面白い!色々はしょってる部分もありますが其処は目を瞑りましょう。
今後の赤羽 雷真の成長に期待!
華やかに彩られた部屋には似つかわしくない機械と鉱物が散乱している。その部屋の中央でミイラの腕を夢中に弄っている白衣の女性が一人。
「クレオ様、オ忙シイ中大変申シ訳アリマセンガ金薔薇様ヲオ連レシマシタ」
「…………もうそんな時間?命令してから五分程しか経っていない筈だけど?」
『正確ニハ三時間四十六分二十七秒デアリマス』
「へぇー……うそ!?作業服から正装に着替えるからもう少し待つように————」
目が合っちゃいました。
「久しぶりですクレオ様、今日はどの様な用件で?」
「えっ、ええ~……久しぶりね金薔薇。今日はあんたに確認したいことがあるのよ」
私は見なかったことに、黄薔薇は無かったことにした。
「金薔薇は蒼薔薇とどんな関係?」
「……どんな……?」
「ああ~念の為言っとくけど嘘とかわかるからその辺注意してね。下手に抵抗したら腕吹き飛ばすから」
黄薔薇——————クレオ・ヘル・トリスメギストスにとってこの部屋は皿に乗せられた料理と同じ、殺すも生かすも彼女の自由。いわば此処はクレオ・ヘル・トリスメギストスの絶対領域(テリトリー)。この部屋にまんまと足を踏み入れた私は彼女の言う事をただ聞くしかないのだ。
「……彼とは只話の合う友達です。貴方方が危惧している関係ではありません」
「ん~~……嘘は言ってないけど……矛盾してるね金薔薇。言葉は本当なのに心がそれに反している。錬金術師が心って変だけどあんたは蒼薔薇と
「——————っ!」
言葉が喉に引っ掛かる。何故?呼吸も心拍も乱れはない。
「私の家系は錬金術が盛んでね。その内のある錬金術師がこんな事を記している。「一は全てであり、一により全てがあり、一の中に全てがあり、一が全てを含まなければ、全ては無である」とね。この一を世界を統べる三位一体の「結社」とすれば、「結社は全てであり、結社により全てがあり、結社の中に全てがあり、結社が全てを含まなければ、全ては無である」となる」
ドヤ~顔で言われても先の話しと全く関係のない自慢話を聞かされてどう反応したものか困っていると。
『クレオ様ソロソロ我々ハ……』
「え、もうそんな時間?わかったわ、いいよ行って。黒薔薇様に呼ばれてるのでしょう」
『一隊黄薔薇様ニ仕エマス、ドウカ便利ナ道具程度ニ御使イ下サイ。……命令通リ魔術師協会(ネクタル)カラ薔薇ノ師団ニ移リタイ灰十字(クルサーダ)ヲ蒼薔薇様ニブツケタトコロ五隊全テガ全滅シマシタ、其ノ時ノ戦闘ヲ記録———』
「必要ない。ゴーレムを通して解析は済んでる……もう行きなさい」
『御意』
会話の内容は聞き取れないがシュプリッターは黒薔薇様の所に帰るらしい。この部屋に二人っきり、此方は自動人形が無い上、セトの攻性即呪法<恩賜の腐毒簡易版>では決定打に欠ける。
「もうじき蒼薔薇がくる」
「……え?」
「だ・か・ら・もうじき蒼薔薇がくる」
「なん———」
「なんではなし。此れは最終確認よ、私の目の前で証明なさい——————ほら来た」
突如扉が斜めに切断され一人の魔術師と自動人形が姿を現す。
「来てやったぞ黄薔薇クレオ・ヘル・トリスメギストス。面倒な招待状送りやがって」
黄薔薇の足元に私の執筆で書かれた手紙が転がる。
「……私を『黄』薔薇と呼ぶなガキ。私を黄薔薇と呼んでいいのは三人の魔女だけだ。まあ、此処に辿り着いたし一度だけ見逃してあげる。よくわかったね」
「薔薇の印を生成出来るのは錬金術師である貴方だけだ。それに気が付いてくれと言ってるもんだぞあれ。溶かした金で手紙を封。別に珍しくもないが錬金術において金とは大きな意味を持つ。……まあ金を溶かして手紙に垂らせば文字が浮かび上がる簡単な作りになっていたがな」
「そんぐらい気付いてくれないと薔薇とは言えないね。一次試験クリアだ」
「試験だと?」
「遊びみたいなモノよ、このぐらい付き合いなさい。二次試験は私の質問に答えて貰うよ」
「……いいだろう」
「アストリッドはさっきしたしもういいよ」
「……はい」
「いい返事ね二人とも。じゃあさっそく質問たーいむ」
黄薔薇のふわふわした雰囲気が消えた。
「魔術結社<薔薇の師団>幹部黄薔薇として尋ねる。蒼薔薇、貴様は金薔薇と如何在りたい?」
「如何在りたい……か」
「嘘偽りは直ぐにわかる。下手に誤魔化したらその首飛ばすよ」
ラグナ・ブラットレイは黄薔薇が錬金術を生業としている魔女だと知ってはいるが詳しい魔術までは知らない。それ故に対処に困っていた。この部屋に入った瞬間から常に全方向から感じる殺気に。
下手な事は出来ないか、刀を抜こうとすればこっちの首が飛ぶ。あっちは指を振るだけで俺の首を飛ばす事が出来るが俺は刀を握り尚且つ抜刀しなきゃいけな。
無理だな。だが此処まで一方的に死を突きつけられるのは人生初かもしれない。その事に内心喜んでいる自分がいる。だけど——————
俺はアストと如何在りたいんだ?
同じ薔薇
話し相手
友
仲間
……
「俺自身在り方に悩んでいる……最初は胸に開いた穴を充たす存在……趣味が合う存在……隣に居るだけで落ち着く存在……解らない……解らないんだ……この気持ちが何なのか……俺はアストリッド・セトと如何在りたいのか……如何いった存在でいたいのか……」
「……嘘偽りの無いあんたの考え思いを聞く事が出来た。そしてあんたが結社にとって危険な存在だ。この世界は結社により円滑に回っている。薔薇あっての結社だ。その薔薇の頂点である黒薔薇様を筆頭に世界は回っている。それが世界の理であり真理だ」
「錬金術師とは思えない発言だな。理論が滅茶苦茶だ」
「……そうかもね。だけどね、あんたらは薔薇の掟を破った。決して破ってはならない薔薇の掟をね。抵抗しないってなら二人仲良く記憶を消してあげやる。もし抵抗するなら……掟に従い黒薔薇様に変わり私が粛清する」
この状況は不味い。返答しなければ殺される。下手に動けば殺される。だが抵抗しなければ記憶を消され、最悪奴らの都合の好い様に改竄される。此処は一か八か……
「黒薔薇は大した事はないんだな」
「……は、何て言った?」
「耳でも遠くなったのか
「うるさいうるさいうるさい!蒼二才のガキが知ったような口を聞くな!」
怒り狂った黄薔薇は座っていた金属製の椅子を錬成陣を発動させる素振りも見せず椅子を分解しメイスに再構築し襲いかかってきた。
此処まで速いとは!だが……此れで反撃に移れる!
喉にメイスの先が当たる前に刀で弾く。
「アスト!」
「はい!」
<恩賜の腐毒簡易版>の瘴気を煙幕変わりに使い黄薔薇の視界を奪い、怯んだ隙に二人で逃走する。
「……くぅ、小賢しい!」
右手を突き出すと腕に刻まれた錬成陣が光り輝く。
「この程度の瘴気で足止め出来ると思ってんのかぁ!?」
部屋に充満した瘴気は右手に触れた所から赤い電流が走り破壊される。
「……逃げたか」
この屋敷に居る限り錬金術師クレオの絶対領域。この部屋が一番力を発揮できる構造になっているが屋敷内全てが指先一つで発動する罠が盛り沢山。
「アストリッドは無力化すればいいが……私を侮辱した蒼二才だけは肉体を消滅させ自ら死を懇願する永遠の苦しみを霊魂に刻みこんでやる!」
☦ ☦ ☦ ☦ ☦
怒りに身を任せ自らの手で仕掛けてくるよう煽ったが此処まで上手く行くとは思わなかった。煽り耐性皆無で助かった。
「アスト、黄薔薇の扱う魔術が何なのか解るか?」
「……正確には魔術じゃなく錬金術。クレオさ……クレオは錬金術のスペシャリストよ、土塊でも何でも武器に変えてしまう。特に触れなくとも長距離から自在に操作出来る物質があるの」
「それはなんだ?」
「金よ」
「金……」
窓一つないこの屋敷の唯一の脱出口は正面扉のみ。もう扉其の物が無くなっていると考えた方がいいな。何より厄介なのはこの屋敷の構造。俺が侵入した時と建物の構造が全く違う。試しに壁を破壊しても其れを上回る速度で壁が再構築される。結論——————脱出不可能。
此れで黄薔薇を倒すしかなくなったわけだが……あの時脱出ではなくそのまま取りに行けば……辞めよう、この状況をどう打開するかが問題だ。
アストは周囲を警戒しているが武装が心許無い。此方もC-MOONと名刀一本。フル装備とはいかないが十分な装備。この装備でどうやって薔薇直属魔術師戦闘部隊一隊と黄薔薇クレオを打倒するか。
何度か直属部隊に襲撃を受けたがヒット&ウェイの繰り返し。決定打が得られない。
「クレオは金を手足のように自在に操る。クレオを起点に近ければ近いほど制度は上がるし視界に捉えれば更に精密に操作が可能。……正直あの部屋は生きた心地がしなかったわ。壁模様も金、飾りのオブジェも金、散らばった鉱物に紛れて一定の間隔で金がクレオを中心に配置されていた。貴方に挑発されたからと言ってあのまま反撃に出ていれば此方が殺られていた。判断に間違いはなかったわ」
「……考えが顔に出てたか?」
「いいえ、……けど、分かったのよ」
心配を掛けちまうとは、黄薔薇の言う通り俺もまだまだ蒼二才だな。
「此処からは反撃に出る。狙いは……クレオ・ヘル・トリスメギストスだ」
☦ ☦ ☦ ☦ ☦
丸聞こえだよガキ共。
「座標は此処だ——————行け」
灰十字や結社の魔術部隊と同じと思うな。黒薔薇様を筆頭とする三人の魔女を守護する精鋭部隊。それ故少数精鋭。その大事な一隊を黒薔薇様は私に貸して下さった。黒薔薇様が期待する結果以上をお見せします!
「最終試験だ……私を倒してみよ。無理だがなぁ」
黄薔薇クレオ・ヘル・トリスメギストスの左手中指に填められた指輪が不気味な光が赤く揺らめいた。
感想が恋しいなー……なんて
壁||⊇`)
壁||`)
壁||)彡サッ