ぼっちが人前で歌などハードルが高すぎる   作:祥和

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それぞれの第0話が一巡したので、少しの間お休みします。

この回までに一巡できて良かったです(汗)

では、駄文ですがお付き合いください


第九話

「今日はあたしの買い物に付き合って貰う」

 

二課から給料が出て、ホクホク顔の雪音がそんな事を言ってくる。

 

雪音さん?そろそろ住居の手配終わってますよね?

いつまで居候する気ですか?

 

「あー…今日はアレがアレでとにかく忙しいんだ」

 

「よし!行こうぜ!八幡!」

 

人の話聞けよ!

いい加減泣いちゃうよ?

 

そんなこんなで雪音に無理矢理連れ出される。

 

「で、何で仏壇なんだよ…」

 

「仕方ねぇだろ?パパとママを弔ってやりてぇし、それに、こんな事頼めるの八幡くらいだしな!」

 

ぐっ…だいぶ耐性は付いたはずだが、やっぱりところどころでぼっちのメンタル削ってくるな、こいつ…

 

「…ただ、家に置くのか?お前ん家の手配が済んでから買った方がいいんじゃねぇの?」

 

「?家の手配なら小町のOK貰って未来が取り消してたぞ?」

 

小町ちゃん?お兄ちゃん初耳なんだけど?

後小日向。お前は絶対許さないリストの最上位に書くことが俺の中で決定した。

本当に絶対許さないからな!

絶対だ!

 

「それに、あたしのパパとママなんだから、八幡にとってもパパとママになるだろ?」

 

ならねぇよ…

何だよその超理論…

ジャイアニズムかよ?

 

「…とにかく、買うなら早く買えよ」

 

「おう!それじゃあこいつにしようかな?」

 

雪音さん?ずいぶん大きいの買うね?

居候先に置く遠慮とか無いの?

 

「八幡!じゃあ、これ、運べるかな?」

 

運べるかな?じゃねぇよ…

 

「俺に何を期待してんだよ…1人じゃ無理に決まってんだろ…」

 

「おっさんも連れて来た方が良かったかなぁ?」

 

むしろその人なら1人で大丈夫だと思うよ?

 

「でも今日は八幡とのデートだしな!しゃあねぇ!配送して貰うか」

 

…ほんと、ぼっちに不意討ちはやめて欲しい。

しかし、デートが仏壇屋って、こいつの感性もだいぶおかしいな…

小町が矯正してこれかよ…

 

その後、雪音に引き摺り回されたのは言うまでもない。

 

***

 

「あ、ハチ君!今ヒマ?」

 

立花に呼び止められる。

 

「暇じゃねぇ、帰るのに忙しい」

 

「そ、そっか…じゃあ仕方ないね」

 

?いつもみたいに強引に来ねえな?

どうしたんだ?こいつ…

何か悪い物でも食ったか?

いや、それでも無事そうだな…

 

「で?何だよ?」

 

そう聞くと、立花の表情がパアッと明るくなる。

 

「ホント?良かった。ハチ君に断られちゃうかと思った」

 

ぐっ…本当にどうしたんだ、こいつ?

こいつにドキドキなんてしていないぞ!

落ち着け、俺。素数を数えろ。

1、2、3、ダー!!

そもそも1が素数じゃねぇし、俺に数学とか普通に無理だったわ…

 

「今日はどこかでお茶して行かない?」

 

ぐっ…今すぐそのあざとい上目遣いをやめろ!

勘違いしたあげく、告白して振られちゃうだろ!

…振られちゃうのかよ。

 

それにしても、こいつがいつものふらわーとかじゃない場所に誘うってのも珍しいな。

本当に何があったんだ?

 

「で?何だよ?」

 

「?ハチ君と一緒にいたいって思っただけだよ?」

 

おい!こいつ誰だ!?

俺の知ってる立花じゃねぇぞ!?

ドッキリか?ドッキリだな?

 

「で?いつ頃ドッキリ大成功のプラカード持った小日向が出てくるんだ?」

 

俺が勘違いして告白したあたりか?

 

「未来?未来は今日は先に帰ったよ?」

 

ハッ、そうやって俺を安心させる段取りだな?

ヴァカめ!そんな嘘に騙されるほど、俺はチョロくねぇよ!

伊達に黒歴史量産してねぇんだよ!

…全然駄目じゃねぇか…

 

「お前、今日は熱でもあるんじゃねぇの?普段と違いすぎるぞ?」

 

そう言うと立花が顔を赤らめながら

 

「いつも見てくれてるんだね?ありがとう」

 

とか言ってくる…

…こいつもしかして立花の皮を被った別人なんじゃねぇの?

 

そんなこんなで小一時間ほど、喫茶店で過ごしたのだが、立花別人疑惑は深まるばかりであった。

 

 

*****

 

学校が終わり放課後、フィーネさんに呼び出された為、二課の研究室に向かう。

ついに来ちゃったか…

さて、どうするかね?

 

「来たか…まずは、君の身体についての話をしよう」

 

…え?何?このアラサー俺の身体を狙ってたの?

怖ぇよ…

 

「…何かあり得ない勘違いをしてないか?」

 

「ソンナコトナイデスヨ?」

 

「…まぁいい。()()ガングニールの事だ」

 

ん?俺のガングニール?立花と共鳴関係とか言ってなかったか?

 

「本来、人体と聖遺物の融合など、奇跡的な確率でしか無し得ない。それが、まったく同じタイミングで二人同時に起こっている。ここまで言えばわかるか?」

 

「…あり得ないって事っすね」

 

「そう、あり得ないはずが奇跡が起きている。ならば、その奇跡に絡繰があると見るのが研究者だ」

 

つまり、どういう事だってばよ?

 

「結論から言うと、君は立花響に生かされている」

 

は?何故立花が出てくる?

しかも生かされている?

何の冗談だ?

 

「あの事故の折り、立花響は君を庇ったそうだな?だから君は重傷だが意識があった、違うか?」

 

――思い出される煉獄の記憶。

そう、あの時、小町を避難させた後、崩落に巻き込まれ、足を怪我して死を待つだけだった俺をあろう事か庇った二人の女の子がいたのだ。

一人は、その命と引き換えに絶望的な状況を打破した天羽奏。

もう一人は、何の力も持たず、ただ俺の前に立ち、ガングニールの破片をその身に受けた少女、立花響。

 

…何で忘れてたんだろうな…

天羽さんの方は覚えてたのに、大事な事を今の今まで忘れてたんだな…

 

「立花響はその際に聖遺物と融合したと思われる。そして君については、()()()()()()()()()()()が君に宿っている。だから、立花響が君を守りたい、死なせたくないと願った時にしか、君のガングニールは起動しない。聖遺物が君を侵食しないのも立花響の意志があるからだ」

 

フィーネさんは淡々と述べる。

研究者としての見解を述べているのだろう。

正直、ショックが大きく頭に入ってこない。

 

「まぁ、ある意味、君こそが立花響のアームドギアだと言うことだ。だからこそ彼女は単独でアームドギアを形成できない」

 

俺が…?こんな価値の無い男があいつの枷になっているって?

笑えねぇよ…

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

そんな独り善がりを押し付けておいて、あいつの力を奪っていたのが他ならぬ俺自身だったなんて、全然笑えねぇよ…

 

「まぁ、これを聞いて君がどうするかは、私には預り知らぬ。好きにするといい。あぁ、後、私の計画だが、1週間後に決行する。どうするも君の自由だ」

 

その後、どうやって帰ったかもわからぬまま帰宅し、心配する雪音に目もくれず、ただ、自室で呆然とするしか出来なかった。

 

冷たい壁の感覚が、自分が生きているという事を残酷に告げていた――




唐突にシリアスさんがログインしました。

日常からいきなりシリアスさんに横殴りされるのもシンフォギアならではだと思います。

今回もお楽しみ頂けていれば幸いです。
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