キャロルちゃんの歌に合わせて、フォニックゲインのエネルギーは激しさを増していく。
「この威力、まさか…」
「すっとぼけが効くもんか、こいつは絶唱だ!」
「絶唱を負荷も無しに口にするなんて…」
「錬金術ってのは何でもアリデスか!?」
キャロルちゃんの歌に共鳴して、チフォージュ・シャトーがエネルギーを放出し始める。
「本来なら、この力で、パパと幸せに暮らせる世界を錬成するつもりだったが、パパのいない世界などに価値などありはしない!全て破壊し尽くしてくれる!!」
そんな、まさか…これは…
「世界の…分解…?」
「そうだ!パパのいない世界など何もかも、全て壊れてしまえ!!」
『そうはいかないんだぬぁぁ、これが!!』
………この声は…
「この声…ドクターウェルよね…?」
『そう!!生医学者にして!英雄!!定食屋のチャレンジメニューもかくや!という盛り過ぎ設定!!ボクこそが、ドクターウェルゥゥゥ!!』
………相変わらずぶっ飛んだ人だなぁ…
あまりお近づきにはなりなくないよね…
「切ちゃん」
「調、作戦成功みたいデスよ」
「うん、やっぱりあいつが味方につくと絶対失敗する」
え?調ちゃん、切歌ちゃん、どういう事?
「キャロルがあいつに協力を求めてたから、見逃した。ぶい!」
「あいつがいると成功するものも成功しないデスよ」
…散々な言われようだね…ウェル博士…
『シャトーの制御は今ボクが完全掌握している!世界が無くなったらボクが英雄になれないからねぇ!!分解も錬成もすぁせはしない!!』
「ウェル博士!貴様、邪魔立てするつもりか!!」
『むぁったく、これだから嫌がらせってのは超サイコー!ボクが英雄になる事を否定しない彼がいるから協力してたんですが、生憎、貴女には協力してやる筋合いがむぁったくぬぁい!!』
「おのれぇぇ!!シンフォギア装者共を始末した後は貴様の番だ!!首を洗って待っていろ!!」
ハチ君…あんな厄介な人にまで好かれてたんだね…
ホントに、何故か彼だけ気付いてないけど、彼は関わった人をみんな変えてしまう。
彼の事は心配だけど、今は未来と了子さんに任せるしかない!
だから、私は…私達は!
「みんな、キャロルちゃんを止めよう!ハチ君はきっと戻ってくる!」
「自分の娘が世界を壊そうとしただなんて、八幡にゃ絶対聞かせれねぇしな」
「あぁ、まったくだ。母親として、これ以上のおいたは見過ごせん」
翼さん?何さらっと母親ポジション主張してるの?
あれだけ致命傷を受けて、まだ諦めてなかったの?
そりゃ私も諦めてないけどさ?
見た目が汗臭い…
「防人の妄想はさておき、あの子は今、ひとりぼっちで泣いている」
「ぼっちになんかさせないデス!させてやらないデス!!」
「えぇ、やりましょう!みんな!ぼっちをぼっちにさせない事なら、私達の右に出る者はいないわ!!」
「そうだ…彼も、キャロルちゃんも、私達だって!みんな1人じゃないんだ!!」
だから、もう誰にもぼっちだなんて言わせない!
言わせてあげるもんか!!
「臍下あたりの疼きが収まらん!!」
キャロルちゃんが再度、フォニックゲインを放出する。
「オレのフォニックゲインは、ただの1人で70億の絶唱を凌駕する!!」
ッ!!それなら!!
「オレを止められるなどと、自惚れてくれるなよ!!」
キャロルちゃんが出力を上げる。
このフォニックゲインを使えれば!!
「みんな!!」
みんなと目を合わせる。
「イグナイトモジュール!オールセーフティ!!」
~Gatrandis babel ziggurat edenal~
~Emustolronzen fine el baral zizzl~
~Gatrandis babel ziggurat edenal~
~Emustolronzen fine el zizzl~
イグナイトの3段階励起と共に絶唱を口にする。
「S2CAヘキサゴンバージョン!」
「キャロルちゃんのフォニックゲインをガングニールで束ね!!」
「アガートラームで制御!再配置する!!」
泣いている子には、手を差し伸べてあげないと!
その為なら、奇跡だって何だって纏ってみせる!!
「うぉぉぉぉぉ!」
「ジェネレーター!!」
「エクス!ドラァイブッ!!!」
***
暗い水の底…
俺は、小日向を庇って、それから…
あぁ、とうとう死んじまったみたいだな…
キャロルには父親殺しの汚名を着せちまったな…
気にしてないといいんだが…はぁ…そうもいかねぇだろうなぁ…
『まぁったく☆なーにやってんだよ、このスカタン☆』
ガリィ!?お前…どうして?
『ちょっとした事情で今お前の側にいるんだよ☆ガリィちゃんに会えてうれしい?うれしい?』
あぁ、お互い死んじまったみたいだが、お前には聞きたい事があったんだよ。
『………何?ガリィちゃんのスリーサイズ?教えてやんねぇ☆』
ちげーよ!!お前、あの時の別れ際の意味深な微笑みは何だよ!?
あれ以来、気になって気になって仕方ねぇじゃねぇか!?
『あぁ、あれ?まったくお前はバカだなぁと思っただけだよ☆』
てめえ…そんなんであんな意味深な笑顔見せんじゃねぇよ!
こちとらぼっち何年やってると思ってんだ!?
危うく勘違いして告白して振られちゃうところだったじゃねぇか!?
振られちゃうのかよ…
『プクククッ、お前は相変わらずだね☆』
不意にガリィに抱き締められる。
『マスターさ…今、泣いてると思うんだ、何とかしてやってくれよ』
いや、そうしたいのはやまやまだが、俺はもう死んじゃってるから…
『死んでないよ』
………は?いや、今こうしてお前と話してるんだから死んでるんじゃねぇの?
『ちゃんと生きてるよ☆ほっとくとすぐに死にそうになる癖にしぶとい奴だよ、まったく☆』
ガリィが呆れ顔で言う。
ていうか、ぼっち的にそろそろ限界なんで離してくんない?
『やーだ☆絶対に離さない☆あぁ、"あったかい"ね…』
ん?お前…今あったかいって…
『お前が死なないようにガリィちゃんが守ってやるからさ、マスターを頼むよ』
………前向きに善処する。
『それやらないやつだよ…締まらねぇ奴だなぁ…まぁ、そういう所も…』
ん?何か言った?
『な、何でもない!いつまで寝てんだ、そろそろ起きろ!』
へいへい…
***
目を覚ますと、ここは…医務室?
どうやら、ガリィの言っていた俺が死んでないってのは本当だったらしいが、周りには誰もいない。
今、状況はどうなってるんだ?
ふと、横の机に手紙が置いてあるのが目に入る。
読めって事か?
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発令所を空けておけないので、状況を簡単に説明しておくわ。
今、あの子は貴方を殺してしまったと思って、自暴自棄になって世界を壊そうとしている。
響ちゃん達が戦ってるけど、きっとあの子を本当の意味で救えるのは貴方だけだと思うの。
傷は私の術と最新医療を駆使して塞いだけど、万全ではないと思う。
戦いに出るかどうか、後は貴方の判断に任せるわ。
少し早いけど、誕生日プレゼント。
貴方の為だけにカスタマイズした私の最高傑作よ。
好きに使いなさい。
デキる女より
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手紙に添えて、シンフォギアのペンダントが入っていた。
このシンフォギア…もしかして…
『言っただろ?守ってやるってさ☆』
あぁ、言ったな…言ってたな…
ウェル博士に貰ったLiNKERを首に打つ。
痛っ!?これ、月読とか暁とかがバンバン打ってたから、あんま痛み無いのかと思ったら結構痛いんじゃねぇか!?
まったく、締まらないにも程があるが、それが俺なのだ。
ぼっちの癖に1人では何も出来やしない。
未だに理由が無ければ動く事すらままならない。
だけど、娘が泣いている。
今は理由がある。
だから、力を貸してくれ!ガリィ!!
『当たり前だろ?それに今はぼっちでもないじゃん☆ガリィちゃんにお任せ☆』
~Granzizel bilfen gabriel zizzl~
ライトブルーの装飾が施された黒色のシンフォギアを身に纏う。
なるほど、黒がベースとはガリィらしい。
『心外だなぁ…まるでガリィちゃんが性格悪いみたいじゃん☆』
いや、間違ってねぇだろ…
『あ、それはそうとガリィちゃんとお前の相性最初から最高だからLiNKERいらなかったと思うよ☆』
…そういう事は早く言ってくんない?
そういう所だよ、性格悪いの…
という訳でガリィちゃん復活?というかシンフォギアのパーツとして復活です。
たやマさん達のシャトー潜入は杉田君の活躍により、カットとなりました…
そもそも、このお話では彼女達別に罪を犯してないので、塗り替えてナンボの黒歴史が無いのデス…
マリアさんだけは恥ずかしい系の黒歴史を大量に量産してましたが(笑)
感慨深いものがありますが、後一話です。
次話もお楽しみ頂ければ幸いです。