ぼっちが人前で歌などハードルが高すぎる   作:祥和

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切ちゃん誕生日おめでとう

という事で切ちゃん誕生日記念番外です。

切ちゃん成分100%でお送りします。


番外 切ちゃん誕生日記念

暁 切歌…

語尾が特徴的な女の子で本人曰く常識人(笑)らしい。

そして、俺の恋人でもある。

妹と同い年の女の子が恋人というのは、俺的には複雑なんだが、小町が言うには、義姉候補が同い年というのはどうでも良く、俺を引き取ってくれる人なら幼女でも構わないらしい。

小町ちゃん?もうちょっと手加減してくれない?

お兄ちゃん泣いちゃうよ?

 

「む、聞いてるデスか?八幡さん?」

 

やべっ、全然聞いてなかったわ…

 

「あー悪い、考え事しててな…聞いてなかったわ」

 

「むー、八幡さんの悪い癖デスよ?明日は私の誕生日デスから二人きりでお祝いしようって話デスよ」

 

あー、そうだったか?

いやもちろん恋人の誕生日くらい覚えてるけどね?

…ホントダヨ?

 

「しかし、よく月読が許可したな?」

 

そうである。

こいつには、だいたいいつも一緒にいるちみっ子がいて、そいつは自分から暁を奪った俺をかなり敵視している。

まぁ、自分の親友が目の腐った男を恋人として連れてきたら心配するのも無理は無い。

小町が俺みたいな男を連れて来たら俺だって激怒する。

むしろ男を連れてくるだけで激怒するまである。

 

「ししし調にはナイショデスよ!!?」

 

言ってねぇのかよ…

嫌な予感しかしないんだけど…

 

「はぁ…最悪、土下座するか…」

 

親友の誕生日を独占されるのだ。

月読の怒りは計り知れない…

 

「何で八幡さんだけ謝ろうとするデスか?恋人なんだから一緒に謝るデスよ!」

 

ぐっ、こいつは何でこう恥ずかしい事をストレートに言ってくるかね?

こちとら17年ぼっちやってたんだから少しは配慮してくれませんかね?

 

「何言ってんだ。俺は暁の為なら、土下座も靴舐めも余裕で出来る」

 

「そんな後ろ向きな愛情表現はいらないデスよ…」

 

暁に呆れられる。解せぬ。

 

***

 

翌日、暁の誕生日当日。

月読の追跡から逃れながら、俺達はサイゼで夕食を食べる。

 

「お前、こんな日にサイゼで良かったのかよ?」

 

「八幡さんと一緒なら何を食べてもおいしいデスよ?」

 

ぐっ、またこいつは…

ほぼ無自覚に元ぼっちだった俺のメンタルを削ってくるのだ。

こっちは理性を保つのに大変なんだからね?

 

「それに、ここなら調も盲点だと思うデスよ」

 

まぁ、確かに恋人同士のイベントにサイゼは盲点だろう。

しかし、男として甲斐性が無いと思われるのも癪なのである。

まぁ、そこは俺。

小洒落たレストランとか期待されても知らないんだけどね?

 

「いつも通りの日常で、無事に誕生日を迎えれた…それだけで嬉しいデスよ」

 

そう、普段の言動からは全く想像も付かないが、こいつと月読は割とヘビーな過去を持っている。

物心付かない内からとある実験施設に軟禁され、長い間非人道的な実験動物として扱われてきたのだ。

こいつらは自分の親の顔すら知らないという。

自分が何者かもわからない、自分が自分である証を立てる物が何も無いというのは、17年日本で平穏に暮らしていた俺からは想像も付かない。

しかし、長い間親代わりに親しくしてくれていたのが、今をときめく歌姫、マリア・カデンツァヴナ・イヴだというのだから、世の中わからんものである。

こいつら繋がりで俺も会った事あるんだが、芸能人オーラバリバリかと思いきや、ただのオカンだった。

食事した後、何か取り繕ってたけど素がどちらかはお察しである。

 

「む、恋人と一緒にいるのに、他の女の人の事を考えるのは失礼デスよ?」

 

「…何でわかんだよ…」

 

「八幡さんは割とわかりやすいデスよ?私みたいにいつも見てる人ならすぐにわかるデスよ」

 

何それ怖い。

こいつの前では、あんま考え事はしない方が良さそうだな…

 

***

 

「あー、それでプレゼントなんだが…こんな物しか思い付かなかったわ」

 

そう言って、プレゼントの緑色のシュシュを渡す。

 

「ありがとうデース!八幡さんからのプレゼントなら何でも嬉しいデスよ?」

 

喜んでくれたみたいだな…

小町に相談して良かった。

 

「それと…お願いがあるデスよ」

 

?何だ?こいつからお願いって珍しいな。

俺に出来る事なら叶えてやりたいが…

 

「これからは…その…名前で呼んで欲しいデスよ」

 

暁が赤面してモジモジしながら言う。

かわいいな、チクショウ…

しかし、名前呼びか…

リア充ならさておき、ぼっち歴の長い俺がそんな事をすれば、ガリガリメンタルを削られる事間違いないだろう。

 

「ダメ…デスか?」

 

暁が上目遣いで言う。

あざとい…そんなあざといの何処で身に付けたんだよ!?

最近一緒にいる雪音とか言う奴の仕業か?

あざといが、俺にはクリティカルヒットだよ、チクショウ…

はぁ…仕方ねぇ…覚悟を決めるか…

 

「切歌、これでいいか?」

 

「デース!八幡、これからもヨロシクデスよ」

 

そう言って、満面の笑顔を見せる彼女は、暗い過去など全て吹き飛ばす程に眩しく、まるで太陽のようであったのだった。

 

後日、切歌の誕生日に二人きりで過ごした事と名前呼びに変わった事が月読にバレて一波乱あったのだが、それはまた別の話。




何とか13日中に投稿間に合いました。

本編や他の番外とは全く繋がっていない世界線のお話です。

恋人同士からスタートですが、ここに至るまでに切ちゃんがかなり努力したのは言うまでも無いデス。
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