ぼっちが人前で歌などハードルが高すぎる   作:祥和

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幕間です。

G終わりからGXまで割と劇中期間が長いので幕間多めですね…


幕間 戦姫達のバレンタイン

バレンタインデー。

 

ぼっちにとってその日は最も忌むべき日である。

お菓子メーカーの戦略という事実から目を背け、リア充共は自身が貰った個数を自慢し、比較する実に下らないイベントである。

 

敢えて言おう、数ではなく質であると。

 

世界一可愛い小町の1個はお前達の100個に匹敵すると。

むしろ、小町の1個さえあれば、他に貰う必要など無いとさえ言える。

 

とはいえ、俺も毎年小町だけという訳でもない。

去年は立花と小日向から貰ったし、クラスメイトの綾野さん?だったかからも貰っているのだ。

つまり、実質103個貰っていると言っていいだろう。

しかし、男女比率1:100の学校で1個という奇跡の数字を叩き出すあたり、やはり俺のぼっち力は凄まじいの一言に尽きる。

隣のクラスのイケメンはほぼ学年全員から貰ったらしいがな…

 

結論を言おう、何だかんだ言ったが、やはり欲しい物は欲しい。

…俺だって健全な男子高校生なんだし仕方ないよね?

 

***

 

朝、受験生である小町からは今年は貰えないという事が確定したが、ぼっちにとって1が0になる事など誤差でしかない。

なのでまったく問題は無い。

 

学校に着く。

訓練されたぼっちである俺にとって、ここで上履き入れにチョコレートが入っているかドキドキするなんて希望は持たない。

上履きを入れる場所なのだから他の物が入っている方がおかしいのだ。

 

無い、当然である。

当然なのだから俺の心はこれっぽっちも動じない。

 

教室に入り机の中を執拗に確認するなんて事もしない。

普通に誰かに見られたら黒歴史確定である。

紳士たるぼっちはさりげなく無い事を確認するだけだ。

やはり無い。当然の結果なので、問題無い。

 

昼休み、ベストプレイスで1人昼食を摂る。

雪音は今日は風鳴先輩と約束があるようだ。

いまだ誰からも貰っていない事に焦ったりはしない。

当然、そのまま午後の授業開始である。

当然なのだから、何一つ動じる要素が無い。

 

午後の授業も終わり放課後。

今日は仕事がある為、速やかに帰り支度を済ませる。

と、その時、帰り際に板場達に呼び止められる。

 

「あ、ガヤハチ先輩やっと見つけた」

 

「先輩割とアニメの忍者みたいに居場所わかんないよね?」

 

「気配を感じさせないステルス性、ナイスです!」

 

お前らな…

やっぱり寺島は褒めてんのか貶してんのかどっちかわかんねぇな…

 

「これ、私達からバレンタインデー」

 

そう言って、綺麗に包まれたチョコレートを貰う。

お前らいい奴だったんだな…

お前らがいい奴だと末代まで語り継いでやろう。

…そもそも結婚出来る気がしねぇから、俺が末代である可能性が高いがな。

 

しかしこれで0では無くなったな。

ぼっちでも割と貰えるもんなんだな…

 

***

 

本部に着くと、やたらとピリピリした空気が流れていた。

あぁ、藤…藤…藤なんとかさんか…

あの様子だと…お察しである。

 

まぁ、俺もたいして変わらんのだが…何だろう?

0じゃないというだけで気が楽だわ。

 

「比企谷君、はい、あったかいものどうぞ」

 

友里さんから、ホットチョコレートを貰う。

 

「はぁ、あったかいものどうも」

 

「今日はバレンタインだからね?」

 

なかなかに気の効いた渡し方だ。

仕事中に頂けるし、持ち帰りなどの荷物にもならない。

これが大人の気遣いなのだろう。

 

「君は持って帰るのが大変そうだからね?」

 

?一体何の事だろう?

 

「あの娘達、今年は気合い入れてると思うわよ?」

 

…いや、一部はさておき、他は義理だろう。

小日向なんて去年コンビニチョコだぞ?

立花は…とてつもなく固かったとだけ言っておく…

あいつが作った物は高確率で固くなるようだ。

トランセルかよ…

 

ていうか、何貰える前提になってんだよ…

藤なんとかさんがこちらを睨みながら「リア充爆発しろ!」と言っているのを眺めながら、ぼっちの戒めを再度心に刻む事にした。

 

裏切られてがっかりするくらいなら、最初から期待などしなければ良いのだ。

そうしておけば、俺の心も痛まないし、相手も余計な気遣いをしなくて良い。

WIN-WINの関係だ。

何度も戒めてきたはずなのに、どうも最近すぐに忘れてしまうようだ。

この年で痴呆とか洒落にならんのだけど…

 

あ、そういや藤尭さんだった。

 

***

 

仕事が終わり、帰路に着く。

あいつらは訓練が終わるとそそくさと帰って行った。

ほらな?そんなもんなんだよ。

ぼっちが調子に乗って期待するのが間違いなのだ。

 

「たでぇま」

 

「おかえりなさい、あなた。ご飯にする?お風呂にする?それとも、剣?」

 

…予想外の出来事にフリーズしてしまう。

風鳴先輩、エプロン姿似合うな…料理全然出来ねぇのに…結婚したい。

って、いやいやいや…

 

「そ…その…な、何か言ってくれないと私としても困るのだが…」

 

「…いや、何やってんすか?」

 

「ふふん、この日は抜け駆けしようとする輩がいるかも知れんからな?事前に皆で結託したのだ」

 

ん?一体何を言ってんだ?

 

「おい!出迎えに何チンタラやってやがんだよ!?」

 

「ちょっとじゃんけんで勝ったからって調子に乗るなデス!」

 

奥から雪音と暁の声が聞こえる。

 

「吠えるな!カッコいいチョキに負けたのはお前達だろう!?」

 

え?カッコいいチョキって何?

無茶苦茶気になるんだけど…

 

「八幡?」

 

うぉ!?ビックリした…小日向か…

え?お前何でいんの?

あ、わかったから言わなくてもいいわ。

奥にあいつもいるらしい。

 

「はい、義理だよ?」

 

そう言って、有名店の物と思われるチョコレートを渡してくる。

いや、義理とかわかってるからね?

あれ?そういや今年はコンビニチョコじゃねぇの?

 

「きょ、去年は響と一緒に作ったから…って何でもない!」

 

ほーん、立花と一緒という事はあのげんこつ飴か…

つまり、あのコンビニチョコはこいつなりの気遣いだったという訳か…

立花のあれ…一時間口の中で溶けなかった時はほんとどうしようかと思ったが…

 

「別にわざわざ俺に気を遣う必要ねぇんだぞ?」

 

原価を安くあげようと思って手作りしたのに、結局購入していては割に合わんだろう。

 

「むぅ、やっぱり八幡は全然わかってない!」

 

そう言って何故かむくれてしまう。

俺なんか変な事言ったか?解せぬ。

 

「さぁ、そんな所に立ってないで入れ」

 

風鳴先輩に背を押される。

いや、ここ俺ん家だからね?

 

「あ、やっと入ってきたデス!」

 

「遅ぇぞ!何やってたんだよ?」

 

「待ちくたびれた」

 

「あぁっ!ついに来ちゃったわ!ドキドキしてきた!立花響、どうしましょう!?私どうしたらいいの!?セレナ!私に力を!!」

 

「マリアさん!落ち着いてください!あーもう、うろたえるなっ!!」

 

「はっ!私は一体…」

 

部屋の中には、立花、雪音、月読、暁、マリアさんがいた。

…てか最年長(笑)何やってんの?

 

(色々拗らせちゃってるみたいで…でも大丈夫です!チョコ貰ったら、チョコと一緒にお前も欲しいって言っちゃえばイチコロですよ?お義兄さん?)

 

またむっつり亡霊が声を掛けてくる。

お前何なの?暇なの?何が大丈夫なの?

後、やっぱりお兄さんのニュアンスがおかしい。

 

「八幡、本命」

 

むっつり亡霊の相手をして油断していたら月読がチョコを渡してくる。

え?今何て?

 

「私と一緒に召し上がれ?」

 

「ちょ!?調!?抜け駆けは無しって話だったはずデスよ!?」

 

「はっ、ついうっかり、てへぺろ」

 

どう見ても嘘くさい反省に全員の視線がこちらに集まる。

ちょっと皆さん?目がちょっと怖いですよ?

何で獲物を見つけた肉食獣みたいな目になってるんですかね?

 

「八幡!あたしのも勿論本命だ!」

 

「比企谷!ほ…本命だから…」

 

「アタシも本命デス!」

 

「当然私も本命よ?決まっているでしょう?」

 

「ハチ君!私も本命だから!」

 

「響は渡さない!」

 

そう言ってもみくちゃにされる…

おい!今尻触った奴誰だ!?普通にセクハラだぞ!?

正直、こいつらが何言ってるかは雪音と小日向以外まともに聞こえなかった。

てか小日向まで何やってやがんだよ…

 

やはりぼっちがバレンタインに期待するなど間違っている。




次はホワイトデーになる予定です。

防人の卒業も書きたい気持ちはあるのですが、原作でまったく触れられてない話なので、まとまるかどうか怪しいです…
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