GX書いていきます。
第一話GX
今、天に問い掛ける願い―――
力とは何か?
答えはまだ見つからない。
一生掛かっても解る物では無いのかも知れない。
だけど――
あの日、あの時、あの人から確かに託されたのだ。
背負う覚悟など全く無く、肝心な時に何も出来ない愚か者ではあるが、それだけは確かなのだ。
奇跡とは呪いだ。
すがる者を皆取り殺す。
彼女が言った…
それについては否定しない。
奇跡などに頼るのでは無く、自分自身の手で掴み取ってこそ、俺が求めてやまない『本物』であるはずなのだから…
***
「安保理の規定範囲内で我々の国外活動、許可されました!」
「よぉし!お役所仕事に見せてやれ!藤尭ぁ!」
「軌道計算なんてとっくにですよ!」
発令所内で忙しなく言葉が飛び交う。
そう、今日は命懸けで世界を救ったナスターシャさんが地球に帰ってくる日になるはずだった。
しかし、国連調査団の機体が帰還時のエンジントラブルで着陸予定地点から大きく離れてしまっている。
このままでは不時着すらままならず、地球に帰るどころか、操縦士共々、木端微塵になってしまう。
それを何とかしたい一心で、俺達は国連に掛け合っていたのだが、ようやく許可が下りたようだ。
後は、あいつらに任せるしかない。
『へいき、へっちゃらです!』
『だから!』
『生きるのを諦めないで!!』
例のシンフォギアミサイルが打ち上げられ、中間点から雪音の放つミサイルに乗り換える。
ん?ミサイルに乗り換えるって何言ってるかって?
ミサイルは乗り物だろ?
サ○バツナ○ト=サンもやってたしな?
それに、今さらその程度で驚いていたら、あいつらとは付き合えないのである。
「装者達、シャトルに取り付きました」
後はうまい事減速して無事に着陸出来ればいいのだが…
「マムを…」
「お願いするデスよ」
月読と暁が手を握ってくる。
普段は気丈にしているが、こいつらもまだ小町と同い年なのだ。
不安や恐れが無い訳が無い。
いつもなら振り払うところなんだが…まぁ、気休めになるなら今くらいは構わんか…
ふと横を見ると行き場の無い手を出してフリーズしているマリアさんと目が合ってしまった…
どうやら、こいつらと同じで不安だったみたいなんだが…
…うん、見なかった事にしよう…
「ちょっと!?何も言われないのが一番クるんだけど!?」
せっかく優しさから見なかった事にしたのにうるせえな…
とりあえず、あいつらの方に集中しようぜ?
「K2への直撃コース、回避出来ません!」
マジか…これヤバいんじゃねぇの?
「せめて…操縦士だけでも…」
緒川さんが言う。
「そんな…それじゃマムが…」
「帰れないじゃないデスか…」
まぁ、
トリアージだったか?
どちらも助けるのが難しい時に行われる取捨選択。
残酷だが、最悪を回避する為に片方だけでも助けるというアレである。
尤も
『そいつぁ聞けねぇ相談だ』
『人命と等しく、人の尊厳は守らなければならない物!』
『ナスターシャ教授が世界を守ってくれたんですよ?なのに、帰ってこれないなんておかしいです!!』
な?そういう奴らなんだよ。
「どこまでも…」
「欲張りデスよ…」
ちみっ子達の握る手の力が強くなる。
最初は控えめだったから何も言わなかったけど、今のこれは所謂恋人繋ぎって奴じゃねぇの?
ちょっとぼっちにはハードル高いんで離してくんない?ダメ?
あ、マリアさんが何か言ってたけど聞いてなかったわ…
しかし、現実問題どうするつもりだ?
***
問い:山に直撃しそうです。どうしますか?
答え:山を壊します。
そう、雪音が楔を打ち込み、立花がぶん殴って山を破壊しやがったのだ…
これ…安保理の規定範囲?大丈夫?
司令が何も言ってないから大丈夫なんだよね?
「K2の標高、世界3位に下方修正」
藤…藤…藤なんとかさんが淡々と報告する。
うん、今その情報いるかな?
シャトルは山の斜面を滑り落ちて行く。
尚もシャトルは止まる気配が無いのだが…
今度は風鳴先輩がダイナミックに森林伐採しておられる…
防人というか裂き森である。
上手い事言ってる場合じゃねぇな…
これ…ほんとに規定範囲内なんですよね?
安保理…ガバガバ過ぎやしませんかね?
しかし、このまま麓までいければ良かったのだが、最悪な事に進行方向に村があったのだ。
建物にぶつかるだけでも最悪の事態に発展するだろう。
…と思ったのだが、立花がテ○ーマンの如くシャトルを受け止め、最後は投げ飛ばしたところで無事?シャトルは止まった。
だいぶ減速していたとはいえ、やっぱりあいつとんでもない奴だな…
絶対怒らせないようにしよう。
何はともあれ、これでナスターシャさんも帰ってこれた訳だ。
「やった」
「さすがデース!」
感極まってちみっ子達が抱き付いてくる。
いや、近い近い近い。
さすがにこれは無理と引き剥がしていると…
またもや行き場の無い手を宙に浮かせるマリアさんと目が合ってしまった…
あんたほんと何してんだよ…
***
4月…
俺と雪音は最上級生になってしまった。
つまり、風鳴先輩は卒業し、アーティスト活動に専念するとの事でロンドンに旅立っていった。
何故かしきりに同行を誘われたのだが、俺にも学業があるし、何より小町と長期間離れて生活など許容できないので断った。
まぁ、マリアさんもロンドンに行くらしいので、仲良くやってくれ。
ちなみにマリアさんにもドヤ顔で当然来るよね?みたいな事言われたが当然断った。
何で行くと思ったんだよ…
まぁともかく、去る者がいれば当然新しく訪れる者もいる訳で…
「八幡、小町、おはよう」
「二人ともおはようデース!」
ちみっ子達二人と小町が今年のリディアン音楽院の新入生である。
ちなみに多分S.O.N.G.の計らいの結果、同じクラスらしい。
「それで、今日だっけ?」
「デスデス!マリア達のコラボユニット復活デスよ!」
「皆で応援するから今日は八幡の家に集合」
女3人寄れば姦しいとは良く言った物である。
しかし月読さんや?何で当たり前のように俺ん家が寄合所みたいになってんの?
てかロンドンとの時差は確か8時間だから、向こうの開演が夕方として日本では深夜だよね?
何?俺何も聞いてないけど皆泊まんの?
一応家主俺のはずなんだけどなぁ…
急に来られても泊まるんじゃねぇぞ…とか言っちゃうよ?
希望の花咲かせちゃうよ?
ダメだ、これ俺が死んじゃう奴だわ。
なんだよ、結構当たんじゃねぇか…へへっ…
しかし、百歩譲って泊まるのは仕方ないとして、風呂とかどうするつもりなんですかね?
あいつらの入った後に入れとか言われたら悶絶死した後に変な性癖の扉開いちゃう自信あるよ?
それだけは何としてでも
だからこれダメな奴だっつうの…
***
湯船に浸かる。
どうやら板場達も参加するらしく、人数が多すぎるため、あいつらは銭湯に行った。
俺も誘われたのだが、ぼっちが大衆浴場など堪えれる訳が無いので、丁重に断った。
何故か雪音も残るとか言い出して、ちみっ子達や立花も残るとかなんとかギャーギャー騒いでいたが、全員漏れなく小日向に連れて行かれた。
黒い笑顔になったあいつに逆らえる勇者など誰もいないのである。
たとえ逆らっても、「おぉ勇者よ…死んでしまうとは情けない」が確定してるしな…
しかし、今でこそ独り静かに過ごせているが、この後騒がしくなるのが確定しているので、ちょっとぼっち力を高めておくか…
ん?独り静ってワードが何故か非常にしっくりくるし、誰か貰ってあげて!という謎の感想が浮かんで来たんだが、何故だろう?
…まぁ、いいか…
今はぼっちのイメトレの方が大事だ。
体は空気で出来ている。
血潮は水で心は硝子。
幾たびの戦場を越えて不戦敗。
ただの一度の戦いも無く、
当然のように勝利も無い。
担い手は常に独り、
孤独の丘でただ立ち尽くす。
故に生涯に意味は無く、
その体はきっと…空気だった。
よし、イメトレはバッチリだ。
後は持ち前のステルス性を存分に発揮するだけだろう。
「そんな心配は不必要なのです☆何故ならぁ…今からガリィちゃんに拐われちゃうからでーす☆」
は?
いきなり風呂場に痴女?が乱入してきたんだが…
ていうか拐われんの?また?しかも全裸で?
「オラ☆大人しくしろよ☆」
「やめてー!助けて小町!せめて服を着させて」
「てめえの粗末なモノに隠す程の価値なんてねぇよ☆てかそっちの方がマスターの反応が絶対面白いからそのまま来て貰うゾ☆」
さすがにこれは…という格好だったので必死で抵抗したんだが、抵抗虚しく全裸のまま連れ去られてしまうのであった…
わかった事はこいつの性格が最悪という事くらいだろう。
という訳で第一話でした。
恒例の誘拐です(笑)
全裸のまま連れ去られた八幡はどうなってしまうのでしょうか?(笑)