戦々恐々としています。
また駄文ですがお付き合いください。
――おい、死ぬな!目を開けてくれ!
生きるのを諦めるな!―――
あの人の言葉、一瞬たりとも忘れた事は無い。
あの日、あの時、死を目前にした自分にあの人はそう言った。
自分は死を受け入れていた。
心残りがあるとすれば、助け切れなかったもう1人の事だけ。
でも、あの人の言葉で、生きたいと思ってしまった。願ってしまった。
――その後、犠牲者の中にあの人の名を見つけて、何よりも絶望した。
***
思わず現実逃避したくなるのを必死で堪えながら、立花の無事を確認する。
「立花、無事か?」
「あ…ハチ君…」
見たところ無事みたいだな。
心はどうか知らんが。
風鳴先輩?何かピンピンしてるっぽいし、ほっといていいだろ。
「比企谷君。後で少し話をしてもいいか?」
人外…じゃなかった、風鳴司令にそう呼び止められる。
「はぁ…まぁ、構いませんが…」
「あぁ、それと…今日は響君を家まで送ってやって欲しい、と…これは言うまでも無いか」
おい!おっさん!
何かあり得ない勘違いしてねぇか!?
俺みたいなぼっちが立花と釣り合う訳が無いだろう。
そのあたりも含め、きっちり説明しておくべきだな。
***
「君から見て、響君をどう思う?」
含みが多すぎてわからん。
とりあえず、無難に答えておくか。
「普通の女の子ですよ」
「そうか…俺には、あの年頃の子が、迷わず人の為に戦うと答えた時、ひどく歪に見えたんだ」
そう見るか。
これは立花の名誉の為にも、真面目に答えた方が良さそうだな。
「あいつも、平穏無事な人生だった訳じゃ無いですからね。ただ、逆境があろうと、どこまでもまっすぐだっただけですよ。まっすぐであろうとすることが歪なら間違っているのは世の中です」
そう、それこそが立花響だ。
かつて、俺が気持ち悪い独り善がりを押し付けた女の子だ。
そう答えると風鳴司令は、一瞬、何かを言うのを躊躇い、次に豪快に笑い飛ばした。
「ハッハッハッ!やっぱり君達は面白い!悪かった!確かにその通りだ!」
…やっぱり、この人はどこまでもいい人なのだろう。
こういう大人ともっと早く知り合っていれば…
いや、未練だな。IFの話に意味など無い。
「翼の事だが、許してやって欲しい。あいつもあれで割り切れない気持ちと戦っている最中なんだ」
そう言って、風鳴司令が頭を下げる。
「それは立花に言ってやってください。俺は許すも何も無いので」
***
風鳴司令と別れ、立花の元に向かう途中、珍しく暇潰し機能付き目覚まし時計が鳴る。
着信:小日向未来
うへぇ…嫌だなぁ、恐いなぁ、出たくないなぁ…
稲○淳○っぽく言ってみたが着信が消える訳でもなく、観念して出る。
「もしもし…」
「八幡?そこに響はいる?」
「いや、いねぇけど…どうしたんだ?」
うん。嘘は言っていない。
立花はこの先の部屋にいるのであって、今ここにはいない。
「帰りが遅いし、さっきから何回も電話してるのに出ないから心配で…最近、小町ちゃんが八幡も帰りが遅いって言ってたから、もしかしたら、と思って」
小町ちゃん?危険人物に俺の行動教えちゃ駄目でしょ?
…それにしても
「ほんとに響と一緒じゃないんだよね?」
小日向…お前も勘違い組か…
「一緒じゃねぇよ。もし見かけたら小日向に連絡するよう伝えといてやるよ」
「……わかった。ありがとう」
「へいへい」
まったく、疲れるばかりである。
切実に休みが欲しい、というか働きたくない。
「立花、待たせたな」
「あ…ハチ君」
まだ気持ちの整理は出来て無さそうだな。
無理も無い。
憧れで、仲間だと思っていた人から疎まれ、拒絶されたのだ。
「そういやお前、携帯見たか?」
「え?携帯…?うへぇ…」
何だ?そう思い、立花の視線の先を覗く。
………小日向さんや、物事には限度があるだろ…
着信:72件
未読メール:293件
立花の携帯には、そう表示されていた…
***
「そういやお前、小日向にこの事話して無いのか?」
小日向の異常行動を疑問に思い、立花に聞いてみる。
「え?うん…機密事項だから守秘義務があるって…」
「やっぱりお前はアホの娘だな…」
「うぇぇ!?ひどいよ!?ハチ君」
ひどいも何も事実だろ?
「お前、俺が何の為に安全を優先する相手の中に小日向を入れたと思ってんだ?あいつもとっくに当事者だ」
「えぇ!?そうだったの!?良かった…私、未来に話してもいいんだね…」
そう、小日向未来は知る権利を有している。
有しているが…
「まぁ、話した結果、どうするかはあいつ次第だがな」
ちなみに小町には話した結果、「危なくなったら、逃げるんだよ?また入院なんて小町嫌だからね?あ、今の小町的にポイント高い!」という答えが返ってきた。
最後のが無ければお兄ちゃん的にもポイント高かったんだがな…
「それは…うん。でも未来の事だからきっとわかってくれるよ」
「だといいな」
「うん。だーいじょうぶ。へいき、へっちゃら!」
少しは調子を取り戻したみたいだな。
小日向が絡むと俺の心の平穏が乱されるので、マジで頑張って欲しい。
「そんじゃあな」
「あ、ハチ君!」
立花に呼び止められる。
「あん?」
「今日…だけじゃなくて、いつもありがとう!」
そう言う立花は、さっきまで落ち込んでいたのが嘘のように眩しい笑顔だった。
そうだ、立花響とはこういう女の子なのだ。
これが歪などであるはずがない。
***
いい加減、連日連夜現れるノイズさん達に辟易とする。
「八幡、こっちの方、まだ避難が間に合って無いって」
小日向は結局、自分もサポートとして参加する道を選んだ。
最初は難色を示されたんだが、俺が面倒を見る事を条件に押しきられた。
自分の社畜根性が憎い。
「今日のは初めて見るタイプのノイズらしいからな、何が起きるかわからん。注意しろよ」
そう、映像を見たが、何かブドウみたいな見た目のノイズだ。
そんな話をしていると、立花がいる地点から爆炎が上がる。
「響!!!」
「バカ!!お前が行って何が出来るんだよ!?」
走り出そうとする小日向を制止する。
ていうか、こいつの瞬発力やべーな…
さすが元陸上部って事…か?
司令とかと同じ人外の域に見えたけど気のせいだよね?
「でも!!響が!!!」
「…俺が行く。お前は本部に戻ってろ」
「………八幡。響をお願い」
完全に納得はして無さそうだが、仕方ない。
ノイズ戦でシンフォギアの無い人間が行ったところで邪魔にしかならない。
「へいへい」
場所は…あっちか。
小日向と別れ、走り出した、その時…
「見つけたぜぇ!融合症例第2号!」
何か悪の女幹部みたいな格好した痴女に襲われる。
「えぇ…何ですか?その格好?痴女?」
「う、うるせぇ!!あたしも着たくて着てる訳じゃねぇんだよ!!いいからあたしと来て貰う!」
そう言って、痴女に抱えられる。
小町。お兄ちゃんこの歳になって痴女に誘拐されちゃったよ…
みんな大好きクリスちゃん登場です。