例のホワイトデーのお話考えるのを妨害したもう1つです。
目が覚めるとそこは見知った自分の部屋の天井…ではなかったがこの天井はよく知っている。
「あ、ハチ君起きた?」
どうやら、また目の前の少女に拉致されたらしい。
「お前…またかよ…薬使うのやめてくんない?」
慣れとは恐ろしいものである。
そう、この状況は一度や二度では無いのだ…
とはいえ、薬で眠らされている間なので自信は無いのだが、俺はおそらくまだ未経験のはずだ。
さしものヤンデレでも、貞操観念はしっかりしているらしい。
「だって…せっかく誘ったのに断られちゃったらどうしていいかわかんないし…」
言っている事は恋する少女なのだが、行動がヤバすぎる。
黙ってたら美少女なのにな…
「いや、先約が無い限りお前優先するから」
「でもその先約が女だったら…私、自分を抑えれる自信が無いよ!」
怖えぇよ…後、怖い。
頼むからハイライトさん仕事してください。
一体何するつもりだよ…
「で?今日は何の用だ?」
「愛する人と一緒にいたいって理由じゃダメ?」
こんな事を平然と言ってくるのである。
「だから何度も言ってるが、お前のは一時の気の…迷…い」
立花の目からハイライトさんが完全にいなくなる。
どうやら
「は?何でそんな事言うのかな?」
「い…いや落ち着け?立花?」
「ダメだよ?ハチ君?いつもみたいに響って呼んでくれなきゃ…」
いや、いつもも何も一度も呼んだ事無いのだが…
「いけない事言うのはこの口かなぁ?」
立花に頬を掴まれる。
何か考えろ…いつもの事だがまた命の危機だ…
「そんな口は塞いじゃわないとね?」
立花が顔を近付けてくる。
端から見ると美少女に迫られている爆発しろな状況なんだが、こいつと既成事実が出来てしまうと色々と人生詰みな気がする…
とか何とか考えているうちに立花の顔が至近距離まで来ていた。
ヤバいヤバいヤバい…
「響?八幡困ってるから落ち着こうね?」
「未来ぅ。だってハチ君が…」
「響が八幡を好きなのはわかったけど、自分の気持ちを押し付けるだけじゃダメだよ?」
どうやら助かったようである。
小日向にはこういった危機的状況から何度も助けて貰っており、もはや足を向けて寝れない存在になっている。
「悪ぃ、助かった」
「八幡も不用意な発言は避けた方がいいよ?」
立花に聞こえないように小日向に礼を言う。
こいつがいなかったら、今ごろパパになってたかもしれん。
…自分で言っといて何だが洒落になんねぇな…
***
小日向の助力もあり、ようやく立花から解放される。
何も用無いのに薬使うのはマジでやめて欲しい。
帰り道、見知った顔を見かけ思わず身を隠す。
今日は間違いなく厄日に違いない。
「何隠れてんだよ?」
しかし、身を隠すのが遅すぎたらしく、ヤバい奴その2に見つかってしまう。
「いや、隠れた訳じゃねぇぞ?だから落ち着け、な?雪音?」
「隠れるって事ぁやましい事があるって事だよな?」
そう言って雪音に壁ドンの体制を取られる。
何故こいつらはこうも人の話を聞かないのだろうか?
「女の匂いがする…この匂いはまたあのバカだな?」
お前は犬かよ…
人の匂いを嗅ぐのやめてくんない?
「あぁ…また薬でな?だから落ち着い…て…」
みるみる雪音の目からハイライトが消えていく…
頼むから仕事してくんない?
「また?またと言ったか?あたしという者がありながら隙だらけなのがいけねぇんじゃねぇか?」
前半は意味わからんが後半はごもっともだ。
だが、一言言わせて貰うなら、極論を言うとお前ら相手に警戒しても、まったく意味を成さないという事である。
今回、最後に意識があるのはマッ缶を飲んでいた所までだ。
誰が自分のマッ缶に睡眠薬が仕込まれていると気付けるだろうか?
しかし、気付いたとしても、立花が本気になれば、俺に身を守る術が無い為、薬で連行が強制連行に変わるだけなのだ。
「いや、お前ら本気になれば、俺なんて何しても隙だらけだろ…」
「屁理屈言ってんじゃねぇよ」
そう言って雪音に胸ぐらを掴まれる。
あ、これヤバい奴だわ…
「決めた。八幡はこれからあたしの家で生活して貰う。あたしの家から出なけりゃ隙だらけでも関係ねぇよな?」
冗談にしか聞こえないが、目がマジである。
「あたしの家で愛するあたしだけを見てりゃいいんだ。最高だろ?」
いや、同意求められても…
とりあえず、また人生が詰む危機に立たされているらしい。
何か考えねぇとまずいんだが、悲しい事に何を言っても機嫌を損ねて強制連行される未来しか見えない。
「そこまでだ」
この声は…
「立花といい、雪音といい、黙って聞いていれば…何故比企谷の言う事を聞かないんだ?」
普通なら助けと思うだろう。
しかしこれはヤバい奴その3、風鳴先輩の登場である。
ていうか、黙って聞いていればって立花の時何処で聞いてたの?
「んだよ、あたしと八幡の間を邪魔立てするつもりか?」
って事はどっかに…
「邪魔も何も比企谷の心は最初から私の物だろう?」
鞄か?いやいや、鞄は念入りに確認したからな…
「ほたえてんじゃねぇぞ!てめえ!!」
あった、制服の内ポケットに盗聴器が入っていた。
だんだん手口が巧妙になってきてんな…
「昨日も154回目が合ったし、比企谷の事で私に知らない事は無いぞ?」
カメラもあんのか…
はぁ…また家ん中調べねぇとな…
「うらやま…じゃねぇ!普通に犯罪じゃねぇか!とにかく、八幡はあたしの家で過ごすんだ!」
「私は比企谷を見守るのだ!それが…先輩と風を吹かせる者の果たすべき使命だ!」
言ってる事はもっともらしいけど、やってる事はただのストーキングだからね?
しかし、今にも取っ組み合いの喧嘩に発展しそうである。
これはフェードアウトするチャンスだろう。
イメージするのは常に最強の自分…
俺はぼっち特有のステルス性を発揮して、その場から離れようとするが…
「待て、比企谷何処に行くつもりだ?」
しかしまわりこまれてしまった…
アルェェ?ナンデ?ステルスヒッキーは何処に行ったの?
何?こいつら魔王だったの?
納得だが、エンカウント前に回復もセーブポイントも無かったよ?
何だよこのクソゲー…
あ、人生なんてクソゲーだったわ。
「あたしから逃げようたぁな…」
「仕置きが必要だな」
ハイライトさんが完全に仕事していない二人に迫られる。
今度こそヤバい。
「そうだな…私から逃げようとする足なんていらないんじゃないか?」
「奇遇だな?あたしもいらないと思ってたんだ」
「足がなくなって動けなくなっても、私が比企谷を手厚く介護してやろうではないか」
「それはあたしの役目だがな?」
「「まずは足、取っちゃおうか?」」
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい。
こいつらやると決めたら絶対やる奴らだ。
足ってそんなガンプラ感覚で取ったり着けたりできないからね?
「八幡!こっち!」
急に手を引かれる。
「あ!待ちやがれ!」
いや、足取られるのに待たねえだろ…
***
「ハァ…ハァ…危ない所だったね?八幡」
助けてくれた小日向が言う。
ほんとに足を向けて寝れない。
奴らはまだ周辺をうろうろしている為、とある工事現場の一角に身を隠している所だ。
「何処に行こうともこちらには発信器が…ってアレ?」
どうやらあの盗聴器は発信器の役割もあったらしい。
捨てといて正解だな…
「今回はマジで助かったわ…ありがとな、小日向」
「うん、八幡が気になったから様子を見に行ったらピンチだったみたいだから…」
こいつは天使か何かだろうか?
「今度また改めて礼するわ。いつも助けて貰ってるしな?」
「ほんとに!?でも…」
ん?どうしたんだ?
「お礼なら…八幡が欲しいかな?」
急にハンカチを押し当てられる。
アレ?これ…立花がよく使う…くす…り…
…
……
………
目が覚めた時、内装がピンク色のいかにもなホテルのベッドの上で、横で小日向が寝息を立てていた…
何もかもが手遅れであるらしい…
コヒナタス…お前もだったのか…
どうやら天使だと思っていた奴は堕天使だったらしい…
こうして、薬で眠らされたまま迎えた為、何も感覚が無かった初体験を悔しく思いつつ、ただただ絶望するのであった…
という訳で初期装者3人+393でした。
F.I.S.組はまた後日書きます。
GXはGW中には書き始める予定ですが、ちょっと微妙かも…です。