ぼっちが人前で歌などハードルが高すぎる   作:祥和

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お久しぶりです。

リアルがバタバタしてまして、なかなか筆を取れず申し訳ない。

奏さん誕生日に初めたかった奏さんのお話です。
リアルタイムで書けず申し訳ない。
XDUの片翼の装者プレイ済み推奨です。


片翼のおねえさん 1話

あの翼を失った日から2年…

 

相変わらずノイズ共はうじゃうじゃ出てきやがるし、アタシも日々奴らを狩るのに一杯一杯で考える間が無くて丁度いい。

 

一度立ち止まって振り返ってしまうと潰れちまいそうだしさ…

 

まぁ、こんなアタシだから、これからずっと独りぼっちで戦いの果てに消え行く運命だと思ってたんだが、去年から少しだけ…ほんの少しだけ変化があった。

 

朝、今日は燃えるゴミの日だからそろそろだな。

 

「おはよう、八幡」

 

「………うす」

 

そう、こいつと妹の小町が隣に越してきたのだ。

 

……違う。正確には、あの事件の生き残りで、翼のアメノハバキリの欠片が身体に埋まったままのこいつを監視する歴とした二課の任務だ。

何か想定外の事が起きた場合にシンフォギア装者のアタシが側に居た方が対処しやすいとの事だ。

 

なので、本来のお隣さんには快くご退去頂いてアタシがこいつの隣に住んでいる。

しっかし相変わらず釣れない挨拶だなぁ…

 

「朝から元気ねぇぞ?ちゃんと朝メシ食ってるか?」

 

そう言って、八幡をヘッドロックして、頭をグリグリする。

 

「痛っ、ててていうか当たってるし!みゃ、みゃじでやめてくださいよ!?」

 

…ん?顔真っ赤だけど、どうしたんだ?

 

…ははーん。

八幡も男の子だなぁ。

 

「何だ?そんなにアタシの胸が気になるのか?何なら触ってみるか?」

 

一旦八幡を解放して、露骨に胸を両手で持ち上げて強調すると…

 

「きき気安くしょんな事言ってんじゃねぇよ!ビッチ!」

 

暴言吐く癖にカミカミで締まらねぇ奴だなぁ…

まぁ、そんな所もかわいいんだが、ビッチはちょっとお姉さんカチンときたからオシオキだな!

 

「お兄ちゃん早く準備しないと遅刻…って何してんの?」

 

八幡へのオシオキがコブラツイストに移行したあたりで小町が出てくる。

 

「小町聞いてくれよ、八幡ったらアタシの胸に興味深々みたいだから触らせてやろうか?って言ったらアタシの事ビッチとか言いやがるんだ」

 

「あぁ…まぁた奏さんとイチャイチャしてたんですか…ほんともう朝からごちそうさまです」

 

「おい小町!?この状況をどう見たらイチャイチャになるんだよ!?てかマジで痛え!ギブ!ギブ!」

 

…とまぁこんな感じで戦いだけだった暗い日常にほんの少しだけ陽だまりが出来ていた。

任務ではあるが、こんな日常を割と気に入っている自分がいるのも確かだった…

 

***

 

『奏!前に出過ぎだ!少し下がれ!』

 

ダンナからの静止も無視して、今日もノイズ共の相手をする。

しかしダンナも心配し過ぎだ。

アタシがこいつらを早く始末しないとその分、被害が大きくなる。

そう、翼がいない今、この場に槍を携えているのはアタシだけなんだ。

 

奴らを薙ぎ払い、貫く。

ただそれの繰り返し。

やる事が決まってて単調だが、頭空っぽにして、思いっきり戦えるのはありがたい。

元々翼みたいな器用さはアタシにはねぇんだ。

馬鹿は馬鹿らしくってな!

 

『待て!奏!そっちは!』

 

?急に視界が暗転する。

何だよ、せっかく人が気持ち良く戦ってるってのに…

段々、意識が覚醒する…

あれ?何でアタシ倒れてんだ?

 

目を開けると、そこには見た事もない真っ黒い不気味なノイズが立っていた。

何だコイツ!?

 

『奏!一時撤退だ!』

 

「ダメだ!コイツを野放しには出来ねえ!」

 

見るからにヤバそうなコイツを放置したら、それこそ被害が計り知れない。

ダメージが足にきてやがるが、もうひと踏ん張り…やってやれない事はねえ!

 

―LAST∞METEOR―

 

今のアタシにできる精一杯の技を放つ。

 

…が、アイツには効いている気配が無い。

こうなったらもう、アタシには…()()しか…

 

覚悟を決める。

アイツは絶対にここで倒しておかなきゃダメな奴だ。

 

…この命は翼に繋いで貰った命だ。

ここで返す事にはなっちまうが、元々ロクデナシの復讐鬼の命だ。

惜しくはねぇ。

 

…よし!天羽奏のラストライブにしちゃ人間のお客さんが少ねぇが、歌うか!

 

……

………

 

しかし、そうやって決めた覚悟を嘲笑うかのように、何度歌おうとしてもあの歌が胸に響いてこない。

神様…そりゃねぇだろ…中途半端な出来損ないには相手と刺し違える資格すらもねぇってのかよ…

 

さすがに向こうさんもそんなに待ってはくれねぇみたいで、一直線にアタシに向かってくる。

 

あぁ…許されるならもう一度…翼と歌いたかった…

それと…()()()には…ツヴァイウィングじゃない、天羽奏の歌を聞いて欲しかったな…

そんな場違いな事を考えながら目を閉じる。

 

………?

あれ?生きてる?

 

「生きる事を諦めないで!」

 

いきなり出てきたソイツは、アタシが何度やってもダメだった黒いノイズをいとも容易くぶん殴っていた…

 

***

 

立花響と少女は名乗った。

()()()()()()ガングニールの装者。

 

何でも、2年前にアタシが絶唱を歌い、翼が生き残った世界からギャラルホルンとかいう聖遺物を使って来たらしい。

ていうか、アタシも人の事言えた義理じゃねぇけどコイツ説明下手過ぎだろ…

 

「あの言葉は、奏さんから受け継いだ大事な言葉なんです」

 

…そんな事言われてもアタシには身に覚えがねぇから困る。

 

「…アタシとソイツは別人だ」

 

…八幡みたいに愛想悪くしちまったが、よくわかんねぇけど、なーんかコイツからは敵?みたいなオーラを感じる。

まぁ、助けてくれたのは事実だし、感謝もするけどよ?

それとこれとは別のところで何かがしっくり来ないのだ。

 

「うーん、こっちの奏さんは捻デレ?」

 

…は?コイツ、何でその単語を…

アレは小町の造語だから、知ってる奴なんて知り合いくらいのもんだが…

 

「…お前、小町と知り合いか?」

 

とりあえず探りを入れてみる。

違う世界の人間だし、同じ人間がいたとしてもそれは別人とは思うのだが、何か心がザワつく。

 

「え!?こっちにも小町ちゃんいるんですか!?って事はハチ君も!?」

 

…やっぱりか…

…ていうか、ハチ君?

随分と親密そうな感じだな?

 

………ふぅん?

アタシのいない世界で、ガングニールでハチ君…ねぇ?

 

「アレ?奏さん?…なんか…ハイライトが…」

 

ん?何言ってんだ、コイツ?

まぁ、とりあえずはダンナに報告だな。

 

「とりあえず、二課までご同行願えるか?」

 

「アッ、ハイ……アレ?何か忘れてるような…」

 

何か途中から変な迷路に入ったみたいで、うーんとかうむむとか言ってずっと唸ってるけど、とりあえず連れて行くか…

 

***

 

「カルマノイズ…だとぉ!?」

 

アタシがダンナに報告を入れるついでにあの黒いノイズについても響に説明して貰う。

なんか妙に馴れ馴れしい奴だが、まぁ色々と犬っぽいので、扱い易くて助かる。

 

しかし、カルマノイズか…

相変わらず響の説明は難解だが要約すると、通常のノイズより強力な個体で厄介な上に、奴らは際限無く人を炭に変えれるらしい。

イグナイトが何かは知らねえけど、たぶん響の奥の手だと思われるのも聖遺物の呪いを増幅させるので、簡単には使えないらしい。

 

それだけ聞くと、あの時のアタシの判断は間違っちゃいなかった筈なんだが…

 

「奏は謹慎だ!この件に許可無く関わる事は許さん!頭を冷やしてこい!」

 

ダンナに大目玉を喰らったので、渋々始末書を書いて家に帰る。

…ダンナの奴、苦手な書類仕事までやらせるとかマジで怒ってやがるな…

 

はぁ…絶唱は歌えねぇし、今日は散々だな、アタシ…

 

こんな日は、小町の飯食って八幡からかってさっさと寝るに限るな。

 

…まぁ、一応?一応な?

『ハチ君』って呼び名で呼ぶ奴がこっちにもいるのかも聞いとこうかね?

 

そう思いながら歩いていたのだが…

 

瞬間、言葉を忘れてしまう。

 

「まったくあの子は…勝手に1人で突っ走って…これだからガングニールの装者は」

 

「まぁそう言うな、マリア」

 

アタシが見間違える筈が無い。

 

そう、向かいから歩いて来たのは、確かに翼だったのだ…




という訳でヒロイン個別ルートの中の奏さんルート第1話です。

まさかのヒロイン個別ルートのトップバッターは奏さんです。

片翼の装者世界はライバルが誰もいないので約束された勝利になるとは思いますが…
八幡だしなぁ…というのが作者の素直な感想です…
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