では、駄文ですがお付き合いください。
ハチ君の様子がおかしい。
クリスちゃんからそう相談を受けた。
二課に行って帰ってきてから、まともな食事も摂らず、ずっと部屋に引きこもっているらしい。
クリスちゃんや小町ちゃんの呼び掛けにも反応が無いらしい。
「こんなこと、お前に頼むのは癪なんだがよ…あたしにはどうしてやることもできねぇんだ!だから頼む!八幡を助けてやってくれ!頼む!」
「わかった!絶対に助ける!」
でも、ハチ君の事だから絶対に一筋縄ではいかない。
まずは情報を集めないと。
***
まずは、ハチ君が様子がおかしくなる前に訪れていた二課に向かう。
でも、クリスちゃんに聞いてもどこに行ってたかまではわからないとの事。
誰か見かけた人とかいないかな?
師匠や友里さん、藤尭さんに聞いてみたけど、その日はハチ君を見ていないとの事。
「比企谷君ですか?研究室に行ってたと思いますよ」
緒川さんから情報を貰う。
研究室、了子さんのところだね!
「…あなたも当事者だし、特別に話すわ」
…了子さんからの話は衝撃的だった。
なるほど、ハチ君はこの話を聞いて様子がおかしくなったんだ。
彼に伝えたい想いが胸から込み上げてくる。
いてもたってもいられなかった。
早く、一刻も早くこの想いを彼に伝えなきゃ!
「あ、おい!」
私は外で待機していたクリスちゃんを置き去りに走り出していた。
***
「ハチ君!!」
「…んだよ。お前とは一番顔を合わせたくねぇ…」
「了子さんから話は聞いた!」
「なら…わかってんだろうが…」
「わからないよ…私、バカだからさ、ハチ君が何考えてるのかなんてわからないよ」
「じゃあ、もうほっとけよ…帰れ」
「嫌だ!ほっとけない!帰らない!」
「…何がしてぇんだよ、お前は?」
「ハチ君を助けたい!!」
「…なら、余計なお世話だ。頼んだ覚えもねぇ…」
「関係無い!!
彼を連れて飛び出す。
途中、クリスちゃんとすれ違うけど、今は構ってられない。
「おい!どこまで連れて行くつもりだよ?」
「ここなら…うん!」
「ハチ君…ううん、比企谷八幡君!私は私の想いがあなたを守っていたって聞いた時、嬉しかったんだよ?」
「…俺はうれしくねぇ、余計なお世話だ。返せるあてもねぇのに貰う訳にいかねぇんだよ」
「返して欲しくてやった訳じゃない…って言っても、あなたは納得しないよね?」
「あぁ…納得できねぇ。一人で立たなきゃいけねぇ、一人で立つのが当たり前なのに、ずっと誰かに立たせて貰ってたなんて、納得行く訳ねぇだろ」
「じゃあ、一人で立ってみせてよ!」
「………は?」
「借り物の想い、借り物の歌で立っているふりをするのは、おしまい!君の想い、君の歌で立ち上がってみせてよ!比企谷八幡!!」
~Balwisyall Nescell gungnir tron~
彼の胸のガングニールは応えない。
当然だ。私は伝えた。
私は彼を守りたいんじゃない。
私は、彼の隣に立ちたいんだ!!!
そうして、彼は少し驚いた後、頭をガシガシ掻いて、呟くように口ずさむ。
~Granzizel bilfen gungnir zizzl~
「やっぱり、歌えるんじゃん?」
「…うるせぇ」
彼が目を反らす。
うん、私、やっぱりこの人が好きだ!
「それじゃあ、今までの全部!私にぶつけてきて!!」
「チッ!もうどうにでもなれ!」
…それから、しばらくの間、彼と殴りあった。
けど、そろそろ私も彼も限界。
まだだ、私はまだ彼に大事な事を伝えてない!
「ハァ…ハァ…次が最後みたいだね?」
「ゼェ…ゼェ…引きこもってた人間にいきなりこれはしんどいっつぅの…」
ようやく調子が戻ってきたね。
最後、この想いを歌に、拳に、全部乗せて彼に伝えなきゃ!
開放全開!いっちゃえ!ハートの全部で!!!
「比企谷八幡君!!私は!あなたの事が!好き!でぇぇーーーす!!!」
「んなっ!!?」
私の拳が、胸の想いが、彼に突き刺さる。
私、ちゃんと伝えれたかな?
***
彼と二人、大の字で寝転がる。
地面が好きすぎる事に定評のある私だ。
汚いとかはあまり気にならない。
「お前、最後の何だよ?ビックリして、モロに喰らっちまったじゃねぇか…」
「あれが、嘘偽り無い私の気持ちだよ?」
そう答えるとそっぽを向いてしまう。
かわいいなぁ。
「あ、でも今すぐ付き合って、とかそういうんじゃないよ。ハチ君も色々あって、気持ちの整理つかないだろうし」
「…おう、正直いっぱいいっぱいなんだよ。もうちょっと俺を労れよ?」
「はいはい。じゃあ、帰ろっか?」
「…後で戻るから、先帰ってろ」
「うん、待ってるね?」
ああは言ったけど、ハチ君にも色々あるんだろう。
結局、最後はハチ君自身が折り合いをつけるしかない。
私にできるのは、ここまでだ。
帰路、振り回されてようやく追い付いたクリスちゃんと合流する。
「ハァ…ハァ…どこ行ってたんだよ?」
ごめんね?
忘れてたとは言いにくいなぁ…
「それで、あいつは、八幡は大丈夫なのか!!?」
「後は、ハチ君次第だけど、たぶん大丈夫じゃないかなぁ?」
「よかった…本当によかった」
…改めて、ライバルの容姿や仕草を見る。
むむむ、強敵だなぁ、私も頑張らないと。
そうやって、この勝負だけは誰にも負ける訳にいかないと決意を新たにしたのであった。
途中の会話でモノローグが少ないのは、彼女なら思うだけでなく、直接言葉に出すだろうと思い、少なくしたりしてます。
その結果、いつもより若干短くなってしまいました(汗)
色々試行錯誤してみましたが、楽しんで頂けていれば幸いです。