ぼっちが人前で歌などハードルが高すぎる   作:祥和

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思った以上に反響あってビックリしてます…

駄文ですがお付き合いください


第三話

いつかさ――心と体、空っぽにして、思いっきり歌いたかったんだ―

 

記憶の中のあの人はいつでも笑顔だ。

その笑顔は眩しく、そして儚い。

 

―命の価値に優劣は無い―

 

皆が皆揃ってそう言う。

だが実際は、医療現場では命の取捨選択が平然と行われ、戦争にでもなればその価値は紙のように脆くなる。

だからこそ、この命が彼女が燃やした命と等価であるとは到底思えないのだ。

 

***

 

「メディカルチェックの結果よ」

 

櫻井さんから説明を受ける。

櫻井了子さん、特異災害対策機動部二課の研究主任らしいのだが、その…どこがとは言わないが体の一部が色々と目のやり場に困る。

風鳴先輩は…うん、強く生きて下さい。

 

「響ちゃん、八幡君、二人とも、胸からガングニールの破片が見つかったわ」

 

ガングニール――

 

あの人の…天羽奏の覚悟の結晶。

それがそういう名前であることを初めて知った。

北欧神話の主神が持つ槍の聖遺物との事らしいのだが、正直聞いたこと無いキーワードが多く、さっぱりわからん。

とりあえず、今日明日どうこうなるような物で無いことと、現代医学でこれを摘出することが難しいことがわかっただけで十分だ。

 

「響ちゃんの聖詠で八幡君のガングニールも起動した事なんだけど、同じ聖遺物であることで、共鳴したって線が一番濃いわね。ちなみに八幡君は聖詠が心に浮かんで来たり、ガングニールを纏っていた間に歌が心に浮かんで来たりはしなかった?」

 

「はぁ…さっぱり」

 

「むむむ。これは興味深いわね」

 

「はいはーい!私は胸に歌が浮かんで来て、こう歌わなきゃって感じです!」

 

「ええ。響ちゃんの方はこのデキル女、櫻井了子が設計した通りに機能しているわ。問題は八幡君、聖詠も歌も浮かんで来ないのに、ノイズとは戦えたのよね?」

 

「ええ。…といってもあれを戦いと呼んでいいならですが」

 

「"調律"は機能していると…ますます興味深いわね」

 

え?もしかしてアレって結構綱渡りだったのか?

 

「あぁ、"調律"っていうのは、シンフォギアシステムの機能の一つで、簡単に言っちゃうとノイズに攻撃できるようにする機能のことよ」

 

なるほど。確か、位相差障壁?だったかで、ノイズには通常兵器が通用しないんだったな。

つまり、その位相差障壁を何とかしちゃう機能なんだろう。

語彙力?バッカお前、こっちも聞いた事無い単語のオンパレードでいっぱいいっぱいなんだよ。

立花なんか見ろ、もう思考回路はショート寸前、今すぐ会いたいよ状態だ。

うん、俺も何言ってるかわかんねぇな。

 

***

 

「じゃあ帰るか」

 

「あ、そだね。未来、心配してそうだなぁ…」

 

「小町は…心配して無さそうだな」

 

お兄ちゃんつらい。

 

「いやぁ、さすがに警戒警報も出てたから小町ちゃんも心配してると思うよ?」

 

だといいけどな?

 

「比企谷、少しいいだろうか?」

 

帰り際、風鳴先輩に呼び止められる。

うん、強く生きて下さい。

 

「よく無いので帰ります」

 

「そ、そうか…すまなかった…」

 

………何かコレ、俺が悪いみたいじゃねぇか。

 

「ハチ君!バカな事言ってないで、ほら」

 

な…んだと…?

まさか、アホの娘、立花にバカと言われた…だと…

 

「お前にバカと言われるのだけは、納得いかん」

 

「もう、そんなのいいからさ、翼さん待ってるよ?」

 

そんなのとはどういう事だ!?

これは俺の名誉に関わる問題だぞ?

元からそんなの無い?バッカ、俺が肯定してやらなかったら誰がやってくれるんだよ?

 

「で、何すか?」

 

「あ、あぁ…今日、ノイズと戦っていたあの時の事だ。何故目を閉じた?」

 

「絶対絶命、助かる見込みも無い。生き汚く足掻くより、最期くらいは穏やかに、という人間の心理ですが?」

 

「貴様!?奏から一体何を受け継いだ!?"生きるのを諦めるな"…あいつは、奏は()()()にそう言って逝ったんじゃなかったのか!?」

 

そんな事はわかっている。

だが、決定的に間違っている。

わかっていることと納得していることは別だということだ。

 

「ええ、そうですね」

 

「なら、何故!?」

 

風鳴先輩の語気が荒くなる。

それだけ、天羽奏という存在は、風鳴翼にとって大きいものなのだろう。

 

「…俺も、天羽さんが俺なんかの為に命を燃やした事に納得していないって事っすよ」

 

「比企谷…貴様…」

 

これ以上、話す事も無いだろう。

 

「もういいっすか?妹が家で待ってますんで」

 

「あ、あぁ…すまなかった…」

 

「翼さん、何だったの?」

 

「あぁ、俺は天羽さんを犠牲にした加害者だからな。色々と恨み言を言われただけだよ」

 

うん。嘘は言ってねぇ。

 

「…ばか。うそつき」

 

「ん?何か言ったか?」

 

「んーん!何にも言ってないよ?」

 

「?じゃあ今度こそ帰るぞ?」

 

結局、帰宅した俺に対して、小町はいつもより遅かったね?程度の扱いだった。泣きたい。

 

***

 

今日も今日とて、社畜街道まっしぐらな生活を送っている。

具体的には、学校が終わると即呼び出し、休日出勤など当たり前である。

ノイズって通り魔より遭遇率低いんじゃ無かったのかよ?

いくら何でも、人類を炭に変える為に張り切り過ぎである。

 

ただ、大抵の場合、立花そっちのけで風鳴先輩が無双して終わる。

うん、もうあの人だけでいいんじゃねぇかな?

まぁ、シンフォギアの主兵装であるアームドギアも形成できないヒヨッ子では足手まといになるのも仕方ないのだが。

俺?俺は後方で逃げ遅れた人がいないか探したりしている。

おい、そこ地味とか言うな!俺らしい仕事じゃねぇか。

 

…ただ、立花と風鳴先輩の間の溝は思った以上に深いようだ。

爆発するのも時間の問題だろう。

だからといって、俺に何かできる訳じゃねぇけどな。

 

「そうね。あなたと私、戦いましょうか」

 

そんな事を考えながらノイズ殲滅の一報を受けて立花達との合流地点に向かうと、風鳴先輩が立花に剣を向けていた。

まずいな、立花が風鳴先輩の()()を踏んだみたいだな。

 

「貴女の胸の覚悟を構えてご覧なさい」

 

――天ノ逆鱗――

 

そう言って、風鳴先輩が立花に技を放つ。

俺のシンフォギア、あれ以来、起動すらできてねぇが、頼む。間に合ってくれ…

 

「はぁっっ!!」

 

…俺が割り込むより早く、風鳴司令が割り込んで、拳で風鳴先輩の技を吹き飛ばす。

 

…は?何それ?

 

「何やってんだ!?翼ぁ!?まったく、この靴、高かったんだぞ?」

 

色々ツッコミたい事がある気がするが、人って理解の範囲を超えることが起きると立ち尽くすしか出来ねぇんだな…

 

改めてそう思った。




短い上に話が進まない、自分の文才の無さが露呈しまくってます…
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