ぼっちが人前で歌などハードルが高すぎる   作:祥和

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後編です。

中編、後編に切ったのにいつもより長めです。


幕間 聖夜の戦い・後編

安藤の質問で微妙な空気が流れる中、また人が少しずつ減っていく。

 

お前らさすがにもう気付いてるからやるならさっさとやってくんない?

早く終わらせてプリキ○ア見て癒されたいんだけど…

 

次は…雪音か…

 

こいつはすぐアウトになりそうだな…

 

「は、八幡!?」

 

「な…何だよ…?」

 

お前まで大きい声でビビらせてくんなよ…

 

「あ、あのさ…あたし、今まで色々とやらかしてきたけどさ…」

 

はぁ…お前ようやく自覚したのかよ…

まぁ、失敗を自覚するのはいい事だ。

自覚せず、放置した結果大惨事になる事もある。

ソースは俺。

中学校時代、優しくしてくれたと勘違いした女の子に手当たり次第告白したら、学校一の勘違い野郎扱いされていた。

断るだけじゃなくて、せめて駄目な理由も教えて欲しかったですまる。

 

「おい?聞いてんのか?」

 

おっといかんな…どうもこいつの前では過去の黒歴史を思い出してトリップしてしまう癖があるようだ。

やらかし方が似てるからか?

こいつも大概ぼっちだしな…

 

それに、一時期同居してたせいか、どうもこいつに対しては俺の心のぼっちガードが緩い気がする。

元々紙装甲?無いよりゃいいんだよ、無いよりゃ。

 

「でさ…改めて言うんだけどよ?あたしは八幡が好きだ」

 

何でそういちいちぼっちの紙装甲を蹂躙してくんの?

見ての通り紙装甲だからやめてくんない?

どこの階層守護者の吸血鬼だよ…

 

…言ってみてなんだが、一部分だけは似ても似つかんけど、銀髪だったり低身長だったり美少女だったり割と身体的共通点多いのな…

 

「八幡はさ?あたしの事好きか?」

 

ぼっちが答えにくい事平然と聞いてくるんじゃねぇよ…

 

「まぁ、少なくとも嫌いではねぇな…」

 

「そっか!へへっ、()()その答えで満足しといてやるよ!」

 

今はってどういう事ですかね?

べ、別にあんたの事好きだなんて言ってないんだからね?

だから俺のツンデレとか誰得だよ…

 

「っと、そろそろあたしの時間は終わりみてぇだな、じゃあ八幡、最後に一つお願いしてもいいか?」

 

こいつの要求とか嫌な予感しかしねぇんだけど…

 

「…俺に出来る事ならな?」

 

「じゃあさ…頭撫でてくれよ?あいつらみたいにさ…」

 

え?そんな事?もっと酷い事要求されると思って拒否する気満々だったわ…

逆に何か裏がありそうで怖いんだけど…いや、まぁ、それくらいなら…

 

俺は雪音の頭を撫でる。

 

「へへっ、何か『幸せ』って感じだな!こ、これからもたまにやってくれると、う、嬉しい…」

 

何だ?こいつどうしたんだ?

こいつほんとにいつも嫁だ何だほざいてた雪音か?

 

「ぐはっ」

 

あ、雪音のギャップに小町がやられたわ。

こいつら相手に監督役不在とか危険なんで、お開きになんない?

小日向?むしろ誰かがあいつを取り締まってくれよ…

 

「ま…まぁ気が向いたらな」

 

「じゃあ向かせるように努力するからよ?見ててくれよな?」

 

そう言って雪音との時間は終わりとなった。

正直ドキドキしっ放しだったんだが、あれはアウトになんないの?

相手が雪音なので、小日向や小町が甘く見てる可能性はあるが、まったく基準がわからん…

 

***

 

後2人か…しかしめんどくさいのが残ったな…

 

小日向の監視がフル稼働するであろう立花と俺の最新の黒歴史を知るマリアさんか…

…どっちも全裸中継ズじゃねぇか…

 

い、いかん、思い出したら意識しちゃいそうだ…

 

まずは…マリアさんからか…

 

「………」

 

…なんかドヤ顔で座ってるけどまったく会話が無い。

これほっといても大丈夫なやつかな?

今のうちにチキンでも食っとこう。

 

「ちょっと!?何か話す事無いの!?」

 

あ、俺が無視してるって気付きやがった。

めんどくせえな…

 

「いや、俺からは特に…」

 

「もう!もう!何なのよ、あなたは!?」

 

いや、ただのぼっちだよ…

 

「デートしても全然会話が無いし人の裸見といてこれといってリアクションも無いし何なのよ!?」

 

「い、いや…そんな事言われても…」

 

裸にリアクションとかぼっちに求める対応じゃねぇよ…

後、この前のあれってデートだったの?

車で連れ回されただけだと思ってたわ…

 

「こ、これでもプロポーションには自信あるのよ?」

 

そんな事を頬を染めながら言ってくる。

いや、確かにご立派ですけどそんなコメントしても俺がただの変態になるだけじゃねぇか…

 

しかし、裸にコメントが欲しいとかも割と変態っぽいんだが…

もしかして露出狂?

 

「な、何よ…その目は?」

 

やべっ、思わず可哀想な物を見る目で見てたわ…

俺にそんな目で見られるとか屈辱以外の何でもないだろう。

 

「いや、俺のこの目はデフォっすよ…」

 

「そ、そう…」

 

静寂が再び訪れる。

まぁ、年上なんだが風鳴先輩と違ってこの人はお互いのポンコツ具合を知ってるせいか、割と距離が近い気がする。

風鳴先輩は俺に対して好意的でもなんでもなかったってわかっちゃったしな…

べ、別に悲しくなんてないからな?

むしろ勘違いする前に気付いて良かったまである。

 

「そ、それで私に対して何かしたい事とか無いのかしら?」

 

何かよくわからん抽象的な事を言ってくる。

 

(無茶苦茶にしたいとか言っちゃえばいいと思いますよ?)

 

何かまた謎の声が聞こえるんだけど…

しかも今度はまったく聞いた事無い声だし、内容が過激過ぎるんだが…あんた誰?

 

(私はあなたの義妹ですよ?)

 

俺の妹は小町だけだっつうの…

しかも今妹のニュアンスがちょっとおかしくなかった?

 

(ここで既成事実を作っちゃえばマリア姉さんの勝ち確なのに…あなたもしかしてヘタレですか?)

 

失礼な奴だな…ほぼ初対面?の相手にヘタレとか言うなよ…

いや、間違ってないけどね?

 

「ちょっと!?聞いてるの!?もう時間無くなっちゃうじゃないの!?」

 

あ、謎の声の相手してたらこっち放置してたわ…

 

(それじゃあ、また暇な時にお話しましょ、お義兄さん?ちなみにマリア姉さんは未経験だから優しくしてあげてね?)

 

いや、そんな情報聞いてねぇよ…

後、やっぱお兄さんのニュアンスがおかしい。

 

「あぁ、えっと…マリアさんって妹いましたよね?」

 

「え?えぇ…亡くなってしまったけどね…セレナがどうかしたの?」

 

「そいつ、むっつりなんで、もし声が聞こえたら叱ってください」

 

「え?え?何で急にセレナが?確かにあの時セレナの声は聞こえたけど…ってむっつりって何よ!?」

 

そんな話をして、時間が過ぎていった。

マリアさんは最後まで納得いかない顔をしていた。

 

「何で私だけこうなるのよ!?こんな事ってあり得ないわ!?」

 

知らねぇよ…

むしろぼっちに全投げして、何でうまくいくと思ったんだよ…

 

***

 

ようやく最後か…しかし、最後が一番危険なのは言うまでもない。

立花が下手な事をして、俺が防げなかった場合、この風景のどこかに潜んでいる小日向に俺が刺されるだろう。

可能性があるとか生温い予想ではなく、確実にそうなる。

別に自分の命にさほど価値があるとも思ってないが、だからといって死にたい訳でもない。

死ななくていいなら、それに越した事は無いのだ。

 

そんなこんなでいよいよ立花と二人きりになる…

 

「ハチく…」

 

「響?アウトだよ?」

 

「うぇぇ!?私、()()何もしてないよ!?」

 

まだって何かするつもりだったのかよ…危ねぇ奴だな…

しかし、立花には気の毒ではあるが小日向の行動はグッジョブと言える。

少なくとも一つの命は守られたのだ。

いかに俺が警戒していようと、立花が本気になったら俺に防ぐ術は無いのだ…悲しい事に。

 

「納得いかない!私、まだ何もしてない!」

 

「響、聞き分けの無い事言わないの」

 

おや?何か雲行きが怪しくねぇか?

 

「みんなだって自分の想いをハチ君に伝えてるんだ…だから!」

 

「響?」

 

「まだ歌えるっ!」

 

「頑張れるっ!!」

 

「戦えるっ!!!」

 

おい!?何だよ、そのアラサー退治しそうなフレーズ…今日はアラサー何か用事あるとかで司令んとこ行ったからいないよ?

 

「私は響を戦わせたくないの!」

 

「ありがとう…だけど私、戦うよ!」

 

ちょ!?待て待て待て!

ここ俺の家だっつうの!

 

どうする?

ああなった立花は絶対に止まらん。

なら、必然的に止めるのであれば、小日向の方だ。

しかし、小日向の方もどうすれば止まるんだ?

こいつもこいつで理由が立花の事なので生半可な事では止まらんだろう。

愛が愛を重すぎるって理解を拒んじゃう奴なのだ…

え?こいつこそがガン○ムだったの?

どっちかというと雪音の方がガン○ムっぽいんだけど…

って、そんな事言ってる場合じゃねぇな…

 

小日向を止めるには…

はぁ、仕方ねぇ…あんま使いたくないんだが…

俺は心を無にする。

 

「ちょっと待て」

 

「何?八幡でも邪魔するなら…」

 

「小日向…好きです。付き合ってください」

 

ぼっち奥義、振られてその場を有耶無耶にするである。

文字通り、振られる前提の技なので、俺くらいのプロぼっちでないと負荷に耐えられない危険な技だ。

 

これで止まってくれれば…

ん?何か静かだな…

恐る恐る顔を上げると、茹でダコみたいに赤くなっている小日向と今にも泣きそうな立花の姿が見えた。

 

え?自分でやっといて何だが、何この状況?

小日向が俺を振って終わりじゃねぇの?

何でこいつさっきから「へっ!?はっ!?ほぁっ!?」とかわけわからん事叫んでんの?怪鳥?

 

「お兄ちゃん…それはいくらなんでも悪手過ぎるよ…」

 

え?小町?ナンデ?

よく見たら隠れて見てたらしい板場達と小町以外の装者全員がお通夜みたいになっている。

 

何が起きてんの?誰か説明してくんない?

 

「お兄ちゃんは人の気持ち考えなさすぎ!」

 

(さすがにあれはねぇわ)

 

(ちょっと引きますねー)

 

小町と、割とはっきり聞こえる亡霊?の声にダメ出しされる。

いや、こいつらの事を考えた最善があれなんだが…

 

「はぁ…小町が説明してくるから」

 

「お…おぅ」

 

***

 

数分後、小町達が帰ってくる。

あれ?小町以外の顔が全員般若みたいなんですけど見間違いだよね?

 

「とりあえず、みんなへのお詫びに未来さん以外と2日ずつデートしてもらう事になったから」

 

小町が決定事項を言う。

え?こいつら相手って6人いるよね?

俺の冬休みは?

 

「そんな物無くなったよ?後未来さんからはおしおき体験コースだって?良かったね?ごみぃちゃん?」

 

ちょっと待て!?おしおきって月読が俺みたいな目になったあれだよね?

 

「じゃあ八幡?覚悟してね?」

 

「ちょっと待…」

 

無情にも俺の声は誰にも届かず、おしおき部屋と化した俺の部屋のドアが閉まるのであった…

 

その後の事はまったく記憶に無いが、小日向に対する恐怖は一層根強く植え付けられたとだけ言っておく。




という訳で、無事?八幡の冬休みはキンクリされました(笑)

一番みんなが狙ってた大晦日、元旦は目の前でやられたビッキーが独占したとか何とか。

次の幕間はバレンタインまで飛びます。
バレンタイン、ホワイトデーを書いたらGXのストーリーを本格的に考えると思います。

間に番外ネタが固まったら番外書くと思います(笑)

グレ響ものがもうちょっとしたらイメージ固まるかもです。
XD時空なんで割と何でもありでいくと思います(笑)

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