ぼっちが人前で歌などハードルが高すぎる   作:祥和

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体調と相談になってしまうので書ける時に書いておきます。

では、駄文ですがお付き合いください。


第十二話

目が覚めると、どこかの部屋に閉じ込められていた。

 

身体に少し倦怠感は残っているが、拘束はされていない?

逃げてくれと言っているような物なのだが…

 

『君にはそこで絶唱を歌って貰う』

 

スピーカーからフィーネさんの声が聞こえる。

 

「断ると言ったら?」

 

『私はノイズを操る完全聖遺物を持っている。クリス1人で何処まで護りきれるでしょうね?』

 

…もしかしなくても小町の事だろう。

 

「降参だ。小町には手出ししないでくれ」

 

『この先、生き延びれるかもわからん者の為にご苦労な事だな。では歌いなさい』

 

待ったも心の準備も無しかよ…

全く、ぼっちが歌うなんて間違ってるだろ…

 

~Granzizel bilfen gungnir zizzl~

 

あいつから貰ったシンフォギア…

こんな事の為に使う力じゃ無い筈なのにな…

 

~Gatrandis babel ziggurat edenal~

 

体が熱い。血が沸騰してるみたいだ…

 

~Emustolronzen fine el baral zizzl~

 

あいつなら…あのまっすぐな少女なら、この力をどう使うんだろうな?

ふと、そんな事を考えてしまう…

 

~Gatrandis babel ziggurat edenal~

 

負荷に耐えきれず、口から血が流れる。

 

~Emustolronzen fine el zizzl~

 

これが…絶唱。

あの人が…天羽奏が命を燃やして行使した力の正体。

…最も、戦う覚悟も何も持ち合わせない俺が使えば、ただの暴走するエネルギーでしかない。

 

『これ程のエネルギーを行使して死に至らんとは、さすがは融合症例だと褒めておこう。このエネルギーでカ・ディンギルを発射する!』

 

褒められても全然嬉しくねぇな…

体はもうボロボロだっつぅの…

 

『せめてもの報酬だ。月が破壊される様を君にも見せてやろう』

 

外の様子がモニターされる。

夜に実行されているだけあって、周囲に人はいねぇみたいだな…

それとも、避難しているのか?

 

『~Gatrandis babel ziggurat edenal~』

 

…何でだよ…

 

『~Emustolronzen fine el baral zizzl~』

 

…小町と逃げろって言ったじゃねぇか…

 

『~Gatrandis babel ziggurat edenal~』

 

…何でお前が其処に居て…

 

『~Emustolronzen fine el zizzl~』

 

…何でその歌を歌ってるんだよ…雪音!?

 

モニターの先には、カ・ディンギルと呼ばれた、かつてリディアン音楽院であったであろう砲身の射線上に、いる筈の無い少女、雪音クリスの姿があった。

 

…そして、その儚き少女の歌は、月を破壊するエネルギーを僅かばかり反らし、少女自身はエネルギーに飲み込まれ、墜ちてゆくのであった…

 

***

 

『…思わぬ邪魔が入った。無駄な事を…次弾を打つ。もう一度歌いなさい』

 

…邪魔だと?無駄だと?

 

…ユルセナイ…

 

…アイツヲ…ムダダトワラウオマエヲゼッタイニユルセナイ!

 

体がどす黒い破壊衝動に塗り潰されていく。

今はただ、あいつを、大切な物を守る為に命を掛けた少女を無駄とせせら嗤う者を!

 

気付けば目の前の光景が外に切り替わっていた。

自分自身が何かをした覚えは無い。

だが今、そんな事は些細な事だ。

 

「チッ!こんな時に暴走だと?やはり完全聖遺物でなければ動力制御は難しいか。今からでもネフシュタンを」

 

「私がそんな事を許すと思ったか!?櫻井女史!!」

 

騒がしい。煩わしい。

邪魔をするなら全て打ちのめす。

 

「立花!」

 

…ウルサイ…

この腕が、彼女の胸を貫くと同時に抱き締められる。

 

「これは…束ねて繋ぐ力の筈だろ?」

 

――影縫い――

 

「…立花、奏から継いだ力を、そんなふうに使わないでくれ」

 

…オレハスベテハカイスル…

…ハカイしたい…筈…なの…に…

 

「…待たせたな」

 

「あくまでも一振りの剣であり続けるか」

 

「今日に、折れて死んでも、明日に人として歌うために…」

 

「風鳴翼が歌うのは、戦場(いくさば)ばかりで無いと知れ!!」

 

…そして、一振りの剣は、天高く舞う翼となり、その身をもって、絶望の塔を打ち砕くのであった。

 

***

 

気付けば、動力室で倒れていた。

あの感覚は何だったんだろうか?

 

!今はそんな事より、状況だ。

途中から記憶が曖昧だが…雪音と…風鳴先輩は………

 

モニターを確認する。

その先には、例の鎧を着たフィーネさんと、地に臥せるまっすぐな少女の姿があった。

 

…お前まで何してんだよ…

ボロボロじゃねぇかよ…

 

モニターの先では、無防備に痛め付けられる少女の姿、スピーカーが壊れたのか、音声は聞こえない。

クソッ!さっきみたいに外に出れないのか!?

 

胸の歌は響かない…

普段は五月蝿いくらいな癖して、何で今、何も出来ねぇんだよ!!

 

あれだけの事があって、更にお前にまで何かあったら、俺は一生、俺自身を赦せなくなる。

頼む!今だけでもいい。頼む!!

 

!待てよ、あちらの音は無理でも、こちらの音声をあいつに届けれたなら…

 

急いで動力室を出る。

と、目の前に見知った顔が

 

「八幡!?どうしてここに!?」

 

小日向、お前こそ何やってんだよ?

 

「響に歌を届ける為に、動力室を目指してたの」

 

小日向の目的は、この部屋だったらしい。

急いで、ダウンしていた設備の電源を起動し、小日向達の避難場所まで移動する。

 

「比企谷君!!無事だったか!?」

 

「お兄ちゃん!!」

 

避難場所には、腹に包帯を巻いた司令や小町がいた。

 

「話は後だ。今はあいつに歌を!」

 

***響視点***

 

何もかも終わってしまった…

翼さんも…クリスちゃんも…もういない…

 

ハチ君は…愛しい彼ならこういう時、どうするんだろう…?

 

了子さんが何か言っているんだけど、何も頭に入ってこない。

 

~~♪~~~♪

 

「何だこれは?何処から聞こえてくる?この不快な…歌……歌……だと?」

 

「聞こえる…みんなの声が…」

 

みんなの歌が

 

「良かった…私を支えてくれてるみんなはいつだって側に…」

 

「みんなが歌ってるんだ……だから!」

 

「まだ歌えるっ!」

 

「頑張れるっ!!」

 

「闘えるっ!!!」

 

みんなが私を支えてくれている!

だったら私は、何度だって立ち上がってみせる!!

 

「まだ闘えるだとっ!?何を支えに立ち上がる?何を握って力に変える?鳴り渡る不快な歌の仕業か?」

 

「そうだ、お前が纏っている物は何だ?心は確かに折り砕いたはず…なのに、何を纏っている?それは私が作った物か?」

 

「お前が纏うそれは一体何だ!?」

 

「何なのだ!!?」

 

私を含め、光の柱が3つ。

良かった…二人とも無事だったんだね!

 

もう諦めたりしない!

奇跡だって手繰ってみせる!!

私は生きるのを諦めない!!!

 

「シィィィンフォギアァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!」




ラストのBGMは、当然ですがSynchrogazerを脳内再生して頂ければ。

原作の熱量を少しでも表現出来ていれば幸いです。

屈指の名シーンなので、無理矢理ビッキーに視点変更してまでして書いてしまいました。
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