ぼっちが人前で歌などハードルが高すぎる   作:祥和

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お待たせしました。

ちょっと体調不良で寝込んでました。


第三話GX

「興が冷めた。お前を殺すのはやめておこう」

 

ちみっ子がそう言う。

何か知らんけど助かったらしい。

しかし、今現在、癇癪持ちの幼女が俺の命を握っているという事実に泣きたくなる。

 

「しかし、どうするか…ふむ、まぁ適正はあるか」

 

ん?何だ?

 

「お前にはオレの計画に協力して貰おうか」

 

「断る」

 

わかったとでも言うと思った?

残念、俺はノーと言える日本人なのだ。

ていうか、今までがおかしかっただけで、俺は働きたくないのだ。

それに、その計画とやらの最終目標がさっきアラサーが言ってた世界の破壊だとしたら、尚更である。

 

「断った代償がお前の命だとしてもか?」

 

ちみっ子が凄んでくる。

二言目には脅迫とか語彙力が残念な奴だな…

しかし、俺の答えは変わらん。

 

「その計画手伝ったら、最終的に死ぬんだから一緒じゃねぇか…脅迫にもなってねぇよ」

 

そう、俺に自殺願望など無い。

何が悲しくて自分が死ぬとわかってる事に手を貸さなきゃならんのだ。

 

「何故だ?お前…あそこまでの経験をしておいて、何故世界を憎んでいない!?こんな理不尽だらけの世界など、壊したいとは思わんのか?」

 

…どうやらこいつも過去に何かあったみたいだが…

ていうか、何で俺の経験知ってんの?

 

「ん?オレがさっきお前にやったのは、思い出の搾取だ。それで…その…お前の記憶を見てしまったんだが…」

 

え?マジで?さっきから忘れたくても忘れられなかったはずの黒歴史が何個か思い出せなくなったのは、それでか…ちなみにどれ?

 

「あぁ…中学の時にクラスメイトに告白したら、全校に知れ渡っていたやつと、相手の好きな人を勘違いして、俺の事?って聞いたら翌日黒板に書かれてて、あだ名がナル谷になってた事とそれから…」

 

「もういい。わかった」

 

どうやら、一番酷い中学時代の記憶のようだ。

思い出せない内容を客観的に聞くと本当に酷えな…

 

「とにかく!世界からこんな酷い扱いを受けてきたお前をオレは殺したくない。むしろ、世界を憎む同士として歓迎したいのだ。しかし、それでも断ると言うのなら…仕方ない」

 

いや、あれは俺がぼっちの分を弁えずに暴走した結果の産物なのだから、世界のせいだとか、そんな大それた感情は無いのだ。

なので、俺の答えは変わらない。

 

「それでも、断る。お前に何があったか知らんが、俺はお前程世界に絶望してねぇよ」

 

「そうか…本当に残念だ。ようやく…そう…ようやく、オレの理解者が得られると思ったんだがな…」

 

?世界を破壊しようって奴が何故そんな悲しそうな顔をするんだ?

 

ちみっ子が手を翳す。

今度は思い出の搾取ではなく、物理的な方法で殺すという事だろう。

 

「せめて、苦しまんように跡形も無く消してやろう」

 

ん?ちみっ子の目から…涙?何で俺を殺す事くらいで…

…さっきから思ってたんだが、こいつ、世界を憎むだの壊すだの言ってる割には優しくね?

というよりは、何だ?()()()()()

 

「さらばだ」

 

ちみっ子の手から魔方陣っぽい何かが浮かび、高出力のエネルギーが放たれる。

小町…お兄ちゃんのパソコンは出来れば、何も見ずに完全破壊して欲しい。

最後に考える事がこんな事かよ…

 

とか何とか考えていたのだが、あれ?

俺、もう死んで霊的な奴になっちゃった?

ていうか、体の感覚がまだあるぞ?

 

「こんな所で高出力過ぎますよ、シャトーを壊すつもりですか?マスター?」

 

「さすがにこれは派手過ぎる」

 

混乱している俺の目の前に、剣を持ったロングヘアーの女性と俺と同じ服を着た癖っ毛の女性が立っていた。

 

***

 

「すまんな、加減を間違えたようだ。ファラ、レイア、そいつを殺すのは決定事項だ。邪魔をするな」

 

「マスター、ただ殺すだけなら、私達にご命令すれば良いのでは?」

 

「勝手に私の服を着たふざけた奴は派手に殺す」

 

いや、服については全面的にガリィのせいである。

よって俺は悪くない。

 

「あ、そいつ殺しちゃうんですね☆だからマスターの普段着着て好感度上げとけって言ったのに☆」

 

ガリィが戻ってくる。

 

「ガリィ…お前…」

 

ちみっ子がプルプルしている。

あれは間違いなく、おこだろう。

激おこかもしんない。

 

「何故オレの服を着せようとした!?そんなモノ見たら、女狐を呼ぶ前にアイツを消し炭にしていたぞ!?」

 

「エー?そこは、マスターのセンスを理解するアイツに好感度アップじゃないんですか?」

 

「するか!というか、よく着ないでいてくれた」

 

当然である。

ちみっ子サイズのピチピチのワンピースを着た俺とか、想像するだけで吐きそうである。

グロ画像注意とか前書きが必要なレベルだ。

 

「しかし、ガリィのせいとはいえ、借りが出来たな」

 

ん?あれを借りとか言っちゃうの?

ずいぶんチョロいな…

 

「決めた。殺すのは無しだ。女狐と一緒に牢屋に入れておけ」

 

どうやら、命は繋いだようである。

しかし、こいつらに好き勝手やらせておくと、世界が壊れるらしいので、今死ぬか、後で死ぬかの違いでしかないのだが…

実はそれほど心配して無かったりする。

()()()()が、そんな事を放置しておく訳無いしな。

 

「ガリィちゃんのおかげで命拾いしたんだぞ☆感謝しろよ、ゴミ虫☆」

 

ガリィに連れられて行く途中、そんな事を言われる。

いや、お前…

 

「マスターってば、後に引けなくなって、絶対お前を殺すって言うだろうからねー☆」

 

もしかして、今までのネタとしか思えない発言や行動は全部計算だった?

いや、絶対に違うな…こいつ自分で楽しんでるだけだわ…

 

「勘違いすんなよ?お前の命なんか心の底からどうでもいいけど、お前を殺して、シンフォギア装者が暴走したら、こっちの計画がおじゃんなんだよ☆」

 

まぁ、そういう事だろう。

何かしらメリットかデメリットが無い限り、俺の命など、蟻みたいな物としか思っていないような奴だろう。

 

「それはそうと☆」

 

ガリィにいきなり唇を奪われる。

最近好き放題やられ過ぎじゃないですかねぇ…

孤高のぼっちはどこ行ったんだよ…

ていうか舌を入れてくるな!

うわっ、ナニコレ、ヤバい…

 

「おまっ!?何すんだよ!?」

 

「味見?んー、なるほど☆マスターが変に優しかったのはコレを見ちゃったんだね☆ていうか、何コレ?プククク」

 

味見ってお前…ビッチめ。

しかし、どうやらこいつも思い出の搾取が使えるらしい。

また、俺の黒歴史が何個か思い出せなくなる。

何か最悪な奴に知られてしまった気がするんだけど…

というか、ちみっ子と合わせて割と奪われた筈なのに、まだまだ黒歴史のストックがある俺って一体…

 

「マスター、さっきからお前を殺さない口実をずっと考えてたからねー☆変に高出力にしたのも、私達の誰かに止めさせる為だし☆ま、ガリィちゃんは止めなかったけど☆」

 

お前…そこまでわかってて止めないのかよ…

あのファラとレイアって二人が止めなかったら死んでたと思うと、今さらながら背筋に寒気を覚える。

 

「だって、誰も止めずにお前を殺してしまったマスターがどんな顔するか考えると…ゾクゾクするじゃん☆」

 

やはり、こいつは性格最悪である。

 

***

 

「じゃあ、ここに入ってろよ☆たまにしか見に来ないから、二人でナニしてても黙っててやるよ☆ていうか、推奨☆お前達のヤってる様をマスターに見せたら…あぁ!マスターのNTRの絶望顔とか…想像しただけで堪らない☆」

 

こいつ…ちみっ子に対する愛情が歪み過ぎだろ…

そんな事する訳ねぇだろ…

ていうか、NTR自体使い方がおかしい。

 

ガリィに牢屋に放り込まれると…

 

「八幡君!」

 

アラサーが一糸纏わぬ姿でそこにいた…

いや、少しは隠してくんない?

目のやり場に困るんだけど…

ガリィめ…こういう事かよ…

 

「あ、これは…ずいぶん、警戒されてるみたい」

 

アラサーが思い出したように頬を染めながら自分の現状を説明する。

 

「でも良かったわ。あの子の事だから、あなたを殺すんじゃないかと思ってたから…」

 

いや、その前に…

 

「何で来たんだよ…?」

 

そう、そっちの方が疑問なのだ。

フロンティアの時といい、今回といい、何故、己を省みず俺などを助けようと思ったのか?

 

「そうね…あなたにとって、あなたを助けようと思う人がいるのは当たり前では無いものね」

 

アラサーが困ったような、悲しいような笑顔で応える。

 

「だからこそよ?あなたに…親しい人が信じられる人達だって、教えたかったのかもしれないわ?」

 

らしくないにも程がある行動は…

櫻井了子の物なのか、フィーネの物なのか、結局わからず終いであった。




という訳で、第三話でした。

オリ展開なので、十三話に収まるか不安です…
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