前回のあとがきで書いたグレ響ものと言いつつ、よくわからないお話です(笑)
本日は休日。
久しぶりに学校も仕事も無い日である。
こんな日は一歩も外を出ずに家でゴロゴロしたいのだが…
「八幡、次はあっち」
「アタシはコアラが見たいデス!!」
ちみっ子達に連行され、動物園に来ている。
はぁ、割と仕事が忙しいお父さんが休日に子どもに引っ張り回される気分だわ…
「あ、あの鳥八幡に似てる」
月読がハシビロコウを指さし、そう呟く。
いや、さすがに俺でもあんなに目付き悪くないと思うよ?
…悪くないよね?
「あれ?あんな所に響さんがいるデスよ」
暁が指差す。
その先には、茶髪の癖っ毛に特徴的なアホ毛でグレーのパーカーを着た知り合いによく似た少女がパンダを見ていた。
「いや、立花はあんなやさぐれた雰囲気出してねぇし、あんなアホ毛無いだろ…他人のそら似だろ」
「うん…確かに似てるけど、別人だと思う」
「そうデスかねぇ…?確かに響さんとはちょっと雰囲気が違うんデスけど…」
「そもそも立花なら
そう、あの少女が立花響なら、確実にアイツが隣にいるはずなのだ。
このような観光やデートを目的とした場所であれば尚更だ。
その時点で別人であると断言できる。
「それもそうデスね…アタシの勘違いみたいデス」
「八幡、次はライオンが見たい」
へいへい…
***
ちみっ子達に一日中引っ張り回され、ヘトヘトになりながら帰路につく。
ほんと、あいつら体力有り余ってやがるな…
訓練もうちょい増やしてもらうように司令に進言しとこう。
ん?気が付けばあの時の立花によく似た少女が目の前にいる。
この辺に住んでるのか?
間違って声掛けたりしないように気を付けないとな。
いや、そもそも俺が知り合い見かけて声掛けるとかキャラじゃねぇな…無用な心配だった。
「やっと一人になった。パ…じゃなかった、比企谷八幡さん」
少女が声を掛けてくる。
ん?こいつやっぱり立花の関係者か?従姉妹とか?
でも、何で俺の事知ってんの?
「私はひ…じゃなくて、立花ヒカル。並行世界からこっちに来たの」
…どうやらこいつは見た目に反して電波MAXのやべーやつみたいだ。
並行世界とか俺はもう卒業したんだよ!
くっ、鎮まれ俺の右手!
それに、言い淀んだ所を見て、名前も偽名っぽいしな…
「とりあえず来て」
…もしかしてこれ、また拐われるパターンじゃねぇだろうな…
***
立花ヒカルと名乗る少女に連れられ、とある公園の一角に着く。
え?何これ?こんな光るアトラクションこの公園にあったか?
「これが完全聖遺物ギャラルホルンが作った並行世界を繋ぐゲート。通れるのは、シンフォギア装者だけ」
シンフォギア?何でこいつがそんな秘匿情報まで知ってんだ?
え?ちょっと待て?て事は…
~Balwisyall Nescell gungnir tron~
立花ヒカルが聖詠を口にする。
…そこには、立花響と全く同じガングニールを身に纏う少女の姿があった。
「信じてもらうにはこれが一番手っ取り早いからね」
「…はぁ、わーったよ、んで?何が目的なんだ?」
「……………」
沈黙が訪れる。
ん?こいつ今何か理由を必死で考えてないか?
立花達に言い寄られた時に言い訳を考える俺によく似ている。
何となく他人な感じがしねぇんだけど…
「……特に?」
あ、諦めやがった…
はぁ、ほんと何しに来たんだよ…
「あ、強いて言えば、今日泊めて欲しいかな?」
いきなりこいつ何言ってんの?
初対面の女子泊めれるならぼっちなんてやってねぇよ?
「いや、金ならやるから…」
「いいじゃん、行こ?こっちでしょ?」
…強引な所は立花に似てやがるな…
てか何で俺の家知ってんだよ?
はぁ、小町に何て説明すりゃいいんだよ…
***
「へー、ヒカルちゃんは並行世界の未来から来たんだね?」
「そうそう、小町お…じゃなかった、小町さん」
すっかり打ち解けてやがる…
こいつ、見た目はやさぐれてるが、話すと普通の奴みたいだ。
どうやら、こいつは今の時間軸から20年後の並行世界から来たらしい。
年齢的に見ても、立花の親類と見ていいだろう。
…しかし、名字を言い淀んだり、俺や小町の事を別の呼び名で呼ぼうとするし、何よりあのアホ毛…こいつ、もしかして…
「なぁ?」
「?どうしたの?パ…八幡さん」
「お前、もしかして俺の娘じゃねぇだろうな?」
立花ヒカルがフリーズする。
「なななな何いい言ってるのかな!?ち、ちょっと…わわわからないな」
動揺しすぎだろ…
嘘が下手過ぎるのは、あいつによく似ている。
まさか並行世界ではあいつと結婚してるとはな…
…ん?ちょっと待て?小日向はどうしたんだ?
「…はぁ、そうデス。私は比企谷ヒカル。父親の名前は比企谷八幡、母親の名前は比企谷…旧姓立花響デス…」
ヒカルが観念して白状する。
語尾は暁に毒されてやがるな…
あいつは20年後もデスデス言ってんのか…
「でも、パパってこっちだと全然キャラが違うからビックリしちゃった」
え?そうなの?どの時空でもぼっちかと思ってたんだけど…
「全然?むしろ真逆に近いかな?目はキラキラしてるし、口を開けばポジティブな事だし、曲がった事が大嫌いな人だよ?」
…誰だよ、そいつ?
絶対同一人物じゃねぇわ…
「こっちのパパはママっぽくて、私的には気が合うかな?」
ん?立花もキャラ違うの?
「うん、こっちがどうかは知らないけど、基本的にめんどくさがりで、他の人と関わりたくないって感じかな?」
そいつも誰?ていうか、そいつらどうやって結婚したの?
「ママが恥ずかしがるからあんまり教えてくれないんだけど、パパが押せ押せで行ったらしいよ?」
うん、全くの別人みたいで安心した。
こっちとは真逆みたいだから同じ事は起きないだろう。
ん?真逆?…まさかな…
「で?お前はほんとに何しに来たんだ?」
「…いやぁ、ちょっとママと喧嘩しちゃって…」
やっぱりか…しかし並行世界まで家出するとかどんだけだよ…
「パパもママももう装者じゃ無いからこっちに来れないしね?」
こいつ…国家機密をそんな私情で使うなよ…
「それで…もうしばらく…」
「ギャラルホルンが起動しているから、まさかとは思ったが…」
いきなり風鳴先輩によく似た少女が乱入してくる。
「お姉ちゃん!?」
「ヒカル、帰るぞ!母上も心配している」
ん?お姉ちゃんに母上?どういう事だ?
この人はどう見ても風鳴先輩の娘っぽいんだが…
「ちょ、ちょっと待ってよ…私はまだ…」
「話はベッドで聞かせてもらう」
あ、確実に風鳴先輩の娘だわ。
…でも、お姉ちゃんって…まさかな?
「あんたは?」
「む?挨拶が遅れて済まない。私は比企谷葵、このヒカルの姉だ…ってまさか父上!?いや、しかし…」
どうやら並行世界の俺の娘で決定らしい…
こっから先はあんまり聞きたくないんだけど…
「あ、言い忘れてたけど、私、ママが8人、兄弟が7人いるから」
聞きたくなかったよ!?
どんだけ最低野郎だよ、そいつ…
「あぁ、こっちのパパなら絶対そう言うと思って言わなかったんだけど…」
どうやら気遣いは出来る奴らしい。
しかし、17人家族って…
「父上の重婚については、八紘お爺ちゃんが無理やり何とかしたとか…」
ん?誰?まぁ、お爺ちゃんって事は誰かの父親なのだろう。
「では迷惑を掛けたな!父上、オタッシャデ!」
そう言って、嵐は去って行った…
立花と結婚してるのに小日向はどうしたのかと思ったが、嫌な形で謎が解けてしまった…
しかし、あくまでも並行世界の話なので、今の俺には関係の無い話だ。
…俺みたいな立花とか全然想像が付かねぇしな。
***
週が明けて月曜日。
1週間で一番憂鬱な曜日である。
ちみっ子達に連れ回されたり、並行世界の娘に引っかき回されたりした為、全く疲れが取れていない。
休みたい衝動に駆られるが、ぼっちが休むと授業についていけなくなるので却下である。
しかし、休みたい…
くっ、この衝動に塗り潰されてなるものか!
そんな事を考えながら登校していると、後ろからいつもの声に呼び止められる。
「ハチ君!一緒に行こ?」
「チッ、響と二人きりだったのに…」
立花も小日向もいつも通りだ。
あんな並行世界がある事を知ってしまったせいか、小日向には是非ブレないでいて欲しいと思う今日この頃だ。
「それでね?お好み焼き食べようと思ったらソースがドバーって出ちゃって」
立花は若干アホっぽいが、やはりいつも通り底抜けに明るい。
こいつがこうでない世界などやはり想像が付かない。
「ところで響?昨日は夜遅くまでどこに行ってたの?」
おっと、浮気の疑いですか?小日向さん?
「いやぁ、ちょっと…人助けで…」
怪しい、怪しいですよ?小日向さん?
「…ちなみにね?八幡?昨日の夕方、八幡が響によく似た女の子を家に連れ込んだって目撃情報があるんだ?」
アイエエエ!?ナンデ!?ナンデオレ!?
「え?そうなの!?ハチ君、どういう事かな?」
立花さん?またハイライトさんがお留守ですよ?
「い、いや、ただの知り合いが小町に会いたいって言うから連れてっただけだ」
並行世界の事言うのはアレだしな…
特に小日向に向こうの事を知られたら命が危ない。
「そうなんだ?でも、もしそういう事したかったら私に言ってくれればいつでも…」
立花がモジモジしながら言う。
立花さん、火にガソリンぶっかけるのはやめようね?
「八幡?おしおきだね?」
小日向が迫ってくる。
理不尽過ぎるだろ…
結局、向こうの事を話さずに誤解など解ける訳もなく、何度目になるかわからん小日向のおしおきを受けるのであった…
という訳で番外でした。
グレ響物と言いつつ、本人はまったく出ないという…
あっちの響がグレ響なら八幡は?と考えたら真逆じゃなきゃおかしいよね?って所から生まれたお話です。
正史ビッキーみたいな八幡ならヒロイン全攻略してそうなのでこんなお話になりました(笑)