ぼっちが人前で歌などハードルが高すぎる   作:祥和

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どんどん原作からかけ離れていきます。

今回、いつもより少し長めです。
サクサク読めるを信条にしているのですが…申し訳ない。

では、駄文ですがお付き合いください。


第七話G

あれから1週間。

 

フロンティア起動に必要な動力確保までネフィリムの成長を待っている状態だ。

 

そのネフィリムはというと…

 

「ネフィちゃん?お座り」

 

完全に小日向のペットに成り下がっている。

結構成長してレトリバーサイズくらいまで大きくなっているんだが、小日向に対して原初的な恐怖を感じている為服従しているというのが、専門家のナスターシャさんの見解だ。

 

まぁ、聖遺物であるネフィリムからすれば天敵に近い相手なので仕方ないのか?

だが、俺に対してはやたら噛みつこうとして来るので接触しないようにしている。

これに関しては、何故か小日向の命令でさえ無視する。

人間どころかペットにまで嫌われてるのかよ…

 

それはさておき、とりあえず、このまま行けば問題無く計画を遂行できそうだ。

 

「八幡、ただいま」

 

「ただいまデース!」

 

買い出しに行っていたちみっ子達が帰ってくる。

ちみっ子達の話では、俺と小日向は特に指名手配などはされていないとの事。

二課の動向が読めないな?

このまま何もして来ないならありがたいんだが…

 

「今日の晩ごはんは奮発して298円」

 

「ごちそうデース!」

 

月読がピースしながら言う。

 

そうなのだ…聖遺物が餌のネフィリムはいいとして、人間の食べる物が資金不足の為、こんな物ばかりなのだ。

はぁ…小町の飯が食いたい…

ちなみにこいつらかなりの偏食でナスターシャさんは病人の癖して肉しか食べないし、MAD眼鏡はお菓子以外口にしない。

あいつらの偏食に付き合ってるから資金不足なんじゃねぇの?

 

しかし、何から何まで見切り発車だな…こいつら…

ただ、タイムリミットが近く、時間に余裕が無かったのだろうという事も想像が付く。

タイムリミットとは、月の落下ではなく、ナスターシャさんの命。

彼女の体は病魔に蝕まれており、余命幾ばくも無いのだ。

そのような状態でなお、人類の為に献身するあたり、彼女もまた信念の人と言える。

やり方は色々間違ってるけどな…

 

そんな事を考えている時に急遽警報が鳴る。

やっぱりこのままうまくいくなんて事は無いか…

 

***

 

「一体何が?」

 

全員がナスターシャさんの所に集まる。

 

「侵入者です。特異対策機動部二課と見て良いでしょう」

 

「私と調、切歌で迎撃するわ。小日向未来はネフィリムが暴れないように見張っていてくれるかしら?」

 

「…わかりました」

 

小日向は不服そうだが仕方ない。

お前とネフィリムは計画の要だからな?

 

「それではドクターと比企谷さんはマリア達のサポートを。比企谷さんは可能であれば説得をお願いします」

 

確かにここまで上手くいっているのだ。

可能であれば、今後、衝突の無いように説得するのは悪い手ではないが…

侵入者があいつらだとしたら、何となく俺が行くのは逆効果な気がするんだよなぁ…

問答無用で立花にぶん殴られる姿が容易に想像付く。

はぁ…行きたくねぇ…

 

先行したマリアさん達のサポートの為、MAD眼鏡とアジト入口方面に向かう。

 

「フフフ、ようやく蒔いた餌に獲物がかかってくれましたか!」

 

お前…今度は何したんだよ…

 

「ネフィリムの餌の調達ですよ!このままでは当初用意していた聖遺物の欠片も底を付きますからねぇ!」

 

つまり、あいつらのシンフォギアを強奪しようって事だろうが…短慮すぎる…

何で頭いい筈なのにバカなの?死ぬの?

はぁ…ほんと余計な事すんのやめてくんない?

こいつがいる限り、今後も心労に悩まされる事になるんだろうな…

帰りたい…

 

そんな事を考えながら向かった先で見た物は、強烈な一撃でのされたと思われるマリアさん達と、出張って来る筈が無いと高を括っていた二課…いや人類最高戦力の姿であった…

オイオイオイ!死ぬわ俺…

 

***

 

「し、司令が何故ここに!?」

 

「君と未来君のおかげで、装者達が出撃出来るメンタルじゃないんでな…まったく、世話の焼ける」

 

?どうしたんだ、あいつら…

小日向がいなくなった立花はわからんでもないが、雪音や風鳴先輩まで一体何があったんだ?

気にはなるが、今はこの状況をどうするかだな…

 

「さぁ、比企谷君!今なら拳骨くらいで許してやろう!」

 

いや、あんたの拳骨とか普通に死ぬわ!

何その死刑宣告…

 

「まぁ拒否しても首根っこ捕まえてでも連れていくがな!」

 

ヤバい!今までの人生でピンチは多々あった…というかピンチしかない人生だったがここまで恐怖を感じる事は無かった。

この人敵に回すとかやっぱありえねぇわ…

プレッシャーだけで気絶しそうになる。

MAD眼鏡とか、口から魂抜けたような顔して「あばばばばば」とか言ってるし…

やべっ、変な思考してる間に目の前に司令が…

 

「させない!」

 

「ど根性デース!」

 

司令の拳骨を何とか再起した月読と暁が受け止め…れず俺含め全員吹っ飛ばされる。

 

「根性は認めるが、まだまだ甘い!」

 

久々に暴れられて楽しそうですね?

しかしどうする?

小日向とネフィリムがいる今、二課と対立する必要はまったくと言っていい程無い。

しかし、ここで正直に話すとして、アラサーの事に触れずに説得するのは、先日の小日向の反応を見て分かる通り、難しい。

小日向はこちらに協力する姿勢を見せていたし、口も固いので例外にするとしても、さすがにアラサーの事を二課に話せばタダでは済まないだろう。

例え相手が信頼に足る大人だとしても、ぼっちである俺にとって()()を売る事になるかもしれない賭けになど出れる訳が無い。

月の落下にしても、元を辿れば元凶あの人だしな…

はぁ…仕方ねぇな…

 

俺はソロモンの杖を起動した。

 

***

 

「比企谷君!自分が何をやっているのかわかっているのか!?」

 

「わかってますよ。出来れば、このまま引いて貰いたいっすね」

 

「くっ、1人で来たのが裏目に出たか…だが、君と未来君は必ず響君達の元に連れていくからな!」

 

そう言って、司令が撤退する。

 

「八幡…」

 

「月読、暁、出したノイズの処理を頼む」

 

「…了解デス」

 

仕方なかったとはいえ、人に対して人を殺す兵器(ノイズ)を…殺意を向けてしまった…

何故か立花と雪音の顔が脳裏に浮かぶ。

こんな外道があのまっすぐな少女や自分の足でようやく立ち上がろうとしている少女から好意を向けられる資格など無いのだ。

元から分かっていた事だ…今さらだ。

 

ノイズを殲滅した月読達が心配そうに俺を見る。

 

「八幡さん…」

 

「大丈夫だ…このアジトは放棄だ、急ぐぞ」

 

「…了解」

 

そう、アジトがバレた以上、ここに長居は出来ない。

速やかに移動する必要がある。

資金は無いのに何故か空輸手段はあるので、しばらくは移動しながら、新しいアジトを探す事になるだろう。

 

俺達は必要最低限の資材を持って、アジトを後にしたのであった。

 

***

 

「それでは、このままフロンティアが封印されている場所まで移動し、付近でアジトを探す事とします」

 

ブリーフィングが終わり、一段落。

今日は中間地点の山中に停留し、一夜を過ごす。

移動中は小日向のギアを飛行機に取り付ける事で強力なステルス性能を発揮できるらしく、見つかる心配はほぼ無いとの事で日中の移動で問題無いらしい。

ただ、燃料の問題もある為、長時間飛行している余裕は無いので、やはりアジトの確保が急務だ。

しかし、俺はというと…

 

「八幡?」

 

「悪いが1人にしてくれ…」

 

いまだ、人を殺す兵器を人に向けた事の重圧から逃れられないでいる。

小日向やちみっ子達が心配そうにこちらを見るが、これは俺の問題なのだ。

自分の問題なのだから自分で解決するのが()()()()

雪音にも言った事だ。

人に言っておいて、自分が出来ないなどあってはならない。

 

簡易ベッドに寝転がり、思考する。

やはり、アラサーの事を話さず司令を退けるにはあれが最善であったと思う。

しかし、何故こうも心を乱される?

失う物など元から何も持っていない俺にとって出来ない事など無かった筈なのだ。

 

「ちょっといいかしら?」

 

思考に耽っていると、マリアさんが部屋に入ってくる。

 

「…何すか?」

 

起き上がりそう返した俺を、急にマリアさんが抱き締める。

…は?え?ちょ…近い近い近い柔らかいいい匂い

 

「強がる必要は無いわ。斜に構えていたり、変に大人びているけど、あなたはまだ高校生なのよ?」

 

そう言われて、何故か不意に涙が出てくる。

本当におかしい。

小学校、中学校時代にいじめられていた時も―

天羽さんを犠牲にしたと公表し迫害された時も―

今までどんな事があってもこんな事は無かったのだ。

何故自分の感情がこうもコントロール出来なくなったのだ?

涙は一向に止まる気配はない。

 

「俺…人を…殺す……兵器を…人に…」

 

「うん、つらかったわね…あなたを巻き込んでしまった事、後悔しているわ。あなたがこんなに優しい人だなんて知らなかったのよ」

 

マリアさんが歌を歌う。

アーティストとしての彼女のような力強くカッコいい歌ではなく、とても優しく、どこか悲しい歌。

 

結局、俺が泣き疲れて眠るまで、マリアさんは優しく抱き締めてくれていた。




ようやくマリアさんが本気を出しました。

長かったです…

マリアさんが最後に歌った歌は劇中でも歌っていたAppleです。
このお話では八幡の為に歌ってますが、原作では彼女自身を奮い立たせ、70億の絶唱に繋げた歌でもあります。

気になる方は是非戦姫絶唱シンフォギアGを見ましょう(ダイマ)
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