手櫛で髪をといで差し上げますわ!!」
「……はぁー……めんどくさぁ……」
流石黒薔薇様。あの二人をこうも簡単に鎮めるその人徳に感服する薔薇たち。
その後、銀薔薇が落ち着くのに一時間掛かった。
黒薔薇は銀薔薇に髪を梳かれ先程よりも綺麗に潤いを含んだ艶やかな髪になっている。魔力を指先に集中させる事により髪の一本一本に潤いをもたせ魔力に程よい熱を発生させ頭のツボを刺激するという繊細かつ念動を用いた高等技術を手櫛で披露。その甲斐あってか黒薔薇はいたく上機嫌に腰まである長い黒髪を人差し指でクルクルと楽しみながら自分の席に戻る。
銀薔薇は膝に残った黒薔薇の温もりと指の感触に浸り子供の様な笑みで残り火を堪能していた。
「ふむ。それでは話をもどそうかの。誰かさんのせいで脱線してしもうたからの」
「「「「「(貴方だよ!!)」」」」」
「————むぅ。何やらみょうなプレッシャーを感じるの」
「き、気のせいではないでしょうか」
「そうですきっと気のせいです」
「世界最強の魔女であり薔薇随一の最強の魔女である黒薔薇様にそのような無礼をする筈がありません!」
「その通り。黒薔薇様に比べたら我々など赤子同然」
「……気のせい」
「……そ……そうかの……そんなに褒めたって我はうれしくもなんともないのじゃぞ!」
あ、チョロイな。と、白薔薇銀薔薇を抜いた薔薇一同は同じ思いを懐いた。
其処から一気に褒め殺しにし何とか収拾がついた。
「我はおなかがすいたぞ!はやく会議を終わらすのじゃ!」
「それでは黄薔薇に今回の議題を任せますわ。ショコちゃん!私専属の超一流シェフの料理を二人っきりで食べますわよ。ふ・た・りっきりで!!きっと口に合いますわ!!」
「うわぁーちょーてきとー……まいっか」
「あはは……では任されます」
黄薔薇は銀薔薇の決め方に苦笑いを通り越して呆れてしまった。
会議は本当にこれで終了らしく三人そろって何処かに消えてしまった。三人で食べに行った事に対し、何だかんだで白薔薇と銀薔薇は仲がいいなと再認識させられた。
面倒事を押し付けられた黄薔薇はため息をつくと他の薔薇に同情の眼差しで見詰められた。