ぼっちが人前で歌などハードルが高すぎる   作:祥和

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すみません。

またまた久しぶりの執筆です。


片翼のおねえさん 2話

凛とした立ち姿…

世界中の誰よりも透き通る声…

 

アタシが間違える筈がねぇ。

こいつは間違いなく翼だ。

 

………翼…なんだが……

 

「なんで話す場所が喫茶店とかじゃなくラーメン屋なんだよ…」

 

そう…アタシを見た翼が急に着いて来いと言うので、着いて行ったんだが、何故か今マリアとかいうピンク髪の女と3人カウンターに横並びでラーメンを啜っている。

 

ラーメンなんてそんな好きだったか?

むしろこういったラーメンやハンバーガーなどのジャンクフードばっか食べてるアタシを体に悪いだのと諌めてた姿しかアタシの記憶にゃねぇんだが…

 

「まぁ、そう言うな奏。あっ、店主、替え玉、バリカタで頼む」

 

そう言ってお前替え玉もう3回目だぞ…

 

「なかなか…ハフッ、いけるわね、私もハリガネ頼むわ」

 

こいつに至っては4回だ…

どんだけ食うんだよこいつら…

 

「奏はもう食べないの?こちらの世界にもあるのは嬉しい誤算だったけど、ここは私のオススメのお店よ?」

 

完全に行き馴れてるじゃねぇか…

いや、まぁ旨いのは旨いんだが…

 

「アタシは帰ったらメシあるんだよ」

 

そう答えると不意に翼が微笑む。

 

「……なんだよ?」

 

「良かった…奏にも帰る場所が見つかったのね?そこはきっと…この世界の私の隣ではないのだろうが…それでも私は嬉しいよ」

 

その笑顔にドキッとしてしまう。

だからアタシは思わず聞いてしまう。

 

「なんでそんな事わかんだよ?」

 

「自慢じゃないが、どの様な時空であれ、料理の出来る私というのは全くもって想像ができない!」

 

「そんな後ろ向きな事自信満々に言うんじゃねぇよ!?」

 

ほんの少し前のドキドキを返してくれ!

こいつ本当にあの翼なのか!?

 

……でも、普段は無理に気を張って変な日本語使ってたり、アタシと喋る時はそれが少し崩れたり…

話せば話す程、翼なんだよなぁ…

ホント、何があったんだよ…

 

「あっ、替え玉頼むわ!ハリガネで!」

 

そんでマリアとかいうこいつはまだ食うのかよ…

延々ずっと食ってるだけじゃねぇか…

 

***

 

「さて…そろそろ本題に入りましょうか」

 

マリアがそう言ってくる。

結局、翼が4回、マリアは6回替え玉した。

 

これ以上は店にいい迷惑なので、近所の公園で話をしようと提案したら2人揃って何故?みたいな顔してやがったので引っ張ってきた。

正直、変わりに変わった翼の姿を見て頭が追い付いて無いんだが、世間知らずなのは相変わらずなのな…

 

「本当はもう1人いるんだけど…」

 

「あぁ、響なら二課で面倒見てると思うぜ」

 

「やっぱりあの子は!勝手に突っ走って!」

 

マリアがいきなり憤る。

何か怒ってる雰囲気出してるけど、言ってる内容とかどう見てもオカンだよな…

食いしん坊にオカンって…

八幡がよく読んでるラノベ風に言うと属性盛りすぎだろ…まだ色々ありそうだし…

 

「立花が既に行ってるという事は…」

 

「あぁ、カルマノイズについてもある程度聞いてる。ま、あいつの話難解で理解すんの大変だから後で行ってダンナに詳しく説明してくれると助かる」

 

「あぁ、承った」

 

そう答えると、完全に任務の時の翼の顔になる。

あぁ、やっぱこいつは翼なんだな…

 

「んじゃ、アタシは謹慎中だから帰るわ」

 

そう言って2人に別れを告げる。

あまり待たせると小町に悪いしな。

 

「あ…奏!」

 

少し歩いた所で翼に呼び止められる。

アタシが振り返ると…

 

()()()()

 

と、そう言ってくる。

それに対して言葉は返さず、また前に向き直して、手を上げて返事する。

 

「また明日…か…」

 

…わかっている。

わかっているんだ。

 

例えあれが本物の翼でも…いや、本物の翼だからこそ、今は亡き己の半身の代わりになどならないという事は…

そしてそれが()()()()()()()()()()だという事も…

 

結局、小町の作ったアタシが作るより数倍旨い筈の晩メシはほとんど味がわからなかった。

 

ずっと八幡が何か言いたげな眼をしていたが、何も言ってくる事なく、そのままお開きになった。

 

なんだかな…

クソッ、結局一番引き摺ってるのはアタシって事か…

 

***

 

「あ、ハチ君!」

 

なんか見ず知らずの美少女が周囲をまったく気にする事なく手をブンブン振りながら喚いている。

まったく、ハチ君とかいう奴も災難だな。

俺が当人ならそんな呼び方されたら恥ずかしくて二度と家から出たくなくなるレベル。

そういや家といや、昨日の天羽さんは少し様子がおかしかったな…

なんか嫌な事でもあったんかね?

大人になると嫌な事ばっかり増えていくというし、やはり俺は社会に出ず専業主夫として家庭に入るべきだと思いましたまる。

 

「おーい!ハチくーん!」

 

チッ、うっせぇなリア充め!

いい加減ハチ君とやらも返事してやれよ…

さっきからずっと必死に呼び掛けてるじゃねぇか…

 

「ハチ君!!」

 

「おわっ!?」

 

気付くと美少女が目の前にいた…

え?何?ハチ君ってもしかして俺?

いやいやいやいやいや騙されるな比企谷八幡。

俺にこんな美少女の知り合いはいない。

よってこれは人違いか美人局か宗教勧誘のどれかである。

壺は買いません!

 

「ひ…人ちぎゃいでは…?」

 

噛んだ…死にたい…

相変わらず残念過ぎる対人装甲である…

 

「あ、そっか。()()()()ハチ君は私の事知らないんだね」

 

え?何?美人局かと思ったら電波系?

ふぇぇ…関わりたくないよぉ…

こんな何処にでも居て何処にも居ないぼっちよりもその辺のイケメンリア充をターゲットにしてくれませんかねぇ…?

何か今の決め台詞っぽいな…

何処にでも居て何処にも居ない、シュレディンガーのぼっち比企谷八幡です。

 

「もぉ、また考え事してる」

 

いや、だからどう見ても初対面だし、いい加減解放してくれません?

短くも長い俺のぼっち人生の中の知り合いで、美少女なんて小町と天羽さんくらいしかいねぇし。

いや、天羽さんは年上だし少女ってのはちょっと違うけどね?

つまり逆説的に小町こそが天がこの世に遣わした最高の美少女という事になる。

 

「とにかく、積もる話もあるし、どこかゆっくり出来る所でお話しよ?」

 

そう言って、名も名乗らない美少女が上目遣いでそう言ってくる。

…見るからに怪しいしあざといし着いて行く必要皆無だな!よし!

 

「あー、今日はアレがアレなんでまた後日に…」

 

「そんな事言わずにこっちこっち」

 

そう言って美少女に首根っこ掴まれて連行される。

ちょっ、力強っ!?

こんな柔っこい見た目の何処にこんなパワーが搭載されてんだよ!?

てか、おまわりさん、今まさに一般市民が拉致られそうになってるんで助けてくれません!?

 

「チッ、リア充爆発しろ」じゃねぇよ…

それはいつもの俺のセリフだっつうの…

 

そうして、立花響とようやく名乗った少女に一日中、文字通り振り回されるのであった。

無駄に元気だし、距離近いし、いい匂いだしで今日一日で一週間分の体力と気力を根こそぎ持っていかれた気がする…

 

てか結局、要件も何も聞かず終いなんだが、一体何がしたかったんだ?

 

***

 

都内某所

 

「翼…もしかしてこれは…」

 

「あぁ、マリア。その通りみたいだな…」

 

 

 

 

「完全に迷った…」




仕事に忙殺されてまして、中々更新出来ず申し訳ない。

この調子で後最低7人…ごくり…な感じなんですが、ちょくちょく時間見つけて書いていきますので、気長にお待ち頂ければ幸いです。
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